形式:単行本
出版社:医学書院
ななんと~!見てみます!
ただ、このゴミ箱ロボットにどことない気持ち悪さを覚えたのも事実。「私、力ないから~」って助けてもらおうとする女の気持ち悪さに似てる。だけど、そう思うのは逆に私がこのロボットのことを人間扱いしている証拠かもしれない。やっぱりね、問題はロボット側じゃなくて人間よね。
自動販売機から「アリガトウ」という音声が聞こえたとしても、私たちはそれに対して「どういたしまして」と答えようとは思わない。なぜなら、その音声は機械的な仕組みに則ったものであり、人が「ありがとう」と言うときの感情や意図は何ら含まれていないからだ。ゴミ箱ロボットもプログラミングによって作動しているだけだが、人がゴミを放り込んだときに軽く会釈する姿などに機械的動作とは別の何かを感じ取ってしまいそうだ。ゴミ箱ロボットが一体でフラフラしているのを子どもが見つけると、側まで近づいていって触ったり小突いたりするという。
しかし、複数体のゴミ箱ロボットが歩いているのを子どもが見ると、あまり近寄らず、また、小突いたりしないそうだ。ロボットであっても、そこにコミュニティがあると感じ、彼らのグループスペースに入るのに躊躇するという。製作者はこうしたロボットを媒介として、人と人とのコミュニケーションの発展に役立って欲しいと言う。高齢者の介護施設などで人と人が面と向かって沈黙しているときなど、そこに媒介としての弱いロボットが加わることで会話が始まることがある。弱いロボットの弱さが人を和ませる。ロボット研究の一つの可能性ではないか。
この本のあとに登場したロボットたちも非常に興味深く、思わず手を差し伸ばしたくなるような作りをしているのがまた憎い。昔話をしながら所々の話を忘れてしまうロボットや、おどおどしながらティッシュを配るロボット、そしてただ手を繋いでくれるだけのロボット等々……。こんなもの、と蹴飛ばす誰かもいるかもしれない。けれども、どうしたのかな?と手を差しのべる誰かもきっといる。
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