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「いき」の構造 他二篇 (岩波文庫 青 146-1)

感想・レビュー
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IchIbeI
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ネタバレ京都大学哲学科で九鬼周造が教えていた授業がとても気になる。著者が言うに「いき」の始まりを意気地の諦めと見ると「粋」は西洋近代哲学とは正反対の気がする。論と感の融合の「いき」は権力者への抵抗だった。正面から社会を批評するヨーロッパ哲学には相容れない気がするのだ。源平時代から強大な権力者と柔軟に対応した九鬼水軍の血統にある著者の一族の教えこそ「いきの構造」なのかもしれない。権力者への諦め感が強くなると読みたくなる名作だ。野暮な正岡子規は柿が渋から甘へ熟す過程を知っていたはず。これも粋人の否定の肯定かな。
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土井ちゃん
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ネタバレぐんぴぃがピーター博士に贈っていた本ということで拝読。昭和5年(1930年)の雑誌に掲載された論文とのことなので今から約94年前に書かれた文章。作中に登場する言葉も言葉遣いも非常に難解で理解するのに一苦労。論文自体は青空文庫でも読めるのでわかりにくい文章はchatGPTに入れてやさしい日本語に変換して読み進めた。ボオドレエルの『悪の華』に「いき」に近い感情を見出したり“ダンディズム”に「いき」に近い構造を見出した点は興味深く、結局のところ「いき」に該当する語が西洋にないとの事で日本語の面白さを感じた
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ろくせい@やまもとかねよし
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ネタバレ日本特有な多義的意味をもつ「いき」「風流」「情緒」の論説が収録。それぞれに関係する二項対立を探索し幾何学で解き明かす。「いき」は人性間と異性間の二面性をもち、人性間は対自的「上品-下品」と対他的「派手-地味」を対角とした正方形面、異性間は対自的「意気-野暮」と対他的「甘味-渋味」を対角とした正方形面をつなぐ直方体構造で諭す。「風流」は「華やか-寂び」「太い-細い」「厳か-可笑しい」 を対角とした正八面体構造で諭す。「情緒」は「嬉しさ-悲しみ」「喜び-嘆き」「楽しみ-苦しみ」を雨傘構造とネットワークで諭す。
0255文字
110rion
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ネタバレいきを客観的に語ろうとすれば必ず漏れるものがあるのだから(本書より引用)、具体的な「いき」なものを並べるしか、「いき」を語る術はない。これは、プラトン派のイデア的見方、つまり本質がある議論と対をなす語り方である。
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tktk
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ネタバレいきの構造、のみ読了。 いき、は垢抜して【諦め】、張のある【意気地】、色っぽさ【媚態】と定義される。 このいき、を会得する、把握するという最後の結論あたりは難しかったので再読したい…
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あがにゃん
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ネタバレ「いき」について経験と文献を交えて分析している。彼によれば「いき」とは「垢抜けして(諦)、張のある(意気地)、色っぽさ(媚態)」の事だという。日本人の意識や心的構造の核心と本質を突いた本だった。 「情緒の系図」も凄かった。「新万葉集」から歌を引用しながら日本人の情緒的構造を分解させていく。 彼の凄いところは、言葉の意味を文献から定義付け、幾何学的構造(図形)へと消化させていく思考過程(構造化)させていく所だと思う。
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anchic
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ネタバレ書棚整理のため再読。「粋」という日本人独特の感覚について、江戸期の文献を基により客観的に語ろうとしている姿勢が窺える。他2編も「風流」や「情緒」を図式的に示していて大変分かりやすい。現代では構造方程式モデリングを用いて統計的に分析できるのではないかと思った。
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Kenichiro Yano
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ネタバレ「いき」という形も定義もないようなものに対して、構造を明らかにしようとしている論文とでも言えばいいだろうか。文化や風俗を題材にその形を露わにしていき、定義を決めている。▼次は「風流」。これも感覚的なものだがそれについて形づけている。▼最後は「情緒」。人の感情からくるものに対して、短歌を通して構造を明確にしようとしている。▼九鬼が求めたのは日本の文化だと思う。というのもパリ在住時に執筆しており、パリの中で遠く日本との「いき」の違いが見えたからだと考えられるから。解説の受け売りだがそう思える。▼読む(つづく)
Kenichiro Yano

