度重なる受難と道理に反するしかない侭ならぬ心によって身を堕とす安子。だけど、安子は受難を受け入れるからといって決して聖女であるわけではない。ブルジョア生活を疎みながらも現実に押しつぶされ、帰りたいと思ったり、世間的にも守ってくれて自分の事を愛してくれる人でも生理的に無理だと思ったり、レイプした義兄の子だとしても赤ちゃんをどうしても産んで育てたいと決心したり、浅墓で愛おしい人間味を宿す女である。後、「跋」にお世話になった朝鮮人の家族が関東大震災のデマによって殺されたという文に彼女の哀しみと悼みを感じました。
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終盤で〝五人〟に加わった野口。経済的に困窮したことも、そもそも働いたこともない安子が、よく言うよ…と呆れていたが、まんまと煽動されちゃったよ!「安子さんは不幸に暮らしました」と来ると思ったが、予想以上に酷(嫌な夢を見ました😭