形式:新書
出版社:中央公論新社
形式:Kindle版
落ちぶれた平氏の「就職先」の一つが関東であり、武士の世界だった。公家平氏諸流の地味さに比べ、武家平氏の中には綺羅星の如くビッグネームが並ぶ(仮冒もあるのだろうが)。上総、千葉、北条、梶原、畠山、土肥、小山田、三浦、和田…関東=源氏の世界というイメージは思い込みにすぎなかった。とは言え、頼朝が挙兵するとこの連中の大半が源氏についてしまったことも事実で、当時の氏族意識について考えさせられる。
都に残ったグループの中では、高棟王系の堂上平氏が実務官僚として頑張っていた。この系列の時子と伊勢平氏の清盛が結ばれたのは300年以上の時を超えた結合(210頁)とのことで、それがあの結果につながったのだから奇跡のコラボと言っていい。「平家」は武家平氏と公家平氏の合作。有名な「此一門にあらざらむ人は…」云々が時忠の口から発せられたのも理由があってのことだったのだ。
イマイチな感じですか?
清盛以降を期待していたのですが、平安末期が専門の方らしく、読みたい内容からはずれてしまっていました。ちゃんと内容確認してから読むべきでした…
第五章でやっと普通の歴史概説になるが、全盛期の平家の解説なので、通史でも扱われる有名な話であり、特に目新しいことがない。門外漢にとっては退屈な書であり、歴史好きにとっては物足りない書であろう。
「源平合戦」は、その実「平平合戦」、との評も。時の天皇からの親等の近い公家源氏に比べて平氏は朝廷内での没落のスピードも速いが、早くから進出した東国で広範に地歩を築いた。その一族が伊勢に戻り、更に京に進出して平家となる正盛流につながる。しかし、その正盛流も中級公家の時忠と結合することなしに平家政権を樹立できたか。皇親・摂家との血縁、朝廷政治に詳しい公家平氏の存在が無ければ、暴力だけで朝廷を支配することは清盛晩年を観てもわかるように困難だったろう。決して楽ではないが、考えるところ多く、面白い。けど、しんどい。
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