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吉田茂と昭和史 (講談社現代新書 1999)

感想・レビュー
31

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バルジ
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再読。吉田茂の政治指導者としての功と罪を考えるための好著。戦前は条約と国際協調を基礎とした大陸権益拡張へ勤しみ、戦後は対米協調と自由主義経済を信奉し「吉田ドクトリン」を築いた稀代の政治指導者としての吉田茂を描く。戦前戦後を通じて吉田に通底しているのは「世界の中の日本」という視点であろう。中国在勤中の一見強硬論とも見える主張は条約の範囲内と列国の是認という但し書き付きであり、戦後の宰相としての吉田は国家主権回復を目指しながらも、あくまで対米関係、ひいては同時代の国際情勢を目配せし経綸を案出する。
0255文字
MUNEKAZ
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奉天総領事時代を皮切りに、吉田茂の生涯を通して昭和史を簡潔に描いた一冊。戦前の苦闘と戦後日本のグランドデザインを行った吉田の業績をサクッと勉強するには良いのかも。本題とは関係ないが2009年の刊行ということで、政権交代前の麻生政権と関連した記述なんかもあったりして、そっちの方が印象に残ってしまった。前書きにある「戦後レジーム」は是か非か、対米協調か自立かなど、今となってはなんとも呑気な論点にも感じるところ。アメリカが率先して国際社会に混沌を投げかけている現況を、吉田ならどう評価するのだろうか。
0255文字
サイトトウロク
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日本の安全保障を調べていると、吉田茂が築いた仕組みが今も残っていることを知り、人物を知りたく購入 吉田茂の個人史を通じて、戦前政治の急速な変化が見て取れた。
0255文字
ジュンジュン
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吉田茂の歴史的意義を検証する。ただ、類書は多いので、”それまで”をバッサリ切って、昭和2年の張作霖爆殺事件から始めたのは正解。新鮮味はなくても、本書の魅力は、政治的に自立と協調、経済的に自由と統制、二つの対立軸を設定して図式化する分かりやすさ。まるで予備校の授業のよう、要領よくまとまっている。
0255文字
Satsuki
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特に戦前の吉田について関心があった。田中外交と幣原外交両時期に跨がった吉田は「当時においても、大した根本的な相違がなかった」と回想。田中・吉田ラインは列国<協調>を最も重視した、と著者は評する。「武断外交」のように見える時があっても列国<協調>の範囲内で、と。満蒙特殊権益を唱える「支那通」軍人たちと、協調の枠内での権益確保を重視する吉田は対照的だ。ロンドン海軍軍縮条約のために穏健派岡田啓介に接近したり、国際連盟脱退後に欧米を歴訪しなお協調を訴えたり、吉田は一貫していた。戦後の吉田の土台が窺えた気がした。
0255文字
那由田 忠
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平和主義者として戦前・戦中における吉田の動きや、戦後の憲法9条をめぐる巧みな政治運営について改めて知ることができた。問題点がいろいろあったとはいえ、こうした吉田の活動なしで現在の「平和主義」をベースにした日本社会が生まれなかったこと、この意義はもっと強調されるべきだと思った。その意味でいい勉強になった本である。
0255文字
バルジ
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吉田茂の外交思想と政治家としての姿が先行研究を基に纏められている。当時の世相や庶民の感情を古川ロッパや山田風太郎といったアカデミックな知識人ではない人物に語らせているのも面白い。戦前は中国、戦後は米国と近代日本、ひいては国際秩序形成に欠かせない両国で外交官・政治家として対外交渉に関わったのは稀有な例であろう。傲岸不遜で資本家寄りの吉田が推し進める「統制経済」というには皮肉に満ちているが、それらを自身で一筋の線にまとめ矛盾を強く意識しない性格は、まさに「政治家」としての面目躍如の感がある。
0255文字
junkoda
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よかった。戦後の話と思ったら終戦前が半分くらいあって、この辺りをいま色々読んでいる私には面白かった。戦後は首相だけど引き続き外交官のようである。今でも続く憲法改正・米軍基地・独立/米国の属国という話はここから始まり、ずっと続いているのね。
junkoda

「吉田の対米戦争回避の努力を押しつぶしたのは、東条内閣の意思だけではなかった。東条の背後には、名もない、しかし圧倒的多数の国民がいた。」 この本は戦争を国民の支持によるものとしてる。満州国承認から国際連盟脱退のあたりは陸軍が始めたことだけど、陸軍が国を支配して強制したとは言えないところがある。

