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完全版 マウス――アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語 (フェニックスシリーズ)

感想・レビュー
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やどかり
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ネタバレインパクトのあるマンガだった。アウシュビッツを生き延びた両親、主に父の当時と現在を描いている。生き延びたとしても、戦争は終わってない。ショックなのは、父親が黒人に対して差別感情を持っていたこと。自分があのような仕打ちを受けても、他の人種を下位に見る感情はどこからくるのだろう。人種差別は根深い問題だ。トラウマを持つ両親の元でおそらく著者も苦労しただろう。そういう意味でも戦争の影響はまだ終わってないと言える。
0255文字
しゅんやんぐ
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ガス室を免れても戦争が終わっても地獄が続く。黒人を車に乗せるところが印象的だった。現代の人種差別も、根深い歴史が背景にあるからこそ。
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まふ
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アウシュヴィッツ収容所の生還者の父母を持つ作者が、父の生涯の一部始終を伝記的に描き上げたマンガ。ユダヤ人をネズミに、ドイツ人をネコに、ポーランド人をブタに仮託して描き上げている。当初はネズミの表情がしっくりこない気がしたが、読むうちに作者の想いをよりクリアに伝える効果という面で、これが正解ではなかったかと思えるようになった。数あるアウシュヴィッツ関連の物語の中で、奇跡的に生還した人の物語は貴重であり、人類の「負の教科書」として今後も大切に読み継がれていくべき作品であると思った。 G613/1000。
Johnnycake

これ、良い本ですよね。

09/15 19:30
まふ

Johnnycakeさん これからも読み継がれていくべきとても良い大事な本だと思います。

09/15 20:13
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V8おじさんと空飛ぶコロッケ
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きっつ。動物になっているからギリ読める。『関心領域』では描かれなかった収容所内部の筆舌に尽くし難い様子が描かれていて…。収容所に至るまでもずーっと地獄で、じわじわと居場所を奪われ、尊厳を踏み躙られのが本当にきつい。 ガラクタや食べ物を一切捨てられなくなり、自分が絶対に正しいという自己愛を抱え込まざるを得なくなってしまった父親の姿に、癒えることのない傷の深さを感じる。言葉にできない。
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モスラ
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作者がアウシュビッツのような部屋で書き続けたと知ってさらに読まねばと思った本。今年の8月末に読了しているのだが、どうまとめたらいいかわからず登録するのを忘れていた。よいひとと主人公のヴラデックが呼ぶ義理父がいよいよ収容所ゆきの列車に乗せられるとき、お金はいくらでもあると義理父が叫んでもなんの役にも立たないのが強烈に恐ろしく悲しかった。また食べ物をひどく制限して病気にして徴兵などを逃させるという行為も強烈だった。
モスラ

このような体験すべてが現在のヴラデックの性格に至っていると思うと、戦争がなかったならと悲しく思ってしまう。

11/04 23:44
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どんぐり
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アウシュヴィッツを生きのびたポーランド出身の父親の体験をもとにしたグラフィックノベル。第1部:私の父は歴史の血を流した(1930年代半ば~1944年冬)=原著1986年刊、第2部:そしてここから私の苦難は始まった(マウスヴィッツからキャッツキルズとその彼方へ)=原著1991年刊、を合わせた完全版。父親ヴラデック(1906-1982)、母親アンジャ(1912-1968)の苦難の道と、親族の多くがホロコーストの犠牲になって消えていく。→
どんぐり

ユダヤ人がネズミ、ドイツ人がネコ、ポーランド人がブタ、アメリカ人がイヌとして描かれている。動物の擬人化で風刺漫画かと思ったが、物語の展開にその違いも忘れて読み終える。時は流れてニューヨークにいる著者とかかりつけ精神科医との会話場面。「人生は常に生きる者の味方だ。なのに、どういうわけか犠牲者は非難される。でも生きのびたのが最良の人たちではないし、最良の人たちが死ぬわけでもない。無差別なのさ」「これまでホロコーストについてどれほど多くの本が書かれてきたことか。→

10/17 22:51
どんぐり

問題にすべきは何か? 人々は変わりはしなかった。もっと新しい大きなホロコーストが必要なのかもしれない」「とにかく死んだ犠牲者たちは、決して彼らの側の物語は話せない。だからもう、物語はこれ以上、ないほうがいいのかもしれない」とあり、サミュエル・ベケットの「あらゆる言葉は沈黙と無のうえについた不必要なしみにすぎない」の言葉があった。この物語を描く著者の苦難の場面もある。

