そして、本書の良いところは同定の楽しさ(「アヘン」と筆者は形容していたが)も追体験できるところにある。私もしがない生物屋なので『日本産魚類検索』や『原色○○図鑑』を用いて同定作業をしているが、種まで「落ちる」まではグチグチ文句垂れながらやっているが、いざ満足のいく結果が出たら何とも言えない満足感や充足感がある。同定作業でしか摂取できない栄養素があると思う。
同定という作業即ち物事を分類してカテゴリーするという行為は、何も生物だけでは無いと思う。仏像や戦車、アイドルの顔などなど皆ざっくり分ければそれで完結するが、それぞれの分野が好きな人はちゃんと一つ一つを「同定」できる。違いを見出すことが楽しいんだろうなと勝手に思うと共に、まだまだ自分が知らない世界があることを物語っているように感じた。
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