出発点から転移によってハードモード寄りの冒険をしたあとに大学編で青春のやりなおしをして、そのあとに物語の最終目標が定まっていくという仕掛け、それに奔走するというストーリーテリングが実に気に入った。転移魔方陣を通してショートカットしつつも、要所要所で冒険や政治譚、軍略への参加。そして一度通った道を再訪する楽しみも一入愛おしい。ルーデウスが巡らなかった土地、言語（海族、天族）という追加コンテンツ要素もあり、次回作に成り得る要素も多く残しつつ、本編内ででてきた七代列強などの真相もある程度語られたし。大満足

本シリーズを読み始めたのは通いの図書館にとつぜんラノベが大量に入荷されたからなのだけれど、息抜きに読んできた本（ノンフィクション）にもこれほど良い娯楽本（娯楽小説）はなかなか無かったように思うので、本当に満足している。レ・ミゼラブルやモンテクリスト伯を読んだ時のような感じがある。指輪物語よりかはわかりやすさという点で明確に面白い（あれは骨太すぎる）し、ハリポタよりも露骨なシモ要素があるのでミドルティーンもニッコリ。エリスは最初から最後まで良かった。ルーデウスが三人の妻を愛したという描写がただただ愛おしい。

らさ。だから、ちゃあんと、いざって時に、話を聞いてくれる、指示を受けてくれる」(略)「結局、戦う理由を無理やり用意して、かき集めて、焚きつけて、裏でコソコソやって動かそうとするだけじゃ、無理ってことだなぁ……」(略)「わかってたつもりだったが、わかってなかった。それでも、なんとかなるって思ってた。もっとも、一番わかってねえのは俺じゃあ、ない」ギースは笑った。「ヒトガミさ。アイツは、さっきまで喚いてたぜ。なんでだ、なんでだ、お前のせいだ、お前がもっとうまく動いていればってな」(略)「当たり前じゃねえか。なあ

？　てめえのために一生懸命働いてくれた奴を陥れて、あざ笑うような奴に、誰がまともに手なんて貸すかよ」(p114～115)

【本編を読んで】～異世界で人生をやり直す。よくありそうな設定で、記憶を頼りにチートをしながら人生を謳歌するのかと思いきや、普通に苦労人。人一倍努力を重ね、真面目に生き直す。困難な局面に何度も遭遇し、挫折を仲間と共に乗り越え成長していく過程がリアルに描かれている。彼を取り巻く周囲の人間模様が色濃く、登場人物達が魅力的✨個人的にはエリスとザノバ推し。終盤の展開は駆け足感が否めないが、補って余りある壮絶な展開に、読む手が止まらなかった。異世界ラノベの金字塔の異名、伊達じゃない✨

色々な時期のルーデウスの物語の中で、やはりワクワクして面白い部分というのは幼少期からデッドエンドの解散までの部分が一番心に残っている。やっぱり世界のことが全くわかっていなくて、世界がどんどん広がっていく手探り感ってワクワクするんだよな。後半は世界を駆け回るんだけど、転移装置とか使ってしまうし世界に慣れてくることもあり急速に旅、冒険感が狭まってしまうんだよな。物語も収束するわけで仕方ないことだけど。ただ全体的に本当に面白い話だった。

最後の闘神との戦いだけど、またザノバが闘神と生身で戦ってるんだよなｗザノバ凄すぎる。シーローンの戦いはザノバが一人で突っ込んでも全然勝てたんではないだろうか。魔法に弱いという話はあるけどｗあとギースの最後は結構あっけないが、それも戦争の無情さを感じさせる。ギースもまた自分の敵わない相手に挑む英雄だったのかもしれない。

まぁ、レビュー本編に色々書いたけど、ルーデウスの人生録としてはこんな感じなんだろうな。実際、ギースらとの決戦後は、本当の最終決戦の為の下準備だけだろうし、そっちも書くとなるとスターウォーズの「スカイウォーカー・サーガ」的になるからな。作者、とりあえずお疲れ。蛇足編で何処まで書くんだろう。期待と言う名の重圧の念を送るｗ

終わってしまった…。1度読んだけど、感想書くために全巻パラ見してるうち、いつの間にかガチで再読してました(￣▽￣;)…。番外編も是非とも書籍にしてください♡