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さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記 (新潮文庫)

感想・レビュー
117

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peco
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「さざなみ軍記」戦は子どもと言ってもいいほどの幼き少年にまで諸行無常を課すのかと胸が締め付けられる。 「ジョン万次郎漂流記」水難という状況なのに何故か悲壮感がない。登場人物達が皆無駄に考えこまず今自分にできることを淡々とやるという確固たる態度が揺るがないからだろう。物語の終盤、幕末から明治になり時代が大きく動き混乱の中でも、個人の土台がしっかりしていることが基幹なのだ、振り回されない自分をつくらねばと思う。 「二つの話」大人の童話のような話。戦時下にこのようなメルヘンを書いたことに作者の苦悩が透けて見える
0255文字
ショートケーキ有倉
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そろそろジョン万次郎主役の大河ドラマが観たい。
0255文字
slowbird
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「さざなみ軍記」平家が京を追われて、瀬戸内海を海路で西へ西へと逃げていく過程を、一人の若い公達の視点で描いたもの。ヒゲが濃くなってきたぐらいの少年が、数ヶ月の間に徐々に成長していき、なんだか立派なことを言って軍の士気を上げたりするようになるのが面白い。一ノ谷を逃れて屋島あたりにたどり着いたところまでで終わる。その間、敵は木曽から源九郎に代わるが、戦術的な立案から、敗走する軍勢や地元の武将たちをまとめ、また源平のあるべき和平を論ずるまでになっていく。その結末を我々は知っているだけに、落涙せざるをえない。
slowbird

「ジョン万次郎漂流記」土佐の漁民が嵐で無人島に漂着してアメリカの捕鯨船に救助され、彼の国の文化を学んだのちに日本に戻り、ペリー来訪に始まる開国の準備や日米交渉で活躍し、咸臨丸でまたアメリカに乗り込んでいく。難破して生き延びる者もいれば、力つきる者も、状況に流され安逸に流される者もいるが、万次郎はすごいバイタリティと柔軟性の持ち主だったと分かる。江戸時代の一平民が世に知られるようになったのは、こうして記録文学として作品化されたことによるらしい。

12/10 23:21
slowbird

「二つの話」作者が疎開先で親しくなった二人の少年と、時間旅行で新井白石と豊臣秀吉に会いにいく。時間旅行の方法は、相対性理論をどうにかしたものらしい。現代人が過去に行ったところで、そうそう誰彼に会えるもんではなく、終着点の見えない混沌とした展開になってしまう。作者の誠実さを突き詰めていってユーモアに辿り着いたのかもしれない。

12/10 23:22
0255文字
フナムシ
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さざなみの方は辛くて読み切れず。ジョン万次郎の方は、無人島で助けを待つ期間だけでなく、米国にいる間も「漂流」にあたるんだろうなとなんとなく思った。異国に行っても「こいつ、できるな」と思われるようなヒトに、私もなりたい。
0255文字
たつや
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太宰治祭りの最中に流れで、井伏先生の未読本に手を出す。「さざなみ軍記」「ジョン万次郎」「二つの話」以上、三作収録。さざなみは平家もののスピン・オフ的な。二つのはタイムスリップモノ。井伏がSF。ジョン万次郎は直木賞受賞作品だけあり、頗る面白かったです。
0255文字
go
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ジョン万次郎漂流記だけ面白かった。さざなみ軍記は辛い。自分が逃げ続ける話が好きではない事がわかった。気が滅入る
0255文字
Shoji
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ネタバレジョン万次郎のお話。半分創作、半分実話といったところか。土佐の海で遭難、無人島でアホウドリを捕殺して食いつなぎ、米国の捕鯨船に救助された。その後、ホノルルや米国本土での生活を経て帰国、再び咸臨丸に乗りこみ米国へ訪れる波乱の人生を描いている。救助されるまでの命の極限の描写、意外にも優遇された米国での暮らしぶり、帰国後の取り調べの様子など興味深く読むことが出来た。記録文学としても秀逸だと思う。
0255文字
オカピー
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「ジョン万次郎」よく生き延びた。歴史上の人物ですが、あまり詳しくないです。島に上陸し、食べ物が無いのでアホウドリ(藤九郎と表現?)を生で食べて大丈夫か心配になりました。そんなに簡単に捕まるからアホウドリと言われるのか?捕まえてすぐだから新鮮か?生命力凄すぎです。ハワイやアメリカ本土まで連れていかれても、見事に環境に適応してしまい、英語までしゃべれるようになる。凄すぎ。「二つの話」は、SFチックで、井伏さんはこんな物語も書くのかびっくりです。
0255文字
さんま
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歴史的事象を踏まえた作品。創作であるのに史実のような描写の細かさはすごいと思った。
0255文字
あずさ
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ネタバレこちらは井伏鱒二による万次郎記です。
0255文字
荒野の狼
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「ジョン万次郎漂流記」は、井伏鱒二が木村毅(き)の集めた資料に依存(p316)して書いた中編小説。内容は、万次郎が漁の最中に嵐により漂流し、アメリカ船に助けられ渡米、在米生活数年を経てから日本に帰国して数年活躍する話が中心。特に冒頭の鳥島に漂着し、アホウドリ(小説では「藤九郎」と表現されている)を食べて生き延びたことなど救助された前後のサバイバルの話は、単なる資料の小説化というレベルを超えて楽しめる。
荒野の狼

