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白桃―― 野呂邦暢短篇選 (大人の本棚)

感想・レビュー
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papico
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瑞々しい感性と観察眼が静かに語りかける。表題作ほか全7篇が収録。戦後、父のおつかいとその道中での出来事を描いた「白桃」。幼い兄弟の心の揺らぎ、白桃と木犀の匂いが混じり合う何とも味わい深い作品。原爆(長崎)当日を少年の目を通して語られる「藁と火」の二作が深く心に残った。どちらも描かれた情景と繊細な心の機微が物語の緩急を織りなす秀作。中でも「白桃」に描かれた熟れた桃の表現と木犀の匂い、端的な文体の美しさがとても好み。また夏のほのかに輝く月夜の下で。
らん

papicoさん、"「白桃」に描かれた熟れた桃の表現と木犀の匂い、端的な文体の美しさ"がとても気になります😌✨ 白桃と木犀の匂いが混じり合うのですか?!なんだか匂いが漂ってきそうな…!来年はこちらと「ひろしま」も読んでみます!

08/09 02:50
papico

らんさん、こんにちは。分かりづらくてごめんなさい!①幼い兄弟の心の揺らぎと白桃の匂い②幼い兄弟の心の揺らぎと木犀の匂い、この2シーンがとても好きです😊派手さはないのですが、じんわり心に染み入る味わい深さは、やはり文体の美しさから来ているのかなあと思いました🕊️私が匂いフェチなので匂いの描写に敏感なだけなのかもですが笑💦 機会がありましたら来年ぜひぜひ🍑( ˊᵕˋ* )

