形式:単行本
出版社:中央公論新社
形式:文庫
形式:Kindle版
読メ1500冊目!
この小説にはもう一つ、印象的な場面が出てくる。それは奇妙なフットサルの会の場面。このフットサルの会には、通りすがりだろうが誰でも参加できる。走っているものはほとんどいないで、歩いてボールを追いかけている。ボールの空気も緩く、あまり弾まない、転がらない。寡黙にうつむいている人、独り言をしゃべりながらプレーしている人、ヤクザっぽく怖そうなのに優しいおじさん、ダウン症の人、年寄りも子供も、濃く派手に女装した人もボロボロの服の人もいる。ここもまた、自己の本性を出して切り、自分自身でいられる解放の場。
作者はどうもこの小説で現代日本での自己解放の(ということは社会変革の)場を模索しているように思う。扱われる問題は重く、深いが、それに拮抗する方向もまた指し示そうとしたのではないだろうか。巻末の参考資料のところに信田さよ子の著書や「オープンダイアローグ」関係、「べてるの家」関係のものが見受けられ、ブレイディみかこ『他者の靴を履く』にも出て来た映画『プリズン・サークル』も挙げられている。その辺りがこの作品に大きく影響を与えていると思う。若干図式的な感じがしないでもないが、それでも今年読んだ本の中でも注目作。
りんごさんの感想、よくわかります。確かに「受け入れられない」と「受け入れられる」の間をグングン進んでいく不思議な小説でした。
あんな素性のわからない人たちと一緒にしないでくれ。自分は違う。れっきとした、、、、なんなの?って話よね。私はちゃんとしてます、という考えが選民思想だったのかと、地盤が揺らぎますなあ。
細かい事だけど、ニックネームで呼び合うのなんとかなんないかな。紗良をサリーって呼ぶ方が字数多いし「さ」しかカブってないし面倒じゃない?慣れるまで混乱しちゃった。
キクさまの感想に惹かれて読みました。私の常識では受け入れられないほぐし方に再構築の仕方でしたが、大変頭使いました。受け入れられんあたりがこの本のキモなのかと思いますし。面白かった。
うん、ガツンとやられた感がこの本のキモなんじゃないかと僕も思います。
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