(つづき)のに1ヶ月以上かかった。正直、よく読めたと思う。一文一文を理解するのに非常にパワーを要するため。でも読んでよかった。いつかは読んでおきたい一冊。

10/11 19:08
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村上シナモン
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ネタバレ正直難しかった。構造ってタイトルなので論理的なのかと思って読んでいたけど、飛躍しているように感じることがチラホラ。解説でもあったけど、哲学書として読むのがいいのか。
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miyuki
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ネタバレ日本の美概念に関する名論文。「いき」の内包する概念を解き明かし、それと対置される野暮、それらと隣接する渋味ーー甘味、上品ーー下品、派手ーー地味などを合わせて立体図にあらわし、それぞれの影響の度合いや、どの方向へ志向する意識かという分類を以って「雅」だとか「さび」だとかの美意識を解き明かしている。用例として詩歌をふんだんに用いており、併収の「風流に関する一考察」、「情緒の系図」とあわせて、客観的な文学論になっている。特に後者は昭和の『新万葉集』から用例をとっており、純然な詩歌論として評価できる。
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も
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ネタバレ漢検の文章問題で取り上げられていたことから存在を知る。ハードカバー版で「いきの構造」のみ登本。まず、“本”が、いき。文庫より圧倒的に良い。何もかいていない表紙と、種蒔く人が彫られた裏表紙。中も絶妙なバランスと、文庫からは考えられないような余白で構成されており、すばらしい一冊だと思う。岩波さん、いい仕事するなぁと唸りました。圧巻。内容を尊重せずになんでも文庫化し、コストダウンのためかページ一杯にむりくり文字を詰め込む現代の”本”構造に一石投じてほしい。
0255文字
Gotoran
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ネタバレ昭和初期に独逸・仏蘭西へ留学し、ベルグソンの「生の哲学」に影響され、ハイデガーに師事し現象学を学んだと云う著者、九鬼周造。日本古来の美意識であるところの「粋(いき)」とは、「媚態」、「意気地」、「諦め」即ち、異性に対する「媚態」を基調として、武士道精神に結び付く「意気地」、仏教の非現実性の表れとしての「諦め」を内包した概念で、大和民族固有の意識現象であると云う。人生観、服装、建築、仕草など、様々な例を引合いに出して『「いき」の構造』について、考察がなされていた。読み応え十分だった。
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江部 我空/EBE, Gaku
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ネタバレ「「いき」の構造」「風流に関する一考察 」「情緒の系図――歌を手引として」という三論文を収めた著作です。 各論文では〈いき〉〈風流〉〈情緒〉という意識を議論の対象としますが、九鬼氏の仕事で面白いと思うのは、各意識を図像化する点でした。 例えば前二つの場合、人がその感覚を抱くための徴表を幾つか設定し、それらを図形の頂点に代替することで前者を直六面体、後者を正八面体で表します。そして〈情緒〉の場合は、短歌の中で陰に陽に示される情緒をそれぞれ連関を持つものとしつつ細分化し、メモリーツリーの様な図を設けるのです。
0255文字
タネリ
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ネタバレ美的判断にかかわる諸概念を秩序立てて「いき」との境界線を発見し、その中に含まれる事象を分析していく。概念がにある文化に特有であったり美学的であるなど、誰においても経験されるものではないとき、個別、特殊な経験だけが存在し、類概念などないことが明らかになる。これは、ベターな手法なのではないか。
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dowalf
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ネタバレ「いき」、「風流」といった何となくは分かるけどはっきりと言葉にしづらい日本独特の価値観を、著者はヨーロッパ哲学の手法を使い、非常に明快に描き出しています。「運命によって『諦め』を得た『媚態』が『意気地』の自由に生きるのが『いき』」と、きっぱりと言い切ってしまうところや、「いき」に関する趣味様態を分かりやすい図式にまで磨き上げる思考力がなんだかすごい。哲学的考察を読んでも勉強になる本書ですが、例として引用されるいきな仕草や人物像、様々な情緒を感じられる短歌や俳句を楽しめる一冊でもありました。
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えびてん
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ネタバレどこか人間嫌いの匂いがする。 そんな日本人の突っ張りとでも言うべきか。 粋とは。
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いつかのひと
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ネタバレ外国人観光客が増える中、「侘び寂び」ぐらいは、説明できる人間でありたい。その上で、「風流」の正八面体(「華やか-寂び」「太い-細い」「厳か-可笑しい」)は、誰しもきっと覚えられるはず。そして自分の感性を養うために役立てたい。
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いつかのひと
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ネタバレ齋藤孝が以前、この本を勧めていた。 大学生が教養として読むに相応しい本だ。「運命により諦め(垢抜ける)を得た媚態(艶)が、意気地(精神の張り)の自由に生きる。」この言葉は今でも諳んじることができる。最近は、「意気地なし」などと言う人はめっきり減った。どことなく物悲しくなるのは、私だけだろうか。「外連味がない」などという人もほぼいない。言葉は使わなければ、自ずと消えてゆく。大切にしたい。日本語は日本の「最後の砦」であり、古語は「外交」だと思っている。
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