形式:文庫
出版社:日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
形式:単行本
出版社:東洋経済新報社
清算主義派が懸念する財政破綻を著者は軽視しているが、いや、著者が問題のないという内容ですら問題があるでしょう、と言いたくなる程(165頁以下)。また、銀行実務、特に融資実務に暗いのではとの懸念も。貸出先の優良顧客が減少したのはその通りだが、景気動向・収益性よりも、融資における物的担保の加重重視、貸出先の新規創出が乏しく、新規需要先もサービス産業であって、第二次産業ほどの設備投資を要しないか、信用供与の必要額が多くないのが実情ではないか、との疑問。成熟国家における信用供与の乗数効果の逓減作用にも触れない。む
むしろ、人口増加率減、総人口や生産人口減による資金他の需要低迷の方がよほど判り易い。また、本書に限らず経済政策の関連書で、①説明のための列挙事例が、単純化とは異質な、非現実的な異常例(例85頁)を提示、②他説批判が不十分。特に経済事象の要因分析につき自説の方が他説よりもマシくらいにしか読めない。元来、複雑系が妥当する経済事象にて、多源的要因群から根源的要因の抽出は相当困難。再現不可能性もこの問題に寄助しているかも。もっとも著者の「不況を起こして既存会社を倒産させれば創造が進む…ほど簡単ではない」は至言。
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