08/09 07:01
0255文字
アン
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『白桃』貧しい幼い兄弟が親から用事を言いつけられ夜の酒場へ。女主人が皿にのせてくれた淡い蜜色の白桃に弟は手をのばすが…。果実の瑞々しい輝き、帰り道の月光と木蓮の匂いを通し少年の逡巡する様が精妙に綴らる。『藁と火』長崎の原爆投下の日の光景が少年の視点で生々しく語られ鮮烈な印象を。『鳥たちの河口』病気の妻を抱えた失業中のカメラマンは瀕死の鳥を保護。進路からそれてしまった男の境遇と自然界の異変を重ね合わせて描き、魂の再生にそっと心を打たれる。短篇7篇を収録。スローモーションで情景が浮かぶような滋味深い作品集。
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Hiro
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密かに愛好されているらしい著者を私も時々読む。本書は著者が芥川賞を受ける前からの担当編集者が編んだ傑作短編集。大げさな熱っぽい語りではなく、あくまで冷静に折り目正しく、しかし時に情熱が一閃するような、鋭利な語りが特徴だ。どの作品も見事。人生の時々に味わう、畏れ、憤り、得意、失意、徒労、そして希望など、様々な感情がやや突き放したような視点からしかも愛情を持ってどうしようもない宿命のように描かれていく文章は本当に凄い。読後もしばらくは余韻に浸っていたくなる本。
0255文字
ましろ
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物語る言葉に深みを思うのは、著者自らの体験や記憶、土地に根ざした鮮烈が残るからだろうか。言葉にならない心にある思いが文章に滲むほどに物語に魅せられてゆく。「白桃」の記憶の鮮烈、父と子、兄と弟の関係、家族から距離を置く子ども心の揺らぎと、伝えるすべのなさは、時代の空気と共に思わず抱き留めたくなる。原爆を描く「藁と火」での光景、匂い、人々の様子、空、海、光、一つ一つが体験の文学として伝わってくる。言葉にならない言葉を叫ぶ思いと共に、過去の重さがずしりと胸に迫る。「鳥たちの河口」に滲む人生の危うさも心に残った。
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ごじごじ
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「白桃」のみ。痛みが伝わってきそうでそれほど分からない。自分の共感力、想像力の限界か。
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三平
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42歳で急死したものの根強いファンがいることで知られる芥川賞作家の短編小説集。 物語よりも描写のディテールに重きを置いているように感じた作品が多かった。目の前に情景そのものが迫ってくるように描き、それにより登場人物の奥に秘めた心情までもがひしひしと伝わってくる。この人はやっぱり凄い。 特に原爆を題材にした『藁と火』、諫早湾が物語の舞台だと推測される『鳥たちの河口』が良かった。
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:*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)
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野呂さんデビュー前からからの担当編集者である豊田健次さんによれば「人物の造形力と描写の的確さにすっかり惚れこみ、この作家に芥川賞を取らせたい、文壇にデビューさせたいと、思いを定めたのである。」とある。またクロッキーブックように1ページを一つの作品にあてて、題名を中心に書き「思いついたものはな短いフレーズにいて何でも手当たり次第にかきこむ。あらすじは書かない。登場人物の癖、せりふ、表情、舞台となる町の地図やアパートの間取りも書いてみる」ということをやっているようだ。戦争中の子供らしい視点が切ない「藁と火」
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ひねもすのたり
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『愛についてのデッサン』が面白かったので読んでみました。 芥川賞候補作となった二作と代表作とされる『藁と火』他四篇が収められた作品集です。 いずれもジミな作品ばかりですが、70年代の純文学ってこんな感じの作品が多かったように思います。 ただ原爆投下直後の長崎を少年の視点で描く『藁と火』だけは別格です。あまりにも生々しい描写は街に漂う熱や臭いをこれでもかというぐらい感じさせてくれます。
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あきこ
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短編集。この作者の作品は初めて読みました。なんだか驚いた。いつも読んでいる小説と全然違うと感じた。登場人物の動きが迫ってくるようにわかる。文章は静かなのにインパクトは強い。日本語の威力を感じさせる作品でした。どれも少し悲しく、その悲しさを表現したことが凄いと思った。
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おこげ
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情景が浮かぶ本。目で見ている風景から、主人公の心情がつたわたってくるような印象。静かに、いい本に出会えたなと感じる。
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昭和子
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一番好きな本。
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uchi93
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地味だけど、上質な文学作品の短編集。「藁と火」は圧倒される。「花火」は「諫早菖蒲日記」の続編のような物だから、「諫早菖蒲日記」を読んでからがよいと思う。
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佐伯りょう
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眼に浮かぶような繊細で的確な描写。「読む」ことの豊穣さをたっぷりと味わえる極めつけの短篇集。原爆を題材にした「藁と火」は原爆が投下された日の情景を少年の目を通して描いた作品。煮えたぎる潮水が不気味。この日を境に、少年は大人への一歩を踏み出した。
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ぱせり
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地味である、決して明るい話ではない、さらにいえば、どの作品にも一定の閉そく感があり、淀んだ空気感がある。その淀みがむしろ安定感のようにも思える。この安定感のなかで、静かに物語の機微を味わう。瞬間の人の気持ちが物語なんだと思う。そのちょっとした瞬間を丁寧にさすっていくような文章を味わうのは心地よいです。一番好きなのは何も起こらない(という)『十一月』 何も起こらないからこその味わいでした。
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くさてる
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優れた純文学短編集。圧倒されるのは長崎原爆を疎開の地で体験した少年の視点から語る「藁と火」だとおもう。けれど、個人的には、自衛隊の訓練の日常に浮かび上がる不穏な雰囲気が雪のなかに揺らめくような「歩哨」、具体的なことは何も語られないのに、登場人物の心の蠢きが沁み入るように伝わって、台風の風が頬に当たるような「水晶」の二つが特に良かった。
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けんけん
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編集者の想いがあって本が生まれる。感謝です。今年注目した作家のひとり。諫早~につづき2作目です。文章のうまさにうなります。ただ今の自分では読みこなせないというか、丁寧に時間をかけてたどりたいです。装丁もさりげなく素敵。
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しんこい
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やっと作者の別の小説が読めました。原爆が落ちた時、何が起こったか、本当に爆弾なのか、分からなかったでしょうね。まして日々の生活に手いっぱいであれば。
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とも
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非常に地味な作家さんですが、私には読む価値のある野呂さん。読むと必ず何かを心に落としてくれる野呂さん。今回、原爆の話も入っているこの短篇集を読みましたが、表題作の白桃の男の子の目線のやるせなくて可愛らしくていじらしいことと言ったら!!!
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白桃―― 野呂邦暢短篇選 (大人の本棚)評価67感想・レビュー20