興味深い記述としては、「ヌウ・ギネア」の「人喰い人種」を見た(p190)という部分。ニューギニア島のFore族では、家族のメンバーが亡くなると、遺族が弔いの儀式としてカニバリズムが行われており、この結果として、クール―という致死性の神経病(蛋白質が本体とされるプリオンによる感染症)が起こったことは医学史上有名(現在、カニバリズムの習慣は廃止されたので、クール―もなくなった)。本書に登場する人種がFore族と関係があるかは不明であるが「人喰い」の習慣がニューギニア島にあったことは事実。

11/22 12:23
荒野の狼

なお、私は高知県土佐清水市の「ジョン万次郎資料館」を訪れる機会があったが、本書のファンにはおススメ。同館で紹介されていた万次郎関連の書籍で、写真が豊富で簡潔に万次郎の生涯が把握できるものに、万次郎の子孫である中濱京が書いた「ジョン万次郎 日米両国の友好の原点」があった。こちらは写真・図が豊富であり、「資料館」を訪れることのできない人にとっては、小説を補足するものである。

11/22 12:23
5件のコメントを全て見る
0255文字
ともも
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吉村昭「漂流」を読んで、ジョン万次郎のことも読みたくなった。ジョン万次郎は運に恵まれた人生だなと思った。「さざなみ軍記」は平家方公達を主人公とした物語で、義仲、義経も平家の主要な人々もあくまでも脇役、というところが新しい印象で面白かった。「二つの話」は意識だけなら過去にいかれるという謎の方法で過去に行く。井伏鱒二が戦時中に疎開先の子供たちと色々と交流していた姿が想像できた。
0255文字
YOMIPITO
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「椿と花水木」以来、ジョン万次郎について読みたくて手に取る。 ジョン万次郎の話はシンプル。砂金や帰国後の話は殆ど無いけど、それ以外でも事実の重みは大きい。 「ジョン・マン」完結待ちのつなぎになったな。 他の二作は、解説にもあるように習作のようで大したことなし。
0255文字
神在月
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ネタバレ目当ては「ジョン万次郎」藤九郎は銀杏のことだと思っていたのでアホウドリの意味もあるのは知らなかった。ホイットフィールド船長に助けられるまで半年も無人島で暮らしていたとは思わなかった。やっぱり記録文学だよね〜。吉村昭と重なる部分があるように感じちゃったなぁ。頑なに日本に帰ろうとしない桶屋の寅右衛門のキャラが面白いなぁ。日本に帰ることを許してくれた五右衛門の妻がちょっと気の毒になった。「二つの話」はタイムスリップものだというので期待して読み始めたが、途中からよくわからない。竹竿で蛙の声を抑える場面は映画的。
0255文字
ko1先輩
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ネタバレジョン・マンの生涯をざっくりおさらい。
0255文字
優希
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面白かったです。平家一門のことやジョン万次郎のことはそこまで詳しくないので、もっと知識があればより面白かったのかもしれません。日本史はまだまだ学びの道にいるようです。
0255文字
ハム太郎
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ジョン万次郎の話が気になり手に取ったが,さざなみ軍記も平家の逃亡劇という普段触れないジャンルで面白かった.
0255文字
うー
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これも町田康の文学史つながりだけど、ジョン万次郎だけ、面白そうだったので読んだ。へえ、まさに尊王攘夷、開国の激動の時代の人だったんですね。知らなかった。漁師さんってのは本当に命がけの仕事なんだなー。外国船に助けられても日本に帰れる訳ではないという辛さ。よかったね、薩摩藩で、って感じか。それにしても沖縄に再上陸して、そこで出会った日本語が通じない土人ってなんですかね?誰?気になるわ。
0255文字
Yasuko
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『ジョン万次郎漂流記』のみ読了。事実を淡々と述べる書き方で、ジョン万次郎の生涯の流れとその時代背景はわかったが、あまり心に残らずもの足りなかった。もっと彼の人となりが知りたかったので、山本一力さんの『ジョン•マン』を読み始めたが、物語性があり話に引き込まれる。(続編で7巻まであり、まだ終了してないらしいのが困るが。。)帰国後、アメリカへの使節団での通訳として活躍、咸臨丸に乗っていた艦長の勝海舟や福沢諭吉に会い、ここから明治維新と歴史が繋がっていくのが興味深い。
