形式:文庫
出版社:集英社
アヘン中毒になるくだりは笑ってはいけないと思うのだがめちゃくちゃ面白かった。「このあたりで、私の二日に一回のアヘン吸いの習慣は終わった。そして、これから、三日に二回のアヘン吸い習慣が始まったのである。」←この一文に電車の中でぶち当たった時はリアルに吹き出してしまった。
そういえば、前に読んだJ・スコット『ゾミア』が扱っていたのがまさにこの辺の地域だった。平地を支配していたワ人が、シャン人やビルマ人に追いやられ山岳地帯に辿り着いたというワの昔話について、大まかなには歴史研究の成果と一致するという話があり、妙に既視感があると思っていたのだが、多分ゾミアだ。山地民は国家的支配を逃れるために「自己野蛮化」しているという同書の主張には、近年には妥当しないという但し書きがあったと記憶しているが、その通りに現代ではワの人々も軍閥の国家的支配に組み込まれていることが本書からよく伺えた。
しかなく生活は極めて貧しい。表紙や扉の写真を見ると皆笑顔がまぶしい。筆者があまりにも村にとけこんでいるのでつい忘れがちになってしまうが、ミャンマーにおける少数民族の問題は根深くなかなか解決の糸口を見つけられないものらしい。彼らが笑顔だけに胸に迫るものがある。現在のワ州はどうなっているかネット検索してみたら数年前のクーデターで20年前より状況は悪化しており、ありとあらゆる麻薬の銀座になっているみたいだ。新しいハッピーウォーターなる薬物まで出てきており日本にも入ってきてるとのこと。改善の兆しがないのがつらい
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