形式:単行本
出版社:中央公論新社
形式:Kindle版
お笑い芸人はやれない。お客さんと一緒に作っていくものだから、独りよがりではもちろんダメ。「お笑い」とは何だろう、その本質まで突き詰める。結局は人を喜ばせることなのだ。そういう意味ではスーパーの店員や、日本経済を動かしている人と根本では何も変わらない。もちろんうまくいかないことも山ほどあって、難関がいくつもいくつも立ちふさがる。その中で夢を目ざしてひたむきに頑張る人たちの「雑草魂」が描かれる。と、全体的には明るい前向きなテーマであるのだが、物語の大筋に関わる登場人物が多いことと、スーパーとお笑いという二本柱
のモチーフを描かなければならないこと、ショービジネスという「表と裏」を描かなければならないことで、テーマが複雑と化し、シーンごとの文量もかなりのものとなって、シーン展開にもたつきが生じてしまったような印象もある。スーパーの賑やかな感じや、お笑いライブの臨場感といったものが、もっと出ていれば場面に陰影がついて、立体感が得られてもたつき感が薄れたのではないかと思う。
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