形式:単行本
出版社:文藝春秋
せしめられた女性の有り様を描きたいという底意はあるのだろう。ただ、意外にも著者の筆による批判は舌鋒鋭いとまでは言えない。事実を史料から淡々と描述するのみで、ゴシップ記事詳細版の羅列にしか見えない。あえて例外というのであれば、①小林多喜二の妻(特に多喜二死後、更に言うのであれば戦後)の模様。②十五年戦争において従軍を余儀なくされた兵士の妻・家族(ただし、妻本人の解読ではない上、余りに家長優先志向・男尊女卑志向につきステレオタイプな男性で、なんでこんな男に妻が大陸までついていったのか全然理解できない)
は多少面白いが、せっかく著者が書くのだからという思いはある。消化不良というか、物足りない。まあ、元々半藤一利が執筆依頼した昭和期の皇后のありようを描くよりはマシだと思うけれど…。
●君子にしてみれば、妾よばわりされたり、情夫に貢いでいるのだろうと白眼視した故郷の人々に、医学博士となった夫を披露し、積年の思いを晴らす待ちに待った日の到来である。だが、君子の懇請を無視して、夫は妻の故郷に姿を見せようとはしなかった。
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せしめられた女性の有り様を描きたいという底意はあるのだろう。ただ、意外にも著者の筆による批判は舌鋒鋭いとまでは言えない。事実を史料から淡々と描述するのみで、ゴシップ記事詳細版の羅列にしか見えない。あえて例外というのであれば、①小林多喜二の妻(特に多喜二死後、更に言うのであれば戦後)の模様。②十五年戦争において従軍を余儀なくされた兵士の妻・家族(ただし、妻本人の解読ではない上、余りに家長優先志向・男尊女卑志向につきステレオタイプな男性で、なんでこんな男に妻が大陸までついていったのか全然理解できない)
は多少面白いが、せっかく著者が書くのだからという思いはある。消化不良というか、物足りない。まあ、元々半藤一利が執筆依頼した昭和期の皇后のありようを描くよりはマシだと思うけれど…。