読書メーター KADOKAWA Group

2025年1月の読書メーターまとめ

百年の積読
読んだ本
9
読んだページ
2317ページ
感想・レビュー
9
ナイス
46ナイス

2025年1月に読んだ本
9

2025年1月にナイスが最も多かった感想・レビュー

百年の積読
聞かせたい蘊蓄の数が謎解きに必要な蘊蓄の数をはるかに上回るため、探偵の放つ蘊蓄の8割方が空回りして(させられて)おり、態度のでかさの割に推理に失敗してばかりのポンコツ探偵に見える、という奇抜なミステリーである。だからか「奇書」より「アンチミステリ―」の方がしっくりくる。絶えず繰り出される蘊蓄の内容が趣味に合う読者にはいい読み物だと思うけれど、自分には辛い読書になった。にしても「ゴソニック文字」て何だ。「ゴシック文字」の誤謬なのか、それとも捏造なのか。澁澤龍彦のいう「註解と書目解題」をぜひ誰か作って欲しい。
が「ナイス!」と言っています。

2025年1月の感想・レビュー一覧
9

百年の積読
ネタバレ第一部ですでに明るい結末でないことが示唆され、延々と続く回想には若干の停滞感があり、重苦しい気持ちで読んだが、読後感は意外と悪くなかった。多分出だしで予想したようなヒロイン像の凋落がなく、美しい残像として心に残ったせいかと思う(その辺の作者のミスリードが非常に巧みで、これは一本取られたなあという爽快感も少しある)。とりかえしのつかない過ちは多かれ少なかれ誰にもあるもので、過去を振り返る語り手の後悔の念にも(事件の真相を知ってもなお)共感できた。ただカバーイラストは色々と良くない。でも翻訳はかなり良かった。
が「ナイス!」と言っています。
百年の積読
目から鱗はアリスが穴に落ちて最初に辿り着く場所(hall)が「広間」でなく「玄関ホール」だということ(手持ちの訳書では「広間」)。となると空間イメージが全然変わってくる。そこでのアリスの動きも図まで使って丁寧に説明してあり、一番勉強になった。これまで出ている訳書の誤訳・不適訳の指摘も結構あり、引き比べてみると自分の手元の訳書にはそれなりに知られた訳者だったとは思えないほど間違いがあって、翻訳って難しいんだなと思った。言葉遊びの訳し方に関する著者のポリシーなども興味深い。替え歌の解説もあれば良かったと思う。
百年の積読
2025/01/19 17:18

forとbecauseの違い/be toは可能・予定・義務・運命など/rightは「真」/日本語の動詞・形容詞の乏しさ→豊富な擬態・擬音・擬情語で訳す/solid/条件節のshouldとwould/ratherは「ちょっと」/shallとwill/mustとhave to/guessの意味/somethingとanything/oneの意味/no doubtの意味/grinの意味/in factの訳し方/mind、axis(axes)の言葉遊び/make=grow to be/I dare sayの意味

