形式:文庫
出版社:筑摩書房
形式:単行本
出版社:春秋社
⇒代表句は世界的に有名な(!!)「咳をしてもひとり」でしょう。本編は旧制中学時代からの彼の作品(ホトトギス的定型)から自由律に変わり挫折を経て句が高みに昇華してゆくまでを時系列的に紹介しており、よく出来た句集であると思います。私もこれを座右の書として折に触れ玩味しています。
「師走の夜のつめたい寝床が一つあるきり」「冷たさ握っていた手のひら」「淋しいからだから爪がのび出す」も好き。
そうなんですよね。何となく慌ただしく落ち着かない年末。冬になって読みたくなったのは、年末が近づいてきたからだと気づきました。 いいですね! 「うそをついたやうな昼の月がある」。 最近の気分は「ただ風ばかり吹く日の雑念」...でしたが。
マリリンさん。「ただ風ばかり吹く日の雑念」…うんうん。一昨日だったか、わたしは冬に風の強いことが多いあたりに住んでいるのですが、それにしてもひどく風の強い日がありました。だけれども、空は雲が飛ばされて青く広かった。その空を思い出しました。こんなこともそんなこともまた過ぎていきますね。
本文「入庵雑記」から/今日は風だな、と思われる日は大凡わかります。それは夜明けの空の雲の色が平生と異ふのであります。一寸見ると晴れそうでいて、その雲の赤い色が只の真っ赤な色ではないのです、これは海岸の方は誰でもご承知のことと思います。実になんとも形容出来ない程美しいことは美しいのだけれども、其の真っ赤の色の中に、破壊とか、危惧とか云つた心持ちの光をタップリと含んで、如何にも静かに、又如何にも奇麗に黎明の空を染めて居るのであります。
文鎮さん。その句は文句なしにいいですよね。 マリリンさん。「火を焚いて居ればくづるゝ霜柱」かな?「水仙のかたむく花や霜柱」もある。
らぱんさん。栞を挟んでおいたつもりが見つからなくて。水仙の...だったか。足元の霜柱を感じて詠んだと思われる句なのですが。
ぎりぎりまで削ぎ落した少ない言葉が読み手に想像させる世界は...深く広かったです。再読しました。
マリリンさん。年の暮れに「尾崎放哉」良いねぇ。わたしも、今晩、本を開こうと思います。ありがとう。
放哉の句集、読まれたんですね。[入れるものがない両手でうける]とか印象的です!季語を入れなくても心に残る言葉を選べるんですね。放哉はすごいです。キャッチコピーにも似てるのでしょうか。(笑)
みえこさん、コメントありがとうございます。僕も自由詩がキャッチコピーの始まりじゃないかと思いました。『海が暮れきる』で描かれた困るくらいに弱々しい放哉だからこそ、こういう言葉選びができるんだなと感じました。時々手に取って味わいたい句集ですね。
淋しいと言わない私が放哉に言わせている
「つくづく淋しい我が影よ動かして見る」「障子しめきつて淋しさをみたす」「淋しいぞ一人五本のゆびを開いて見る」「淋しい寝る本がない」「柘榴が口あけたたはけた恋だ」「いつ迄も忘れられた儘で黒い蝙蝠傘」「こんなよい月を一人で見て寝る」「落葉拾うて棄てて別れたきり」「なんにもない机の引き出しをあけて見る」「色鉛筆の青い色をひつそりけづつて居る」
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます