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ヒナコ
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ヒナコ
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古代や中世において共同体に埋没していた個人の自意識が、中世後期に分節化され明確に意識されるようになっていった。本書は、こうした個人の自意識の誕生を、個人空間の登場に関連させて考察したものである。→
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中世まで長椅子を共有し、床には食べ残しを掃除するための動物がいるというというようなにぎやかな食文化が存在した。ここでは個人は意識させず、共に食べるという集団的な儀礼があった。しかし、徐々に個人の自意識が意識されるにつれて、食器は個人単位で使うものとされ、他人を不快にさせないテーブルマナーが普及するようになった。(第3章)→

08/26 15:01
  • 1959のコールマン
  • kaho
  • 棕櫚木庵
  • イトミン
ヒナコ

居住空間も自意識の発達とともに変化した。中世の家は大きなホールで召使や旅人や家臣がそこで寝泊まりするような開かれた空間だった。君主のプライバシーといえるのはせいぜい天蓋に隔てられたベッドくらいしかなかった。しかし、近代の建築では用途別・個人別の空間が作られるようになり、召使や家族以外の人たちは家から追い出されることになった。(第4章)→

08/26 15:01
  • 1959のコールマン
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  • 棕櫚木庵
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ヒナコ

著者は、中世後期から始まった個人化は、一方で、ばらばらになった個人の再結集化を生み出したという。それは、例えばオーウェンの共同農場におけるユートピアの建設であり、19世紀アメリカでの個人化されつつもあいまいにつながった建築様式に見られるようなことである。また、20世紀後半には、アトム化した個人が郊外に引きこもり、その再結集化はショッピングモールによってなされた。(第8章)→

08/26 15:01
  • 1959のコールマン
  • kaho
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  • 棕櫚木庵
  • イトミン
ヒナコ

「共同体に埋没した意識→個人に分節化された結果として強調されるようになった自意識→アトム化した個人に耐えきれずに再結集する人間」というのが本書の流れであるが、本文は脱線も多く、また著者のあふれる教養から引用される事例もかなり多いため、文意がとりづらいかもしれない。訳者によるあとがきで本書の要点を短くまとめられているので、先に訳者によるあとがきから読むほうがいいかもしれない。

08/26 15:01
  • 1959のコールマン
  • kaho
  • Koning
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  • イトミン
0255文字
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読書データ

プロフィール

登録日
2016/07/22(3171日経過)
記録初日
2016/06/30(3193日経過)
読んだ本
512冊(1日平均0.16冊)
読んだページ
119909ページ(1日平均37ページ)
感想・レビュー
463件(投稿率90.4%)
本棚
0棚
性別
自己紹介

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