難易度の高い哲学書かと思いきや、自分でも割と読めたので嬉しい！

難易度の高い哲学書かと思いきや、自分でも割と読めたので嬉しい！

そもそもアカデミックな論文とは何のためにあるのか、根本的な考え方から、ジャーナルに掲載されるためのテクニックまで書かれている。今まで多くの人がアカデミックライティングの学びの中では言及されていなったことまで言語化されていて、タイトルに偽りなし、という感じ。自分の学生時代の専門は少し違う作法の分野だったので、人文学の論文の考え方もよくわかった。これは、今後多くの学生や研究者に読んで欲しいし、アカデミックライティングの入門書として定番の教科書のような存在になって欲しい本。

行動経済学は初めて触れる分野だったが、経済の話に心理学的な要素が入っていて面白かった。人は必ずしも常に合理的な行動をするわけではない、とのこと。ナッジという考え方を使って多くの現代社会の問題を改善できるのでは、という提案。特に著者は年金や保険などの金融関連が強いようで、繰り返し話題に上がっている。

知、というものに対して従来持っていたイメージを、大幅に広げて捉えられるようにしてくれた。知とは個人のものではなく外部に頼る部分が大きいが、多くの人はこの事実に気がついていない。最近自分でも、「社会に出るうえで本当に必要な学力って何だろう。少なくともテストで好成績をおさめることは必ずしも当てはまらないなぁ。」と感じていたところで、今の疑問に答えてくれるような本に出会えて良かった。