形式:文庫
出版社:新潮社
出版社:イースト・プレス
形式:Kindle版
出版社:Teamバンミカス
出版社:古典教養文庫
出版社:情報なし
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嫌いな思想を持つ人間が本人にとって整合性を保ったまま行動させ続けることだと思う。おそらくドストエフスキーはピョートルのような人間を好きではなかったと思う(少なくとも執筆当時は)。それでもピョートルの発言はすべて筋が通っているように感じるし、シガリョフの思想も筋が通っている。一方でチーホンやシャートフの意見もしっかり筋が通っている。人間に対する設定が完璧だと思う。
こんな作品が出てきたら他の作家はだれも太刀打ちできず挫折すると思う。そう思うくらいすごい作品だった。そして文章のどこにも無駄がない。長いけど(笑)長いけど、あとからその話が掘り起こされて、「あぁ、ここでつながるのか」となる。でもその頃には忘れてるので、メモが必須。今回も膨大な量のメモになった。 この作品を読んだあとで地下室の手記をいつか読んでみたいと思った。
1840年代の西欧的な理想主義の代表者グラノフスキーがモデルと思われるステパン氏と、そこから生まれた鬼子(あるいは陰画)であるピョートルがネチャーエフ事件を起こすという構図はわかるが、全体に尾鰭が多すぎる。ロシア・メシアニズムの信奉者であるシャートフ、人神論を体現しようとするキリーロフ…そうした様々な偏りある人たちの幻想を一手に引き受けて押し潰されそうになっているスタヴローギンを中心に話が進んでいく。にしてもドストエフスキーの文学好き(書き手読み手両方)への辛辣さに共感を覚える。
モチーフとして使ったのは間違いない★ところで、フランス語をカナ表記にするのはいかがなものか。「謎解き~」で知られる江川卓は凝った翻訳をすることで有名で、発話がフランス語であることを示したかったのだろう。だがロシア人がフランス語を第2の母語のように操っていた当時の状況からするとイメージにそぐわない。
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