10/17 22:52
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講釈夫人
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【ガーディアン1000】アウシュヴィッツを生き延びた父親(ユダヤ人)の凄絶な人生を息子スピーゲルマンが聞き取り、現代と当時を往来しながら、ユダヤ人は鼠、ドイツ人は猫、ポーランド人は豚、フランス人は蛙、アメリカ人は犬で描かれるが、タイム誌評のように「どれも恐ろしく人間的」で、外出する時はポーランド人のフリをするため鼠が豚のお面をつける。父親は知恵者だからこそ生き延びた反面、そのことを後ろめたく思っていて、反動で強い自己肯定感に繋がったこと、戦後の新たな苦難、そしてユダヤ人の父親が黒人差別者であることまで
講釈夫人

描いている。そう言えば近年ハンナ・アーレントや草間彌生の黒人差別も問題になった。因みにスピーゲルマン始め複数のユダヤ人作家が痛烈に批判したのがホロコースト映画『ライフ・イズ・ビューティフル』アカデミー賞主演男優賞、外国語映画賞など受賞で、好きな映画に挙げる人も多いが、これはダメだと思った私はその理由を言語化出来ず…そこにスピーゲルマンの「メタファーからホロコーストの問題を描くのではなく、ホロコーストをメタファー(困難な時代)として描くのは歴史を一般化し心底些細なものに変えてしまう(大意)」

09/20 18:24
講釈夫人

スピーゲルマンは動物に仮託してホロコーストを描いたが、その作品に影響されて製作された映画が、全く違う意味のものであることにショックを受けたよう。“感動”とは捏造されやすく、感動する側が欲したストーリーの消費に過ぎないと改めて思う。1992年ピュリッツァー賞を受賞した最初のグラフィック・ノヴェル

09/20 18:25
0255文字
tyfk
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ネタバレ密告者かもしれない。どうしたかって? 彼に情けをかけたのさ。彼を家族のもとへ帰らせた……その午後、ゲシュタポがやってきた。 p.115; ハスケルはゲシュタポとよくカード遊びをしておった。いつも大きく負けてやっていたのでゲシュタポに気にいられておった。 p.118; 「助けて、ママ! ユダヤ人だ!!」 「ハイル・ヒトラー」 「すみません、子どもたちときたら……ハイル・ヒトラー」 p.151;
tyfk

彼はここで英語を習いたかったのさ。彼はわしを自分のそばにいさせた。 p.191; 「このユダヤ人め!ここへ来てほんの2、3日だというのにもう取引をする気なのか!?」 p.193; ドイツ人の囚人もいたんだ。でもドイツ人にとって、この男はユダヤ人だったのさ! p.210; 翌日、修理はできていた。彼はブーツを置くと何も言わずに出ていった。そしてソーセージをまるまる一本もってきた。 p.221; 燃える死体から出た脂肪をすくいあげ、もっとよく燃えるようにかけた。 p.232;

08/11 12:43
tyfk

「君も衛兵を買収して一緒に来いよ」「ドイツ兵なんか信用できるか」 p.243; 「アメリカ軍がここに来るまで、ここにかくまってください」 「行け!俺は関わりあいになりたくないんだ」 「頼みますよ。ほんの1日か2日……」 「よし、裏に穴ぐらがある。そこでおまえたちが寝ようと、俺の知ったことじゃない」 「あの、ちょっと、ユダヤ人がふたり、裏の穴ぐらに隠れていますぜ」 p.269;

08/11 12:43
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たけのこ
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名作ですね。一家に一冊レベル。タイトルのとおりアウシュビッツを生きのびたお父さんの体験記。なによりも時系列にそって語られるアウシュビッツの生々しい描写。戦争の話だけじゃなくて、父と子の姿を描き出しているのもいいです。
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okia
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ヴラデックは賢くて判断力があってものすごく世渡り上手 そして教養もあった 運がよかったって言えばそうだけど、それは自分がこれまでちゃんと生きてきた結果だと思う。 戦争こわい。人間の所業とは思えない。繰り返してはならない。 余談だけど、うちの祖母も一度使ったティッシュを捨てずに折りたたんで置いておいては使い回すような人だった。 戦争のせいではないけれど、早くに夫を亡くし女手一つで父を含む子供3人を育てあげた。 幼い頃はそんな祖母の貧乏性でケチくさいところが嫌だったけど、今なら苦労した証なんだなと思える。
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かんやん
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「お前の友達だと? 友達同士を部屋にとじこめ、一週間食べ物がなかったとしたら…そしたら、友達とは何かお前にもわかるさ」アウシュヴィッツのサバイバーである父の体験を漫画化しようとする息子の葛藤。「想像するのも恐ろしく思える」この葛藤がなければ嘘だろう。平凡な日常の現在と、この世の地獄を体験した父の過去の対比が絶妙だ。迫害と虐殺が、ユダヤ人はネズミ、ポーランド人は豚、ドイツ人はネコの姿を借りて寓話風に描かれている。とてもヒトの姿では…。死なせてくれと泣き叫ぶ妻に「生きるために戦うんだ! 私にはお前が必要だ!」
かんやん

