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鍵のかかった部屋 新装版

感想・レビュー
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パウンドケーキ
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ネタバレすでに彼は一度人生から逃避した男だった。父の死後、彼に依存的で男にだらしない母、分裂病を患った妹。ハーバードを中退し、定職に就かず世界を転々とし、時折妹に居所の無い便りを書く。ソフィーとの生活で彼なりに折り合いをつけたかと思われたが、生まれくる子どもとの当たり前の生活を前に、とにかく彼はある日失踪した。その理由は最後まで明かされないけれど。幼い頃から隣家に住み兄弟のように育ちながら、ごく普通の家族の愛に疑問を抱かずに生きてきた「僕」に彼の人生を生きて欲しかったのか、あるいはそんな「僕」に対する復讐か。
0255文字
R C
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ネタバレ初期作品だからか、人ひとりの存在を突き詰めようとした側が逆に自らを見失いかけるという、この人の作品にしては重苦しい内容だなと。とはいえ、設定と文章運びの巧みさで読み進んでしまうのはいつもどおりでした。主人公で文章の書き手である「僕」と、失踪し不明瞭な存在のファンショーの両方が筆者と経歴を共有し、作中でも二人の存在が重なり合う、追っているつもりが追われ脅かされる、他作品の登場人物やエピソードも登場。世に出た作品のひとり歩き、人生の不連続性等々、テーマも盛りだくさんで読み込み甲斐がありそうです。
0255文字
roti
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ネタバレニューヨーク三部作三作目。今作は終始主人公視点のせいか、現実と妄想の区別がほとんどつかない。ある意味全てが現実のよう。とはいえ目に見えてるものが現実なのか、憧れだった幼馴染は今生きてるのかなど、常に不安や疑問が付きまとう。ある日突然まともな人生をやめてしまった幼馴染、その元妻と結婚しその上母親とも関係する主人公、どちらも理解しがたい人物だけど、不幸な親子・家族関係や、憧れと背中合わせの劣等感や憎しみなど、それぞれの登場人物の心情をよくよく想像しようとしてみると…結構底なし沼のような話だと思った。
0255文字
dubonnet
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ネタバレ鍵のかかった部屋を開けたその瞬間彼の亡霊が取り憑いたように思えた。何をやろうとしても敵わないそんな絶対的な憧れの存在だった友人。彼の書稿を起こし、生きた軌跡を辿る。彼の影を踏みながらも己の存在価値を、ささやかなる幸せをなぞっていこうとする「僕」の最終章はまた始まりの旅を示唆していた。姿を見せないファンショー…酷い怪我をして変わり果てていたのかと単純な憶測も。世捨て人…まるでオペラ座の地下に棲むファントムみたいにね。いや、自分の分身がそこに存在していたのかもしれない。ホラーの戦慄のような余韻を残しつつ読了。
ぐうぐう

おはようございます。すごい勢いでオースターを読んでますね! NY三部作、読了じゃないですか! 感想を読んでいて、とても懐かしい気分になって来ました。dubonnetさんに感化されて、俺も未読のオースターを読んでいこうと思ってます。まずは『ブルックリン・フォリーズ』から!

12/09 07:44
dubonnet

ぐうぐうさん、こんにちは。ぜひぜひオースター再読してみてくださいね♪ 「ブリックリン…」は「ムーンパレス」に次ぐ大好きな作品になりました。感想楽しみにしてますね~。

12/09 13:11
3件のコメントを全て見る
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きみー
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ネタバレニューヨーク三部作の第3作目。これだけがなかなか本屋で手に入らず、気になっていました。追いかける対象へと傾倒し、己の存在が揺らいでしまう物語です。「トゥルー・ストーリー」にあったエピソードの数々が織り込まれています。作者の投影のようなファンショーの存在とその言葉の数々がとても興味深かったです。書くことで人は孤独になる。言葉はその人から離れてしまう。自分という存在の曖昧さを認識する、そんな作品でした。
0255文字
Märklin(メルクリン)
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ネタバレ図書館本。英ガーディアン紙必読の1000冊。『ガラスの街』『幽霊たち』に続くニューヨーク3部作ラストの作品。これ…比較的ページ数も薄いんだけど、前2作に比べて内容が難しい。感想書きにくい(笑)。主人公はファンショーに取り憑かれてしまったのだろうか!?読み進めていくうちに喪失感が残ったような…。あとがきによるとファンショーという名は『緋文字』で有名なホーソーンの小説に由来。『緋文字』は難解過ぎて読めなかったからな~^^;自分の読解力不足もあるけど難しさの理由はここにあるのだろうか!?
ケイ

なかなか難しいですよね。ほんと…。

11/30 01:03
Märklin(メルクリン)

ケイさん、ですね^^;柴田さんの翻訳は好きなんですがね。

11/30 08:02
0255文字
瑪瑙(サードニックス)
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ネタバレニューヨーク三部作、ようやく読了。この作品が三部作の中では一番しっくりきました。クインやピーター・スティルマンも出てきてちょっとビックリ!結局、ファンショーがどうなったのか?は謎のまま終わりましたが…。でも一番読みやすかったです。人間臭い心理が丁寧に書かれてあったと思います。
0255文字
まおまお
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ネタバレ主人公は幼少時より無意識に幼馴染ファンショーの影のような存在になって行く。彼の妻や作品、母親をある種擬似的に手に入れていくことでアイデンティティがぐらつく。つきまとう影と、見る、見られる、という関係が交錯したり、ファンショーという名が繰り返されたりする。ファンショー自身も自分であることを捨ていわば生き霊状態だ。死の手前まで来てようやく自分を取り戻す。分身だった生き霊の手記を理解できないのはそのためかな。この続きが読みたくなるギリギリな感じはすごい。
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