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ザ・ルーム・ネクスト・ドア

感想・レビュー
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三つ首ティラノ
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末期癌の友人の見舞いに通う女性が見聞きした物事とそれに関する思考を綴った小説。世界の終末、ご近所付き合い、エンタメ化された生と死、男女や親子の間の隔たり、ときには保護猫の過去の空想まで。全く別の話題なのにどこか寂寥とした一体感があるのは、苦しむ友人を前に、言外で自分の善意や思考に意義があるか問い続けているからかもと思った。「あなたはどんな思いをしているの?」という内心の問いかけとともに主人公は傾聴し続けようと努力する、けれど、それを本当の意味で完遂できる人は誰もいないのかもしれないと感じる終わり方だった。
0255文字
ILBooks
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ネタバレ久しぶりに会った友人から死ぬ時隣の部屋にいてほしいと頼まれる。友人は癌末期で薬による安楽死を望んでいる。ケアは求めているがずっと側にいてほしい訳ではない。主人公の元恋人は講演でもう地球(人類)は終わりだと言い、末期患者の集まりでは誰もが同じような事を言う(言わされている)。死んだ後は何もないのだけれど、誰もがみっともない死に方を拒絶する。死は残された人たちのためにある、のかも知れない。
0255文字
なつこうへい
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安楽死に寄り添ってほしいという学生時代の友人の願いを受け入れる事に…。不幸な人が必要としているのは〈自分に注意力を傾けてくれる人間だけ〉。本書の原題〈あなたはどんな思いをしているの?〉という問いらしい。最後はなんだかさわやか。
0255文字
naff1968
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ネタバレ“週末のあいださえもたないような本“ですが、そこに描かれているテーマはとても、重い。作者の目線はとても厳しいけれど、でもどこか優しくて、ユーモラスで、読後感はとてもいい。What are you going through? そう問える人間に、僕もなりたい。
0255文字
本の蟲
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ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作の原作本。癌で余命わずかな友人は、安楽死の薬を手に入れていた。心の準備ができるまでの最後の日々を、共に暮らしてほしいと頼まれた主人公。予告なしに死ぬと決めている友人との共同生活が始まる…。若い頃ならともかく、もう一番の親友同士とは言えない二人に生じる変化。避けられない老化の悲劇。病のつらさよりポジティブを強要される苦痛について。上手くいかない血縁との関係や、あらゆる希望のない未来について。何一つ計画通りにいかない人生だが、それでも苦いユーモアで笑うことができる
0255文字
mikechatoran
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素晴らしい読み応えだった。軸となる物語はあるけれど、それ自体よりはむしろ、前作の『友だち』同様、生と死など、いろいろなことについての思索がさまざまな引用とともに語られる。印象的だったのは言葉、コミュニケーションについて。グループセラピーで夫について語る女性が出てくるが、死を前にしたがん患者ですら、ポジティブな姿勢を演じ、周りも(何のなぐさめにもならない)ポジティブな言葉をかけたりして、本当のことを語ったり、聞いてもらえたりしないこと。元恋人の環境問題に関する講演についても、その「語り口」故に極端な悲観主義
mikechatoran

ととらえられてしまうこと。原題のWhat are you going through?はあなたは何に苦しんでいますか?というタイトルはシモーヌ・ヴェイユの”Quel est ton tourment?”の英訳だそうだが、そう尋ね、受け止めることの難しさ、同時にそれに正面から答えることの難しさ。本作はさらに書くことについての小説でもある。最後のページは、この物語についてのものとも言えるし、この小説についてのものとも言えるのだろう。

02/08 16:15
0255文字
nekomurice
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小説より映画の方がまとまっていて、好みでした。生とは?死とは?と考える状況になった時、思い出す1作になると思います。
0255文字
講釈夫人
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前邦訳『友だち』同様とても素晴らしかった。“老い”や“喪失”を見据えた悲しい話の筈が、随所に笑いがあり作者の声は心地良い。人生とは生まれてから死ぬまでのカウントダウン、何かを獲得したのち、一つ、また一つと失っていく過程なのだ。様々な問いかけがあり、歳を重ねて変質すると(容姿の衰え…認知症…日本ならネトウヨ化?)それまでの人格への評価は揺らぐのか?人間のアイデンティティの最盛期はいつなのか?“友人”のように病で人生を強制終了させられる場合は?看取る“わたし”の仔細な観察眼は遊歩小説のようにあちこちを彷徨い
講釈夫人

思索する。そこにはテデュ・コールに似たサスペンスめいた埋め込みもある。作者は『スイマーズ』のジュリー・オオツカと同じくアジア系移民がルーツで、生と死、母と娘、自分たちが生きる世界が直面する様々な問題がマジョリティとは違う角度や深度で語られる。また本作は映画化されベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した。アルモドバル監督は情愛の人なので熱量を持った話に変換され、社会批判などは背景に追いやられていたが、それがアルモドバルなので原作とは違う魅力があった。そして共通するのは友人の死に向き合う“わたし”の姿勢だった。

02/08 14:11
0255文字
ねむ
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残りの命、人生という重たいテーマが本筋だけれど語りの幅が広く、ユーモアもあり、脱線と感じさせない魅力のおかげでぐんぐん読めちゃう。前作『友だち』のときの辛辣さも健在。 訳者が違うからか、読みやすくなったと感じた。 『友だち』と同じく傑作。
0255文字
sawa
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ちょっと意地の悪いユーモアに魅了されてぐんぐん読んでしまった。安易な言語化を許さない、誠実さともいえる。その点、映画版はずいぶん優しくなってて虚を突かれたな〜。終盤の展開も異なるので、両方鑑賞して良かったです。
0255文字
ラ・ラ・ランド
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ネタバレ小説は素晴らしかった。特に二部の終わり、風呂を溢れさせたことで小旅行に終止符を打つ場面は、ストーリー重視ではないこの作品のなかでも、死を受け入れることの困難を描いたハイライトだと思うのだが、映画版があんなふうに改変されていたのは残念。結局、映画は小説の美点をことごとく削り落とし、表面をなぞっただけのメロドラマになってしまった。
0255文字
石
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余命わずかな友人に頼まれ残りの時間を共に過ごす、という重い内容にかかわらず、いろいろな角度からの視点のエピソードが面白く、読み心地はいい 結構えげつない事も書かれているけど 全米図書賞を受賞した『友だち』も読んでみたい
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ヘラジカ
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我が魂の作品『友だち』の作者が生んだ姉妹作にしてもう一つの傑作。病に蝕まれた友人との最期の交流が核にあり、合間には老いや死、他者との関係性、血縁という呪い、果ては黙示的な世界観まで、広範な分野を文学や映画などの芸術を絡めてエッセイのように語っている。相変わらずともすれば衒学的とも評されそうなスタイルだが、深刻なテーマを温かなユーモアを込めて綴る筆致は、軽やかで妙に心地よい。何一つ明確な答えを見つけられるわけではないのに、厭世的な気分になるどころか不思議と前向きな気持ちが芽生えてくる。本当に大好きな小説だ。
ヘラジカ

2025年1月の新刊。あのペドロ・アルモドバルが映画化し、なんとヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したとのこと。日本では今月末に公開だが是非とも観たい!果たして映像でこの小説の良さを表現できているのだろうか?

01/25 22:54
0255文字
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