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古代中国 説話と真相 (筑摩選書 259)

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f/k/a 上海
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中国古代史の史料にある故事は多くが創作エピソード(説話)なので歴史学では注意して扱いましょうという話。春秋時代と戦国時代以降では社会が大きく異なり、戦国時代に出てきた思想家が自説を権威づけするために古人に仮託して創作するのでどんどん時代が遡り(加上説)、創作された時代と語られる対象の時代の食い違いで後代に作られた話と判別できるものが多い。一次史料のない先史時代については考古学にも踏み込んで進歩史観を否定してたりするのも面白い
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竜王五代の人
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春秋戦国時代までの説話(と、その登場人物の多く)が架空のものであることと、社会や情勢の実際、そして説話が作られた背景を語る。管鮑の交わりの二人や孫子の二人ともが架空だとか、孟子は、自分に関わる五十歩百歩の逸話も含め、話をでっち上げる人だったとか、想像以上の架空具合であった。ただ、過去に理想社会なんてなかったとか、戦争や国家が社会の変化を先導したとか、政治的なスタンスが目につく。
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遊未
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考古学上の発見がある度にまた史料のが研究が進んで歴史は新しくなり、でも説話は変わらず語り継がれる。考古学も研究も踏まえてしっかりと説明されています。今まで別の本で読んできた内容が一冊にされた感じ。しかし、真相という言葉はタイトルとして強いけれど別の言葉が良かったように思いました。
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パット
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そもそも中国の正史とは正確な歴史ではなく、歴代の王朝によって正統と見なされた歴史にすぎない。勝者が敗者を貶めることで勝者側の正義を主張・宣伝することはよくあるし、面白い話、教訓になるような話は人々に好まれ、信じられ、語り継がれていく。そのような説話は文学や思想の研究には有用だとしても、歴史学・社会研究に直接使えない。著者は説話と事実を区別することの重要性を訴える。それにしても、酒池肉林、臥薪嘗胆はともかく、合従連衡、焚書坑儒まで作り話だったとなると、日本の高校世界史の教科書も作り変えねばならなくなってくる
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みずきはは
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中国の古代史は詳しくありませんが、酒池肉林や臥薪嘗胆などの言葉は聞いたことがあり、エピソードとしてはおもしろいなと思っていました。しかし著者は、それらは後世に創られたものが多く実際の歴史の真実とはかけ離れているということを様々な例を挙げて指摘しています。正史であっても時の政権に都合よく書かれているのは、日本の歴史にもあるので、真偽の判定は難しいのはわかります。それでも説話はよくできていて人間の真理をついていたりするので、今でも語りつがれ、歴史を知るきっかけにもなっているのではないでしょうか。
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takao
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ふむ
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サアベドラ
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紂王の暴政や戦国時代の合従連衡など、古代中国の史書や書物に登場するエピソード(説話)を史料批判や同時代史料との照合などにより検証し、より真実性の高い歴史像を提示する選書。2023年刊。著者は『殷』(中公新書)を書いた人。描かれる古代中国史像は一般的なイメージと異なるところも多くてなかなか興味深いが、一部そこまで言い切っていいのか?と思わせる記述もあり、どこまで学会でコンセンサスができているのか少々疑問ではある。
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Satsuki
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上古の酒池肉林や春秋時代の臥薪嘗胆、戦国時代の合従連衡に始皇帝の焚書坑儒など、有名な説話の真偽を検証。ほぼ後世の創作だと著者は指摘する。教訓説話のため紂王個人の暴虐性が強調されたり、説話自体の時代ではなく説話が作られた後世の社会制度を反映していたり。三皇五帝は別としても、実在の人物関連の説話は真実ととられやすい。人文科学(文化研究)ならば事実か創作かの区別が不要な場合があるが、社会科学(社会研究)ならば区別は必要不可欠、との記述が腑に落ちた。現在人口に膾炙した説話は、事実とは異なる文化ということだろう。
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Teo
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夏の桀王、殷の紂王とか、あれは説話で実際にはそんな事は無いと言われても、全部身も蓋もない。ただ、漫然と「あれは架空の物語だよね」と思っているのと改めて「こうだからそうではなくてこうだろう」と言うのはありだろうし、こう言う状況はそれが書かれた後世(ゆうに数百年とか経っている)の状況から作られたものだと言うのは成程と言う面がある。ではそんな説話だらけの時代が実際を反映する様になるのは漢代からだろうか。
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さとうしん
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同じ著者による『古代中国の虚像と実像』の実質的増訂版。各時代を舞台にした説話を批判しつつ三皇五帝から始皇帝までの中国古代通史としても読める作りになっている。前著と比べて世界史や現代世界との比較が盛り込まれてる分話に転がりがあるが、説話の批判は「理屈から言ってあり得ない」式のツッコミが大半なのでやや物足りない。たとえば春秋時代の説話については小倉芳彦による『左伝』の腑分けを紹介しても良かったのではないか?
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