「サミュエル・ベケットがこう言ってます。『あらゆる言葉は沈黙と無の上についた不必要なしみにすぎない』でも一方で、彼はそれを言ったんです」

08/20 15:41
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minamimi
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再読。細胞の一つ残らずが書き換わってしまうような体験。そしてその人の息子として生まれ生きるということ。
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裕
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アウシュビッツを生き延びてもトラウマは続く。息子による聞き書き。登場人物が動物で表されていてまだ息苦しさが和らいでいる。
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スフレチーズケーキ
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すごい本だと思います
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Chiyo K.
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ネタバレマンガ家の著者がホロコーストを生き延びた父に聞いた体験をマンガにした。父は器用で目端がきき、平時なら決して褒められないようなこともし、運も味方につけ生き延びることができた。過酷すぎる経験を聞き、自分にはこれをマンガにする資格があるのかと懊悩したり、年老いた父の頑迷さに困惑する著者自身の姿も描かれている。そして一貫してユダヤ人はネズミ、ドイツ人はネコ、ポーランド人はブタの顔で描かれ、どうしたって民族の違いが目につく。アウシュビッツ解放後の困難がまた酷い。これまでに私が読んだ中で、最も凄絶なホロコーストの本。
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minamimi
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年明け早々に重い本を選んだものだけど、お正月が厳かな雰囲気で過ごせたような気もする。取り返しのつかないこと、という言葉が思い浮かぶ。
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Miho
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タイトル通り、アウシュビッツを生きのびた父のほぼ一生を描いている。その父は聖人でもないし、なんなら息子からみたら毒親?生存者を美化せずに生々しくうつしているからこそ、処刑者が無差別に選ばれたことが伝わる。悪い人だから善い人だからという選別は、この時代のユダヤ人には一切関係ない。息子からみれば、父は金にうるさいユダヤ人のカリカチュア同然で、それをありのまま読者に伝えるべきかを葛藤する場面がそのまま描かれている。でも、この父の場合は、やはり裕福さがものをいったのではと思った。
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ちな
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ネタバレ作者が冷静に父親の話を聞いているのが印象的。被害者であるはずの父親を「ケチで打算的な人物」に表したり、仲間から礼だけ受け取り助力しなかったエピソードも描く。感情にながされていない作風が、戦争の悲惨さをリアルに感じさせるのかもしれない。ナチスを猫ユダヤを鼠で表しているのがまた巧い。
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takao
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ふむ
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チェアー
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アウシュヴィッツから奇跡的に生還した父のことを、被害者として描くのではなく、一人の普通の人間の人生に起こったこととして描いているのがすごい。まんがにしている自分のことも客観視し、そもそもまんがにすべきなのか、自分に彼の苦しみを表現できるのか悩む。父も人間として完璧にはほど遠い。そんな普通の人が虐殺されていったのが、アウシュヴィッツだったのだ。
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ぽこ
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大変優れた劇画。アウシュヴィッツだけではなくポーランドでのユダヤ人迫害のステップがよくわかる。ユダヤ人は侮蔑としてネズミに例えられたことからネズミで描いたのだろう。ドイツ人はネコ、ポーランド人はブタと全て動物の擬人化。一コマ一コマ注意深く見るとゲットーや収容所で何人がどんな役割についていたかもこれですぐわかる。例えばアウシュヴィッツの数字のタトゥーはユダヤ人が入れてる絵があって「アウシュヴィッツのタトゥー係」そのもの。本作で秀逸なのはショアーを生き延びた父親をまったく美化せず、彼の為人をそのまま描いて→
ぽこ

そうなの。とても良かった。ちょっと高いから図書館にあるといいね。なかったら貸してあげたいよ。戦争前の生活からの段々の変化や作者のお父さんの人柄とか、虚飾がないからすべてがよりリアルに感じられた。どこかに美化があるとフィクションっぽくなることもあるからね。動物にして描いてるのも色んな効果があった。