0255文字
Cinejazz
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直木賞受賞作『ジョン万次郎漂流記』の他に、平家一門と共に都を追われて逃げる若き公達の成長を日記形式で綴った『さざなみ軍記』、大人のSFファンタジ-『二つの話』を収めた井伏鱒二(1898-1993)さんの名作集。 ジョン万次郎(1827-1898)が14歳の時に、足摺岬から鰺鯖漁に出航する漁船に乗り込み時化に遭遇、伊豆諸島の無人島(鳥島)に漂着から始まる<ジョン万>の波乱万丈の一代記は、幕末から明治の動乱期の歴史に名を刻む稀にみる人物像であったと、今更ながら思い知らされるノンフィクション・ノベルの先駆作。
0255文字
真珠
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興味があったジョン万次郎だけ読みました。土佐の漁村に生まれた万次郎。漁に出た5人乗りの船は遭難し、アメリカの捕鯨船に救助された。他の4人はハワイに降りたが、万次郎はアメリカ本土に行くことにした。助けてくれたホイットフィールドは普通教育を受けさせてくれた。その時15歳。優しくされた様子が伺える。日本に帰って、時はペルリ率いる日本遠征隊が浦賀に来航。英語を話せるという事で通訳の仕事が入る。その他にも時代が求めた人だったのではないでしょうか。日本人はもっと外国に出なければいけないと思いました。
0255文字
オカメ
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タイトルの2作どちらも面白かった。さざなみ軍記は源平の戦いに詳しければもっと面白そうなのでそのうち勉強してリベンジしたい。
0255文字
OMO
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面白さ:○   興味:○   読みやすさ:△   新鮮さ:○   文学的云々:△
0255文字
ひさしぶり
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『天に測る』に中浜万次郎がでてきて(そう言えば読んでないかも)と手にとる。こざっぱりした文体で読みやすいし興味深い。当時の外国と鎖国状態の自国の有様、どこまでが創作なのかしら?ホイットフィールド船長と阿部伊勢守との接点がなければ凡夫な人生を辿ったでしょう。自国に見捨てられるって辛いことだわ。『二つの話』疎開で寂しく思いをしてる栄三、弁三の夢ぐらい叶えてあげればいいのに変に現実的になるヘソマガリ。
0255文字
pitch
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何十年ぶりかの再読。こちらもそれなりの年齢になって、井伏鱒二の淡々とした語り口がじんわり沁みる。三作めは未読。こんなSFっぽい作品も書いてたのね。面白かったです。
0255文字
蕎麦
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ずっと探していたがー搬書店でも古書店でもなかなか見つからなかった一冊。津本陽さんのジョン万を先に読んでいたのだが、津本さんの方はよりエモーショナルだった分、井伏さんの方はかなり蛋白に感じられた。ジョン万次郎を物語として発掘した最初の作品なのだろうか。井伏さんの文体、本当に好き
0255文字
kawa
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中短篇3作。「ジョン万次郎漂流記」は、万次郎の幕末の軌跡を過不足なく描き出す秀作(直木賞受賞)。「さざなみ戦記」は、京を落ちて瀬戸内方面で抵抗を試みる平家の若武者物語。このところこの時代の小説が読めていて入り込みやすくてラッキー。「二つの話」は、太平洋戦中の疎開先から江戸、戦国時代への時間旅行SF。こちらは、ちょっと…かな。
0255文字
夢月
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仲間と嵐に遭い無人島に漂着後、アメリカの捕鯨船に助けられた十五歳の少年漁師万次郎の一生を描いた「ジョン万次郎漂流記」の他、平家の公達が都から西へ逃げていく中の日記「さざなみ軍記」、太平洋戦争中、疎開先の少年達のためにタイムスリップ小説を書こうとする「二つの話」の三篇を収録。ジョン万次郎の物語は、史実に沿っていて、万次郎の異国への憧れと勇気に感銘を受けたが、土佐に帰ってから幕府と世界情勢に振り回されるのが悲しかった。「二つの話」は、創作への姿勢が興味深い一方で、戦争中でも生活を営んでいく様子がリアルだった。
夢月

