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桃色じかけのフィルム ――失われた映画を探せ (ちくま文庫 す-33-1)

感想・レビュー
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道楽モン
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AVとピンク映画の区別のつかない御仁は、この感想文をスキップしましょう。1960〜90年代に映画の徒花として撮られ、興行収入を最低限ながら維持できたピンク映画によって経営を支えた地方の映画館は確実に多数存在していた。そんな意味においても映画史に刻まれるべきだし、大手で撮れない監督の登竜門、活躍の場であった事実は大きい。男の欲望に応える前提で、低予算、短期撮影を余儀なくされたが、その反面、欲望に振り回される人生の悲哀を、監督たちは思う存分にフィルムに焼き付けた。大半の作品が破棄されている事は文化的な悲劇だ。
道楽モン

ピンク映画出身の監督たちの名前を挙げれば驚くだろう。 若松孝二、武智鉄二、山本晋也、本木壮二郎、高橋伴明、神代辰巳、中村幻児、藤田敏八、長谷部安春、石井隆、金子修介、森田芳光、黒沢清、神代辰巳、瀬々敬久、根岸吉太郎、周防正行、城定秀夫、今岡信治、……まだまだ大勢。にっかつロマンポルノの監督たちは、まさに職人。あ、長谷川和彦。

02/10 20:54
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Ta283
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失われてフィルムの存在さえ判らない作品が多いのは文化の損失だと思う
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SATAN'S TOY
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都築響一主催のメルマガの連載をまとめた本でピンク映画の年代記的なものではなく各章ごとにいろいろな人や作品について読みものとして書かれている。基本的に後に残すことを想定されていなかったピンク映画の、失われたフィルムの数々に思いを馳せたり、発掘されたフィルムに驚愕したりと、日陰者だったゆえに妖しい光を放った映画とそれにまつわる人たちの物語は何かそれらの映画と同様な魅力を感じる。数々の図版もうれしい。
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hee
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フィルムは保存状況さえよければ100年は保つといわれているが、独立プロで制作されたピンク映画はたかだか50年前しか経っていないのにその所在が分からないものが多いとか。実は80年代のAVも既に所在不明なものが多いという。山本晋也監督や高橋伴明監督、黒沢映画の名プロデューサーだった本木壮二郎のフィルムもほとんどないという。更に低予算だった為か質の良くないフィルムを使っている為、見つかっても映写機に掛けられないとか。にっかつロマンポルノもよいけど、量産されたピンク映画も間違いなく映画史の一部です。
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tkm66
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一気読み
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たまさか
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なかなか人に勧めづらい表紙絵だけど、読んでみると、ピンク映画を日本映画史の中に位置付けようとする予想を遥かに超えた真面目な内容なのでかなりびっくりした。「エロ(ス)」を巡る余計な言い訳や屁理屈や居直りもなく、淡々と事実を提示して、ピンク映画が様々な場面で果たしている重要な役割を描いているのは、著者がルポライターを自認しているからなのか(おそらく自己主張が下手な人でもあるのだけど)。それぞれのトピックが、フィルムの消失というテーマに絡めてあるので、映画メディアの変遷史になっているのも興味深い。良い本でした。
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Admiral2009
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ピンク映画やブルーフィルムに心躍らされた時代は何時頃だっただろう。アダルトビデオや裏ビデオや日活ロマンポルノに通じるルーツを業界第一人者の著者が探ります。熱海には泊まる宿から山間の萎びた宿に移動して、シーツをスクリーンにしたブルーフィルムの温泉ポルノツアーがありました(笑)。
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fwhd8325
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学生時代のある時期、劇場で公開された日本映画は全て見ていました。その中には添え物として公開されていたピンク映画があります。にっかつはロマンポルノと言われていましたが、その他の成人映画はピンク映画と一括りです。しかし、その中に心を抉られるような名作もありました。この著書でも紹介されています高橋伴明、中村幻児作品は、本当に素晴らしかった。山本晋也監督もこの世界を陽のあたる場所へ導いた功績があります。最近は映画を見なくなりましたが、ここには、懐かしいだけではない日本映画の輝いていた時代が描かれています。
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Bo-he-mian
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滅法面白かった! ピンク映画などと云うと、知らない人はAVみたいなものを想像するかもしれないが…いやもちろんエロが目的で制作された映画群だが、そこには大手の映画会社に迎合しない反骨精神や、エリート社会からドロップアウトした者たちのルサンチマンが渦巻く、マジョリティへの叛逆のジャンルでもあるのだ。右から左へと消費されてゆく低予算の、真っ当な映画史からは相手にされないフィルムの中に、どんな思いが込められていたのか…そこに思いを馳せる熱い人物伝で、決してキワモノ目線で面白おかしく書かれたB級映画紹介ではない。
Bo-he-mian

例えば、「野良犬」「羅生門」「七人の侍」「蜘蛛巣城」など、初期の黒澤明の作品をプロデューサーとして支えた本木荘二郎は、金銭問題が元で東宝から追われる。クロサワとも袂を分かった本木は、ピンク映画の世界で監督・プロデューサーをしながら、人知れずアパートの一室で亡くなる。しかしそれは栄光から追い落とされた男の哀しい最期ではない事を、本書の著者・鈴木義昭氏は熱い追跡取材によって解き明かしてゆく。その顛末はぜひご一読して頂きたい。また、歌舞伎界の異端児として知られる武智鉄二は、自らピンク映画の世界に飛び込み、

07/02 09:11
Bo-he-mian

谷崎や漱石を原作に、スキャンダラスな映画を次々と制作してゆく(実は「白日夢」とか、結構アマプラで観れる・笑)。その武智が制作しながら、お蔵入りしてしまった幻の作品、漱石の「夢十夜」が原作の『幻日』…それがある時発見され、限定上映される事になる。都市伝説のような作品の幻影を追い求める鈴木氏の眼前に現れた映像とは? まさに水滸伝の好漢たちのように、正史では評価される事のない人々の生きざまに一条の光を当てる、渾身のルポルタージュである。

07/02 09:26
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阿部義彦
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ちくま文庫6月新刊。都築響一推薦の帯に惹かれ購入。昭和30年代後半に、弱小プロダクションから雨後の筍の如く作られた『ピンク映画』この本では、ピンク映画の監督、俳優、作品についてのドキュメンタリーです。先ず驚いたのが初期の黒澤明監督の制作をしていた本木荘二郎が『蜘蛛巣城』を最後に東宝撮影所を追われ、ピンク映画の世界に嵌って晩年まで撮り続ける事。彼の後継者が山本晋也監督で、やっと自分でも追いていける世界そしてにっかつロマンポルノの話なども。興味のある方は後半の天然カラーのポスターだけでも一見の価値あり。
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桃色じかけのフィルム ――失われた映画を探せ (ちくま文庫 す-33-1)評価91感想・レビュー10