百年の積読
ネタバレ中盤までは主人公がこの村に定着して新しい人生を始めるという展開もありそうな、あまりファンタジーの入り込む余地もなさそうな感じで話は進む。また主人公が直接見聞きする明白な怪異は(終盤まで)しゃべる犬とクラングの幻影くらいで、体感としてはローファンタジーとしてもかなりローな部類なのだが、最後の最後で隠されていたファンタジーの嵐が吹き荒れる。なのでエピローグの高揚感を除けば割と落ち着いた読感だが、面白かった。翻訳は少し読みづらく、ページは思うように進まない。でも「死者の書」の邦題はナイス。「笑いの郷」じゃね…。
が「ナイス!」と言っています。
百年の積読
子供の頃読んで面白くなかったのは、夢のような素晴らしい世界への旅という先入観があったからかも。不思議の国の住人の多くは親切でも友好的でもなく、事によると暴力的ですらある。でも原文で読んで、さらにAudibleで聴いて分かったのは、アリス達のやりとりとは要するにシュールなボケとツッコミの連続だということだ。ツッコミは基本アリス1人だが、ボケ役が突然常識的だったり洞察あることを言い出してツッコミ役を詰まらせるのも楽しく。暴力の気配漂うシーンも体を張ったコントだと思うと面白く、子供の頃知らなかった世界が開けた。
が「ナイス!」と言っています。
百年の積読
北方美術/北方ルネサンスに関する特集が面白い。ミケランジェロは北方美術を「理性も選択もない芸術」とぶった切ったが、その批評はある意味北方美術の特徴を的確に捉えたもので、イタリア・ルネサンスとの相違の本質に迫るいい切り口になるかもしれない。北方美術はイタリアに比べて美の定義に幅があるせいか、作家も個性豊かなように感じた。ヤン・ファン・エイク、ブリューゲル、クラナハなど良かった。あと、神話絵などに現れる夢のような風景を「世界風景」と呼ぶと初めて知った。素描が重視されるようになった芸術理論の展開なども興味深い。
が「ナイス!」と言っています。
百年の積読
大学入試問題では応用・例外的な「構文」ばかり出題されるため(なぜならそっちのが難しいから)、基本・通常の「構文」が無視されている、あるいは応用・例外との区別がついていない、といった指摘があり、受験時代を思い出すと本当にそうだったなと(ただし20年以上前の話)。内容は雑多で体系だった本ではないが、第8章の仮定文と条件文の区別、第9章の「法・格・相」の区別、第10章の文型把握の視点などによって、受験勉強で詰め込んだだけの文法知識が多少なりとも整序された気がする。普遍論争にまで遡る学説の紹介などもあって楽しい。
が「ナイス!」と言っています。
百年の積読
聞かせたい蘊蓄の数が謎解きに必要な蘊蓄の数をはるかに上回るため、探偵の放つ蘊蓄の8割方が空回りして(させられて)おり、態度のでかさの割に推理に失敗してばかりのポンコツ探偵に見える、という奇抜なミステリーである。だからか「奇書」より「アンチミステリ―」の方がしっくりくる。絶えず繰り出される蘊蓄の内容が趣味に合う読者にはいい読み物だと思うけれど、自分には辛い読書になった。にしても「ゴソニック文字」て何だ。「ゴシック文字」の誤謬なのか、それとも捏造なのか。澁澤龍彦のいう「註解と書目解題」をぜひ誰か作って欲しい。
が「ナイス!」と言っています。
百年の積読
ネタバレ正直に言えば結構読みにくかった。文章から立ち上るナウィマチェへの憎悪と怨嗟は生々しく整理されておらず、ええっと、もう少し感情的にならずに客観的に事実を話していただけますか、と口を挟みたくなるくらいなのだが、そもそも被害者の主観に食い込み食い荒らすのがストーカーという犯罪であって、とすれば、この描写はストーカー被害者の心理的な傷の深さや混乱をリアルに表現しているようにも思われる。幻想が現実を侵食し、何が現実に起こったことで何が幻想かも曖昧になる。そこでは、幻想は現実の痛みを癒す働きをしているようにも感じる。
百年の積読
あとがきで少女小説ときいてなるほどと思ったが、読んでいるときは『ライ麦畑でつかまえて』を思い出していた。主人公が大人の小遣い頼みで生きてるわりに始終周りの悪口ばかり言ってるのが似ている。頭が良くて感性が鋭いのは分るが、嫌なガキだとも思う。冒頭に『なんとなく、クリスタル』への言及があり、中盤の「シャンパンを飲みながらなんとなく、ぼんやり一生がおくれたらなあと、あたしは思い」という主人公の語りは『なんクリ』的で、両小説の主人公は一見似てないが、80年代という時代の精神はこの台詞に共有されているのかもしれない。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/06/09(2080日経過)
記録初日
2019/05/31(2089日経過)
読んだ本
236冊(1日平均0.11冊)
読んだページ
69498ページ(1日平均33ページ)
感想・レビュー
234件(投稿率99.2%)
本棚
5棚

参加コミュニティ1

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう