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月音
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月音
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少女イゾベルの前に時折現れる、“白い人びと”。愛する人とめぐり逢い、やがて自らの“視る力”を自覚した彼女は、その力で人々の哀しみと怖れを慰めと希望に変えていく決心をする。表題作は霧が流れ、ヒースとハリエニシダが咲き匂う荒野に抱かれた古城が舞台の幻想的な物語。夭逝した愛息への思いから執筆された本作は、ケルトの香り、異教的な霊魂観に、キリスト教の教えでは慰めを得られなかった著者の哀しみの深さがほの見える。初読の時には、ラストに到底納得ができなかった。イゾベル自身は受け入れ、良き理解者がいても、⇒続
月音

⇒未来は過酷なものになるだろう。再読の今回は、いくらか安らかな気持ちで読めたので、また数年後に読み返せば違う感じ方ができるかも。他に、『秘密の花園』のコマドリとの出逢いと交流を書いたエッセイ、かわいらしく愉快な童話、ガーデニングの喜び、自然の美しさを語った遺作『庭にて』を収録。どの作品も生きること、愛することの喜び、人間と自然への讃歌が満ち溢れている。美しい彼女の庭に入るために、鍵を探す必要はない。扉はいつでも開いているのだから。

08/09 10:41
  • はくもくれん
  • アン
  • Tokki
0255文字
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月音
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読書データ

プロフィール

登録日
2022/05/17(1046日経過)
記録初日
2022/05/01(1062日経過)
読んだ本
256冊(1日平均0.24冊)
読んだページ
69077ページ(1日平均65ページ)
感想・レビュー
256件(投稿率100.0%)
本棚
14棚
性別
自己紹介

〇拙文を読んでくださり、ありがとうございます。

〇ナイスや登録してくださった方、コメントを下さった方にもお礼申し上げます。登録・削除はご自由にどうぞ。ご連絡なしで構いません。

〇タイムラインに情報があふれるとパニックになるので、申し訳ありませんがこちらからのお気に入り登録は基本的にしておりません。交流するのが嫌というわけではなく、コメントいただければとても嬉しく、間違いのご指摘も含めてお返事させていただきます。

〇“どれだけ”読んだかより、“何を”、“どのように”読んだかを大切に、「面白かった」だけではない気持ちを伝えられたらいいなと思います。

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