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柳田國男先生随行記

感想・レビュー
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tkm66
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手軽に読めて・内容は大変濃い。好著。
0255文字
Sakie
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柳田國男が講演で九州へ行く、その世話係として随行した記録。小型録音機などない時代、憶えて書き起こすのが当たり前だった。柳田國男は車窓の景色を見ながら当地の文化や事物、門人の話、新たな着想まで話題に事欠かない。著者は困り果てていたけれど、常人には難しいんじゃないか。一方、研究ばかりではなく、後進を育てることや、得た知識を書籍化して売ること、門人の集まりや入門書の構成にも心を配るなど、民俗学界を盛り立てる方向を考えていた人であったと窺える。真珠湾攻撃前夜のことでもあり、その頃の世相や一般人の心情も興味深い。
Sakie

『学問は世の中のためにするものじゃないか。自分一身の経営もできないものが学問をして何になるのだ。そういうことをちゃんとやれるようになってから、学問をやりたまえ』。柳田國男が門下生を叱りつける場面。一身上の事はそりゃ自分でなんとかしなければならないが、生活費の問題とか、金銭面でも不安定なのでは学問にちゃんと向き合えないのも事実。現代に至り、大学に残って研究するという選択が、こんなにも厳しい時代になったのでは、国も豊かにはならないと想像される。

05/24 14:50
0255文字
Lilas
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紀行文として手に取ったので、柳田先生の講演を記した部分は飛ばして読んだ。往路、乗船するあたりまでが瑞々しい感覚でよかった。偉い先生との長旅でだんだん疲れていく作者に同情。同室はキツイ!
0255文字
ししおどし
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元は昭和58年刊行の令和4年復刊版。日米開戦直前の昭和16年11月13日~28日まで柳田の講演を兼ねた鹿児島までの各地の鉄道と船の旅に同行した大学卒業間際で召集に怯える若き弟子の旅行メモと折に触れ柳田宅を訪れた際の備忘録。旅行中、行く先々で該博な地理と歴史の知識と目と耳による鋭敏な観察が披瀝される。各地の民俗学の同士たちとの交流も描かれる。道中、斯界の泰斗と時に寝室まで一緒で緊張しきった著者の様子が微笑ましい。著者は後年新聞記者をしながら柳田と交流を続けているが、好悪相半ばだったらしいのが随所に伺える。
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大和桜289
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本書は、1983(昭和58)年に秋山書店から刊行された「柳田國随行記」を改題の上、復刊されたもの。太平洋戦争開戦直前の昭和16年11月13日~昭和16年11月28日迄の17日間にわたる、柳田氏の九州までの講演旅行の随行記とその随行後記を収録している。柳田氏はこの旅行時66歳で著者は大学四回生で繰り上げ卒業まじかであった。柳田氏は気難しいタイプでは無かったようだが、本を読んでいる時を除けば一日中、窓外を眺めていなければご機嫌が悪く、それに伴って開陳される有り余る知識に相槌を打つのも大変そうだ。→
大和桜289

→先生の旅程や旅の風情は戦争不可避の社会情況でも悠揚迫らぬものがあり、行く先々で地元の名士方と会談・会食などをされ、著者もそれに同席したり、宿によっては先生と相部屋で泊まったり、それが連続して17日間の密着行動だから、気苦労や気づまりも絶えなかったろうと推量される。だが、考えようによれば、若い時に碩学から特別講義を受けたようなものであり、先生の人徳にも触れ知己を得たことは、著者のその後の新聞記者生活や人生に於いて多大な恩恵に繋がっただろうと推測される。若い時の苦労は買ってでもせよと言うではないか。

09/18 05:27
0255文字
qoop
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開戦間近の時期に、柳田の講演旅行に随行した著者の覚え書き。民俗学の巨人と一対一で過ごす若き学徒の緊張感と高揚感を伝える一冊。師の片言隻句も逃すまいとする意気込みが時に愉快な空回りとも写り、若さゆえの一喜一憂に共感しつつも微笑ましく読んだ。著者のことはこれまで「日本怪談集」などでしか知らず、斯界の泰斗という印象だったので、余計におかしみと親しみを感じた。
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桐葉
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毎日新聞の書評に載っていたのを,図書館の新刊コーナーで見つけてラッキー。そのころの学者では日本一と思われる大先生の旅行のお供を田舎出の若者が17日間もすれば,何か書き残したくもなると思う。先生の博覧強記というか,どこを旅してもその地を解き明かす記憶力・碩学に,感嘆した。三人の先生の人間性を語っているところも面白い。復刻されて読むことができてうれしい。
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tamami
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1983年に刊行された『柳田國男随行記』の復刊。毎日新聞記者で、お弟子筋に当たる著者が、柳田國男の講演旅行に同行した折のメモと、戦中から戦後にかけての柳田先生取材記から成っている。柳田が東京から中央線で名古屋まで行き、その後2週間余りをかけて西日本各地を旅行した折りの同行記が面白い。碩学が行く先々の景物の解説をしながらの著者とのやりとり、公演先での見聞と講演の要旨、皆々当時の雰囲気と関係する人々の人柄等が直接に窺える文章で、書店店頭での予想がピタリと当たった思いである。とりわけ驚くのは、本書にまとめられた
玄趣亭

tanami様。東雅夫著『文学の極意は怪談である』の折口信夫の項に、民俗学の立場から怪談について書く著者のことが紹介されていました。本書の「はじめに」についても、触れられていました。著者を含め折口信夫や渋沢敬三など同じ67歳で亡くなっていると云うことでしたね。符合というにはなかなか恐ろしくゾッとしました。東雅夫はエピソードをこうまとめています。「霊界の折口大人の「引き」の強さや恐るべしというべきか、はたまた、齢六十七にして精力的に九州一円を旅してまわる柳田こそ真に恐るべしというべきか……」

04/09 17:32
tamami

玄趣亭様、コメントありがとうございました。東さんの著書は知りませんでしたが、拝見して私も背中が寒くなりました。柳田は超別格ですね。80を過ぎても、記憶力には絶倫なものがあったと読んだことがあります。

04/10 01:20
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