「ジョン万次郎漂流記」は第6回直木賞受賞作

03/27 16:21
0255文字
中将(予備役)
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落ち行く若者の心情に迫ったさざなみ軍記、わくわくするジョン万次郎漂流記、面白おかしい二つの話、どれも古典のようでありながら臨場感があった。
中将(予備役)

平家物語そのものを好きになったのは中学の古文で学んでからだが、下地は小学生の頃読んだ『さざなみ軍記』にあったと気づく。 落ち行く平家の公達の淡々とした日記風文章に優雅なものが儚く消えてゆく美しさを感じたものだった。今改めて読むと、出来事や人物の解像度が上がり、一層儚さを感じる。

03/12 01:50
0255文字
こばちん
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「ジョン万次郎漂流記」のみ読了。会社の同じ部署にジョン万次郎の末裔の方がいて、興味が湧いたので読んでみた。学生の時に読んだ覚えがあるが、すっかり忘れてしまっている。ジョン万次郎が遭難し、米国の捕鯨船に助けられ、米国へ渡った後、帰国し米国通として日本で活躍するさまが、実に淡々と描かれている。とても面白く読めるのは、著者の文書力が優れているからだろうか。さすがといった感じ。
0255文字
杜若
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源平合戦を平家の一武将の目から見た「さざなみ軍紀」は、主人公が殆ど戦場から離れた場所にいて、しかも潰走の場面ばかりのためか面白味があまりなかった。義経が出て来ると、敵ではあってもやはり話に色彩が増す。「ジョン万次郎漂流記」は、ペリー来航の同時期に土佐から漂流し、米国船によって救助され、ホノルル、米国本土まで旅をした万次郎の一代記。日本人特有の勤勉さで米国捕鯨船の船長に認められ、本土でも学校に通わせてもらい、そこで培った英語能力によって、帰国後、開国の通商交渉に活躍したという。天の配剤を感じられるような人生
0255文字
Y.T
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(『ジョン万次郎漂流記』について)出来事を時系列に淡々と描いているだけなのに、ジョン万次郎たちの身の上に実際に起こった事件として生き生きと感じられるようでよかった。言葉づかいの妙なのだろうと思った。漁師としての出自であっても、ジョン万次郎がアメリカにわたってしかるべき教育を受けられたのは、やはり持って生まれた器があったからだろうと思った。
0255文字
ヴェネツィア
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<感想はジョン万次郎のみ>本書は第6回直木賞受賞作なのだが、文体・構成はともに小説的であるよりは、より説話的である。すなわち、ジョン万次郎が土佐の漁船に乗り組んでいて漂流(天保12=1841年)し、アメリカの捕鯨船に拾われハワイを経て渡米、約10年後に帰国し(嘉永4=1851年)、その後74歳で死を迎えるまでの生涯を淡々と記述してゆくのである。その間の感情表出もなくはないが、極めて乏しく、あまり小説的でないというのはその意味においてである。幕末から維新という動乱の時期に帰国するのだが、彼の生涯は彼自身⇒
ショースケ

以前、探偵ナイトスクープで、通じるかどうか検証してました。掘った芋いじるなと言うと、たいがい時計を見てくれてそうです!

07/09 18:47
ヴェネツィア

ショースケさん、やっぱり!