01/10 03:22
0255文字
ポルターガイスト
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日本史に詳しくないので一定の勉強にはなったがそんな自分にも底の浅さが感じられてしまう。太平洋戦争〜占領期という激動の時代を扱っているにも関わらず熱気が感じられないのは大きなマイナスだと思う。そつなくまとめられてはいるが占領期についてある程度の知識をつけたければ別の本も読む必要があると感じた。積まれた新書を消化するキャンペーン15。
0255文字
Eiji Nanba
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吉田茂と言えば戦後日本の舵取り役としてGHQに向かい、サンフランシスコ講和条約を結んだ人物。近頃再ブームの田中角栄とは違った、でも鋭い政治感覚をもっていたことが、本書から窺えます。
0255文字
RED FOX
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占領日本時代がここずっと興味あるのですがやっぱ吉田が気になる。戦前から戦後まで吉田さんの動きが常に面白くて共感持てます、特権階級ながら(笑) まあ著者の贔屓もありましょうが吉田さんに任せておけば戦争にもならずに済んだのでは、とか妄想しちゃいそう。戦後レジームで金と平和と国力をつけて、それも使い果たしそうな日本ですがさあどうしましょう、吉田さん。
0255文字
matypoyo
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良くも悪くも、戦後の政治の中心にいたのは吉田茂。この人が平和憲法、サンフランシスコ講和条約、日米安保と、現代の日本の骨格を作ったといっても過言ではないくらい重要な人物。これらの事項は、吉田茂が少しでも早く日本を独立・復興させるにはどうするのか?というのを考えた抜いたうえでの答え。 その吉田茂の流れからでてきた池田勇人、佐藤栄作とか歴代の総理が多く出てきているのを考えると、いままで知ろうしていなかった自分が悩ましい。 どうも、日露戦争あたりまではよく読むのに、それ以降は目を塞いでみようともしてないからなぁ。
matypoyo

はてなブログに投稿しました http://matypoyo.hatenablog.com/entry/2016/07/13/220000

08/27 18:49
0255文字
いのふみ
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端的にヤバい極右政治の中、左翼っぽい本を読んでも、それなりにしっくりくるけど何か危なっかしいし、保守は弱っちそうな感じするしで、何かブレイクスルーしない感があったのが事実。そんななか吉田茂を読むと、現実主義的でその時々でいいとこどりで豪腕で、一番バランスよく感じられてきた。陰日向にちょこまか動く姿を追っていると、権謀術数よりも時に周りが見えんぐらい「ああしなきゃ、こうしなきゃ!」とちゃきちゃき立ち回り、戦後において特に政治を切り盛りする、天真爛漫な「肝っ玉ジジイ」な姿が現れてきた。
0255文字
koba
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著者は、吉田茂の政策を対英米協調外交の自由主義経済路線と位置づける。吉田茂は、一貫して軍部主導の対欧米自立外交、統制経済に反対の立場を貫く。その結果、戦中は東條を筆頭とする統制派に、戦後は米国の再軍備要請に反対する。彼の思想と昭和の世相をリンクさせ、時に失意のどん底に落とされ、時に得意の絶頂になったりの浮き沈みを描写する。現実主義者として、戦後は独立と復興のため妥協もしてきた。独立のため経済を優先し、安全保障を米国頼みにした軽武装国家は本意でなかったかもしれないが、彼が構築した戦後体制は現在も続いている。
0255文字
り   こ   む   ん
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おおまかな、戦前の外交官時代から、戦後の長期政権の終焉までの吉田茂氏の政治史。政党政治の枠組みの変化、戦後の混乱期、経済の回復、主権回復を目指す努力と行動力。そして決断力。今の政治家にはあるのだろうか?何も見えないと思うのは…政治参加をしなくなった国民の姿勢に問題があるのか?もっと政治家も国民も向かわなければならない、見なければならないモノに関心を持たないとな…。
り   こ   む   ん

本書のまとめで、1政治遺産の継承。2政党政治の枠組みの可能性(連立)3国家目標の再設定。1はすべて出はないにしても、2、3は確かにその必要性を感じた。ただ、3がなければ、2がない。ただ、私利私欲、政権維持だけの2ほど無意味で時間の浪費だけなものもない。戦前戦後と違い。目指すモノが散漫で拡大しているだけに、設定しにくいのかもしれないけど、私たち国民も含め、しっかり未来を見定める目標設定が必要だと思う。

