原題はVertigine della lista。膨大な一覧表に眩暈がするなら、文法も略された語の連なりが相互に関係して物語を紡ぐこともなく、ただ羅列していると感じるからだ。誰かが語るでもなくただ語るこの羅列を書物にすると、慎ましく最後に付されていたリストが物語本文を押しのけてページを占拠したように思う。が、物語こそ記号を意味に限定し、時間直線に従属させ、作品に封じ込めるのではないか?記号を作品から解き放つ本書のページは、モニターに浮かぶコンピュータ言語を連想させ、さらにパースの無限の記号過程を思わせる。
同著者「美の歴史」「醜の歴史」と三部作のような売り方をされていたため、読んでしまった本。訳者も述べているように、原題はVertigine della Listaであり、「目録の眩暈」とでもいう感じ。絵や写真よりは、文学作品における羅列を羅列したような構成がとても面白い。旧約聖書における羅列とか好きじゃなかったが、見方が変わるかもしれない。あとラブレーってこんなんだったんだ、という感想。