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梁の武帝 仏教王朝の悲劇 (法蔵館文庫)

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maqiso
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六朝には官僚である士大夫が貴族化し、政治から離れた文化が生まれた。漢代からの儒学と魏晋に栄えた老荘に加え、文学と史学を広く知ることが教養とされた。当時の士大夫は文学を重んじ実務を軽視したため、政治には寒人が重用された。南朝の皇帝は軍人出身が多く恐怖政治もあったが、梁の武帝は一流の文人から帝位に就き、長い治世の間に文芸を栄えさせた。仏教に傾倒して寛仁の政治を行い犠牲・体刑の廃止をしたが、慈悲は庶民までは行き渡らず、王族の対立が温存されて梁滅亡の要因ともなった。
0255文字
T.J.
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梁朝50年という泰平の時代の創始者であり、同時に亡国の主であった梁の武帝を、彼の生きた六朝という時代のなかで活写した一冊。漢代の儒教から仏教、道教、玄学の隆盛の流れを意識しつつ、またそのなかで生まれる六朝人の精神の変遷、さらには寒人重用という南朝全体を貫徹する政治動向を描写し、武帝の仏教傾倒と侯景の乱による梁朝滅亡の有り様を描き出す。
0255文字
shrzr
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梁の滅亡は武帝の仏教への傾倒ゆえなのか。動乱の時代背景も含め広い視点から迫る。
0255文字
じぇろポーta
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梁を興し50年の太平の世を築くも侯景の乱により囚われ非業の死を遂げた武帝。その生涯、政治手腕、仏教信仰の在り方を解説し、また南朝における歴代王朝の同族殺しの陰惨な特性や寒門・軍門出身者と貴族化した士大夫層が対立した社会の姿にも触れている。武帝の仏教への溺信が国を亡ぼしたという後世の批判も故無きことではないとしつつ、南朝社会で隆盛した玄儒文史の豊かな教養それ自体の致命的弱点も指摘。王法に代わり仏法で天下を治めようとした実験とその失敗。時代的限界のなか、その悲劇的最後にも拘らず最もよき人生を生きぬいたとする。
0255文字
さとうしん
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政治の時代であった漢代に対して文芸・宗教の時代であったという六朝。その時代性の中に梁の武帝の生涯を位置づける。創業の君主であると同時に亡国の君主ともなったという珍しい経歴の持ち主だが(心当たりとしては王莽があるのみ)、彼の「寛容仁慈」の限界をもえぐる。儒学が「治国平天下」につながるのに対し、仏教信仰はまず個人の営みとして現れるという。「鎮護国家」につながらない為政者の仏教信仰は日本の平安時代のそれと対比させることができるのではないか。
0255文字
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梁の建国者にして事実上亡国の君主となった武帝について、当時の学術や宗教、政治についてのながれに位置付けながら描き出す。彼の寛容仁慈の限界、手段としてつかうのでなく個人の信仰の理念を政治に反映させたことの問題、このへんはなるほどなと https://historia-bookreport.hatenablog.jp/entry/2021/09/14/225031
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