09/24 23:05
0255文字
でん
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かなり長い期間を扱う新書なので詳細に、とは言えないけれども、吉田茂の概説書としては面白かった。しかし何故原田はずっと「元老の秘書」と名前を伏せられているのだろう…(笑)
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おらひらお
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2009年初版。現在、否定的に捉えられがちな吉田茂の業績ですが、戦前の外交官時代からその活動をトレースし、その政治的遺産は継承していくべきものと指摘しています。たしかに改憲や日米安保廃棄は矛盾の解消になっても、経済発展と平和を損なう可能性が高いですよね。日本では国内で喝采を浴びる強気の政策を取る時に、方向性を誤ることがあるので要注意ですね。
0255文字
オーストラリアからやってきた福の神
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読了。1吉田ドクトリンの継承2あらゆる政党政治の枠組みの可能性を試してみる。3国家目標を再設定する。勉強になった。
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ryuetto
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昭和史を勉強しようと思って読んでみたけど、私にはちょっと難しくて、読むのに難儀した。最初のうちこそゆっくりと読んでいたけど、後半はほとんどとばし読み。もうちょっと勉強してから出直した方がよさそう。初心者向けの本ではないと思います。 とりあえず、覚えたこととしては、吉田茂が外交官出身で、中国やアメリカとの戦争には反対していたことと、彼がめざしていたのは、戦前の日本の復活であり、労働者よりは地主を支持していたことかな。 こんだけ読んで、これしか覚えられなかったあたりが、私の限界。情けないけど。
0255文字
やまぐてぃ
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戦前から20年以上従事してきた「外交」というスタンスで、敗戦国の在り方を模索した吉田茂。彼が作り上げた昭和史を、吉田茂の生涯をたどる形で体現する。政治史に偏ることなく、山田風太郎らの回想を元に国民の目線を補完する。外交官として、首相として、吉田茂が貫いた対米協調・自由経済路線。それは現在にも継承されるべきである。
0255文字
あまたあるほし
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吉田の良さも嫌らしさも書いている。山田風太郎に頼りすぎな気も
0255文字
yshigeru
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戦後日本を築いた男、吉田茂。21世紀の日本を考える上でも、その考えを知ることは重要である。
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曲月斎
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吉田茂の事績については、確かにGHQと渡り合い、日本が独立を回復するまでの功労は多としなくてはなるまい。ただ、その一方で、外務官僚として特に奉天総領事だったりした頃に、どうであったか。吉田のとった政策は確かに親米路線であったけど、実はGHQの持ち込んでくる政策を追認することが多かったのではないか、という気もする。さらに、鳩山、石橋、岸の3代を飛ばして、高度成長期にかかった時に、池田、佐藤に対して一種の「院政」を敷いたような部分も見え隠れする。領袖の存在が否定される今の日本との差が気になるところ。
0255文字
兵衛介
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戦後政治に果たした役割の大きさ故に見過ごされ勝ちな、戦前の吉田の活動もきっちり書いてあるところが良い。吉田が至上命題の日本独立のためにアメリカに数々の妥協を強いられたのは、当時としてはやむを得なかったかもしれない。しかし吉田の後継者、自民党の歴々はそこから一歩も踏み出すことがなかった。吉田の偉大な遺産は、後継者たちの怠慢によって今では厄介な足枷となってしまっている。
0255文字
takizawa
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読者を惹き付ける文体なのでまさか学者とは思わなかった。本書は、珍しい角度から見た現代史兼評伝。吉田茂と昭和史を採り上げる理由は、国民・政治家が長きにわたり軽武装・経済優先の吉田路線に影響され、支持していると考えられること、現代日本と昭和初期が時代閉塞という点で共通しているとみられることにある。吉田茂は外交官時代の経験を生かし、現実主義者として妥協すべきところは妥協する。戦後の吉田は、平和憲法と日米安保条約の矛盾を自覚しつつも受け入れて、対米協調を基軸とする経済を発展させることに成功することになる。
0255文字
inokori
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先行する(高坂正堯らの)吉田茂研究・評論に通暁していないが,本書で戦前・戦中の外務官僚・外相時代から戦後の長期政権運営期を通じ,一貫して吉田の中に米英との協調──敗戦後であってもそれは「従属」ではない──を通じての日本の繁栄が念頭に置かれていたことが明瞭に分かる.鈴木貫太郎仕込みの「負けっぷりよく」というスタンスで,理想の具現化にあたっては矛盾の抱え込みや妥協も厭わず軽武装・経済復興優先の現代日本の原型を作った大政治家の感を強くした.中村稔や山田風太郎の日記等により同時代人の歴史観との比較があるのが特色.
0255文字
み
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大学受験の昭和史が苦手だったので大変なお世話になりました。ありがとうございました。
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Kazuki Yama
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吉田茂の人物理解に関しては賛否が分かれそうな気がする内容だったが、井上氏は『日中戦争下の日本』の著者として知られるだけあり、下方平準化を期待して戦争継続を支持する国民という話は日本の国家社会主義化は同時に国内的に「贅沢は敵だ!」というスローガンに収斂されるような多くの「持つ者」が「持たざる者」に転落してみなが「持たざる者」になっていく結果、これまでの「持たざる者」が相対的地位向上したという議論はいろいろと考えさせられた。
0255文字
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