形式:文庫
出版社:中央公論新社
「あなたは仕事の方法をおもちですか? あるとすればどんな方法ですか?」好みの筆記具。能率的な部屋の間取り。作業のはかどる時間帯。気分を高める儀式。……忙しい日常の中で、自分が本当に書きたいものを書き、完成させるには、そうした手段や環境を整えることも大事。でも、どうすれば?バルト、サガン、レヴィ=ストロース、ル・クレジオなど、ノーベル文学賞受賞者含む小説家・評論家・エッセイストといった二十五人の巨匠達がインタビューで具体的に明かす、自分だけの執筆スタイルを見つけるためのヒントと試行錯誤の履歴。彼らの探索は、コンピュータ/AIが発達した時代にも変わらず存在し続ける、創作者の行き詰まりや無力感(ライターズ・ブロック)を乗り超えるための、普遍的な証言集としても読むことができる。
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中には、<私のほうから逆に質問したいことがあります――あなたは誰に質問してるんです?私は曖昧な存在でしてね。ジャック・ローランとセシル・サン=ローランでは仕事の方法が違うんです>と言い出す、ジャック・ローランみたいな人も。<書物の一部は、まさに犬の散歩のあいだ、私の頭のなかにできあがるのです。逆に私がものを書いていることになっている時、特に夜の十時から真夜中までは、実を言うと、煙草を喫ったり、原稿をぱらぱらめくってみたり、(中略)多いのです>と回答しているミシェル・レリスが印象的でした。
かく言う私はセシル・サン=ローランタイプでした。「書き出すまえ、数限りない細部を知るために、図書館で孤独な仕事をしなければなりません」「登場人物の名前もいい加減に選ぶわけではありません(中略)必要とあれば、固有名詞の語源辞典を引いてみます」創作者同士であなたは誰タイプ?とやるのも面白いかもしれない。
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