05/04 18:25
ちえ

まずは今度、図書館でリクエストしてみるね。劇画だから道内の図書館であるといいんだけど(^^)

05/04 19:33
4件のコメントを全て見る
0255文字
Rui
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著者の父親から聴き取ったアウシュヴィッツの話を獣化して描くという変わった作品なので一読の価値はある。父親は彼の語る思い出のみで描かれるわけではなく、現在の彼も著者の視点から容赦なく描かれているので、彼を良い面もあり悪い面もある一人の人間として読むことが出来る。また、生きのびた人間の視点なのでサバイバルの要素も強い。私は後半を読んでいて、個々の人間の愚かさは変わらないが、積み重ねた歴史に学ぶことで少しはマシになるのかなと思った。
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ルーロ
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人間は愚かな生き物です。 同じ人間なのに、一人の独裁者によってこれ程の事がおこなわれてしまうなんて。 この状況で生き延びられたのは奇跡だと思いました。
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葛
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2020年6月4日初版第1刷発行 フェニックスシリーズ105 著者:アート・スピーゲルマン 訳者:小野耕世 発行者:後藤康徳 発行所:パンローリング株式会社 装丁:パンローリング装丁室 印刷・製本:株式会社シナノ 定価:本体3500円+税
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かすり
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アウシュヴィッツを生き延びた父を持つ漫画家が父の体験談をマンガ作品として著した一冊。特徴的なのはユダヤ人がネズミ、ドイツ人がネコのように動物の姿で描かれている点だ。インタビューそのものをマンガ化し、著者が父の内面に深く切り込むことはない。物足りなくも感じるが、父や亡くなった人々の心中は読者が考えるしかない。考えるのをやめた時、街に鍵十字を再び見ることになってしまうのかもしれない。
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ブロッコリー
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図書館。アウシュヴィッツから生き延びたお父さんの話。淡々と語られている。実際に体験している人は、意外に冷静に物事を受け止めているのだな。 人間と人間が妬みあい、殺し合い、差別する世の中になっては絶対にいけない。戦争の恐ろしさって、非日常を日常にしてしまうことなのだな。
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ふかわ
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後半に筆者の父親がアウシュビッツで体験したことが描かれている。悪名高きガス室の話もある。
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memoric
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ネタバレ寓意などではなく、ただただ人生の記録。登場キャラクターから感じたのは疲労と諦めとときどき希望。容貌で人種がわかるわけではないので、人種ごとに動物が割り当てられていて読みやすかった。ユダヤ人がネズミに置き換えられているのがしっくりくる過去の事実があることが悲しい。加害側に加担しないように常にはっきりとNOを言う勇気が大切だと再認識。
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伊皿子りり子(編集Lily)
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完全版が出たというので購入。ユダヤ人をネズミ、ドイツ人をネコ、ポーランド人をブタ、という風に擬人化しているが、たとえ可愛い動物の絵でもなお恐ろしくて、読み進めるうちにあまりのひどさに、そしてこれが現実の話であるということに気分が悪くなる。これが人の絵で描かれていたら、私はとても直視できなかったと思うし、そういう意味でもすごいマンガだ。
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Mark.jr
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アメリカのオルタナティブコミックをリードしている作家の1人Art Spiegelman。その代表作が、この「マウス」です。日本では長い間絶版で、知る人ぞ知る傑作でしたが、この度復刊。目出度い。本書は著者のユダヤ人である父親のアウシュヴィッツ体験綴ったもので、その綿密な取材による描写が大きな読み所の1つです。さらに、過酷な体験によって何かが壊れた父と劣等感を抱える息子(著者)の関係性がテーマにあります。そうした重たさと、ユダヤ人を鼠、ナチス・ドイツ人を猫に置き換えた軽さの絶妙なバランスが本書のキモです。
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たけのこちゃん
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必読。 重い。
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yura
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大学の先生のすすめで読んだ本。ドイツにいつか行きたい、その時には収容所にも行き歴史を学びたいと思っていました。この本は漫画になっていてユダヤ人をネズミに、その他の人々も猫や豚などに描かれています。人のまま描かれても国籍や人種は分からないし、動物にすることでグロテスクさも少ない気がします。また、自分の体験ではなく父の話という視点も、客観的に見ることができて読みやすかったです。 当時のことを学びたい、グロテスクな映像などには触れたくないけれど知識として知っておきたいという人にぴったりだと思います。
0255文字
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