07/09 20:24
8件のコメントを全て見る
0255文字
ひろし
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平家のこと、ジョン万次郎のことを知らなかったので興味深く読めた。ジョン万は直木賞か。確かに面白い。
0255文字
hit4papa
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直木賞受賞作を含む短編集です。「ジョン万次郎漂流記」は、遭難した漁師が救出されてアメリカで過ごし、幕末に活躍したという、日本史の教科書でも有名な物語。ロマン溢るる史実に、著者のまるで側で見てきたような想像力に感嘆してしまいます。前半はワクワクするのですが、後半は歴史書の赴きで興奮がトーンダウンしてしまいました。「さざなみ軍記」は、平家滅亡を背景とした成長物語です。九年かけた労作だとか。一人の少年の逃亡の日々を、日記として綴っています。こちらも臨場感たっぷり。他、タイムスリップもの(?)「二つの話」です。
0255文字
日月
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主人公の少年のこれからを思うと切なくて。好きな話のひとつです。
0255文字
NICK6
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<ジョン万>困難や逆境において、勇気や情念の高まりを表現するのではなく、むしろ、幸運も偶然も次の冒険に巧妙にリセットさせるバランス感覚と、過去スキルを、即、転調させて次のステップチャンスに活かす寡黙な飛躍こそ、丁寧に描く。しかも極上のビート感覚で弾け、うねる。更なる技術と資産を次々変調、延々飛躍させるジョンマンの一挙一動のパワー。もちろん、緊張葛藤、悲観震撼走ったとは容易に推測できるが、なにより極めてスマートに叙事のビートを維持。成功のカタルシス沸騰。情況とリンクさせて突っ走る行動主義。颯爽な語り。
NICK6

<さざなみ軍記> 白黒ほぼ決定の敗走苦境。少年武将の精神の彷徨。余裕なのか戦況理解不足なのか、少女に淡い気持ちでふわふわ緩い。それが後半になると、直近の死の影に気づいて、自己と向き合い神経鋭敏。優秀な助っ人が傍にいて、自由気ままながら、ゲリラ的に攪乱巧妙。かなりの戦果で俄然注目。戦隊を抜けて戻って、再びの活躍。少年がそいつの精神の在り様をつぶさに観察し始めて面白度加速。歴史の流れと、逆らってもどうしようもない地点での静謐で確かなものの探り。自己の日記と英雄の軍記、鮮やかなシンクロに、息を吹き返す。

09/19 20:07
0255文字
フリウリ
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「さざなみ軍記」には説明しがたい凄みがある。8/10
0255文字
中村です
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『ジョン万次郎漂流記』《記録文学》というのだろうか、無駄のない感情を圧し殺した文章で淡々と綴られる。それがビックリするほど面白い。解説によれば、もっぱら記録に依存して書かれたそうだが、漂流し始めてから異国船に救助されるまでは詳細な記録がないので、そこは空想で書かれたらしい。見てきたような見事な描写には驚く。第6回直木賞。直木賞にしては短いイメージ。戦前と今ではずいぶん違うのか。日米間が険悪になっていた頃に、それを憂いた英文学者がこれを英訳し刊行したとある。井伏鱒二の作家人生の長さを感じるエピソードである。
中村です

以前、この中に納められいる『二つの話』という作品だけ読んで感想を上げたことがある。消してしまったので、図々しくも再び書く。それは一見エッセー風に始まるが、そこで話をひとつ書きだす。井伏自身が主人公でタイムスリップして過去に行くというSFの先駆け的な設定も面白いし、話の中で話が始まる入子構造も面白い。しかし、話がカオス的になって破綻し、もう一度挑戦するが、2つ目の話もおかしな方向に行ってしまい、我に返った作家が「もう無理!書けない!」って宣言して終わるという、へんてこな話だった😳💕。

08/23 16:32
0255文字
Char
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オンライン飲み会で、私の人生がジョン万次郎のようだと例えられ笑、そういや彼を有名にした井伏鱒二の本書を読んでなかったと思って購入。 難破した後、たまたま生き延びることができたけど、その後の捕鯨への熱意や技術でメリケンに認められ、帰国後幕府に語学力を重宝され、立身出世していく様子は、時代を考えるとすごい人生。ジョン万次郎にははるかに及ばないけど、流転の人生を楽しまないと。 短編3編だけど、ジョン万次郎漂流記しか読んでません。
0255文字
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