読書メーター KADOKAWA Group

文箱
さんの感想・レビュー

文箱
新着
ウエルベックをたて続けに読んではいけない。感受性がすっかり疲弊してしまった。愛と性欲に飢えた語り手ダニエル1はいつも通りで、彼のクローンでそれらの欲求を取り払われたダニエル24、25の語りが交互に挟まるところが新機軸。その効果なのか、透明感と寂寥感が増している。ダニエル1の妄執化した性への欲求は、老いへの恐怖が強められた分『素粒子』のブリュノより痛々しい。失われた感情や感覚を求めてダニエル25が旅する荒涼とした地上の描写にはある種の美があり、ダニエル1の章の救いのなさが幾分和らげられる。
文箱

『ランサローテ島』を読んだ時に本書を読メ上でお勧めいただいたのでした。ありがとうございます。文庫版が出たらまた読もう。

10/25 17:21
  • Tonex
0255文字
全1件中 1-1 件を表示

文箱
さんの最近の感想・レビュー

オスカー・ワイルド - 「犯罪者」にして芸術家 (中公新書 2242)

オスカー・ワイルド - 「犯罪者」にして芸術家 (中公新書 2242)

宮崎 かすみ
あまりにも痛ましい評伝だった。ワイルドの人生そのものが彼の作品だというが、彼に…続きを読む
夢遊病者たち 1――第一次世界大戦はいかにして始まったか

夢遊病者たち 1――第一次世界大戦はいかにして始まったか

クリストファー・クラーク
『ベルリン三部作』一連の参考読書でついに長く積んできた名著までたどりついた。先…続きを読む
消え失せた密画 (中公文庫 ケ 9-1)

消え失せた密画 (中公文庫 ケ 9-1)

エーリヒ・ケストナー
ホルバインの密画を巡って、ベルリンの気の良い肉屋キュルツ氏、蒐集家の秘書イレー…続きを読む
理想の夫 (角川文庫)

理想の夫 (角川文庫)

オスカー・ワイルド
『シャドウプレイ』にオスカー・ワイルドが登場したので何冊か続けて読んでいる。本…続きを読む
新訳 ドリアン・グレイの肖像 (角川文庫)

新訳 ドリアン・グレイの肖像 (角川文庫)

オスカー・ワイルド
読んだ邦訳はこれで三種類目。汲めども尽きぬ魅力がある。一生かけても捉えきれそう…続きを読む

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/11/04(3703日経過)
記録初日
2014/09/06(3762日経過)
読んだ本
1598冊(1日平均0.42冊)
読んだページ
533343ページ(1日平均141ページ)
感想・レビュー
947件(投稿率59.3%)
本棚
150棚
URL/ブログ
http://booklog.jp/users/hubako
自己紹介

主に海外文学をぽちぽちと読みます。英文学が好きでJ・R・R・トールキンのファンです。映画や舞台を見て関連の本をいろいろ読んでみるのも好きです。アイコン画像は映画『サマーフィーリング』のアンデルシュ・ダニエルセン・リーさんとジュディット・シュムラさんです。

E・M・フォースター、ロレンス・ダレル、ヘンリー・ジェイムズ、ウンベルト・エーコ、イーヴリン・ウォー、吉田健一、ジェイン・オースティン、マイケル・カニンガム、ミルチャ・エリアーデ、アーサー・ランサム、ケヴィン・クロスリー=ホランド。ディケンズもバルザックも好きです。

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう