5つの短編集。どの話も主人公がじわじわと追い詰められていく心理描写が秀逸だった。 特に好きな話は「ミモザ」だろうか。本人にとっては些細な隠しごとが、いとも容易く関係に亀裂を入れてしまうところに一番現実味を感じた。人間、窮地に立たされると焦りが生じて冷静な判断ができなくなると思うが、そもそもそういった窮地に立たされることがないよう、普段の行動に気を配ろうと思った。決して良い読後感ではないが、想像していたほどの嫌悪感を催すものでもなかった。

5つの短編集。どの話も主人公がじわじわと追い詰められていく心理描写が秀逸だった。 特に好きな話は「ミモザ」だろうか。本人にとっては些細な隠しごとが、いとも容易く関係に亀裂を入れてしまうところに一番現実味を感じた。人間、窮地に立たされると焦りが生じて冷静な判断ができなくなると思うが、そもそもそういった窮地に立たされることがないよう、普段の行動に気を配ろうと思った。決して良い読後感ではないが、想像していたほどの嫌悪感を催すものでもなかった。

承認欲求はよくSNSが引き合いに出されて語られることが多いが、生きていく上で承認欲求は切り離せない欲だということがわかった。「人に関心があるようでありながら、結局関心があるのは相手の目に映る自分の姿である」というのはなかなかに核心をついている。私は全くSNSをやっていないが、でも確かにここで本の感想を書いて、それに「いいね」がくると嬉しい。個人的にはこれくらいの距離感がちょうどいいと思っている。

身近な関係をタテとヨコ、共同性と相補性に基づいて分類した本。人と人の関係は永続的なものではない。友人、家族、恋人といった身近な関係こそ、甘んじずに見つめ直すべきだと私は思った。本書は自分の身近な関係について、考える材料を与えてくれた。これからも、自己と他者について考え続けると思う。

定期的に自分の言葉や返答を反芻し、相手が心地よく話せることができるような空気づくりを意識していきたい。会話においては、「どう話すか」ではなく「どう聞くか」が肝要だと思った。

運命の相手。もしかすると、これまでの人生で出会っていたのかもしれないし、これから出会うのかもしれない。「青春コンプレックス」を抱えている人にとって、これほどまでに甘美な響きを持つ言葉もないだろう。 そもそも、この世に完璧な思い出を持っている人間はいない。きっと、誰しも「もしかしたら」の可能性を夢想しているに違いない。この作品は、遍く人々にとって救いにもなれば、はたまた呪いにもなるような物語だと思う。

少女一人を救うために世界を見捨てるか、少女一人を犠牲にして世界を救うか。かの有名な”セカイ系”と言われる命題。テーマ自体は莫大としているが、”セカイ”に抗いながら二人が閉じた世界で愛を求めようとする姿に、著者らしさが表れていたように思う。