テレビに、ネットに、街中に流れる歌が、幸せの対価だ。スポットライトを浴び燦然と光を放つアイドル達の恋。マイクを握るその手に爪が食い込む。刻んだ裂傷さえも、愛。生を燃やし尽くさんばかりの、呪いのような愛が煮詰められた短編集。斜線堂有紀さんの描く緩やかな地獄… 控えめに言って好きです。

禍々しい狂気と一人称視点の独特の文体に触れ、久しぶりの夢野久作をたっぷり堪能しました。現実か虚構か、軽妙な語りに絡めとられ混濁する感覚がなんともいえず心地よく。恋人を美しすぎる故に殺害してしまう『縊死体』は、作者の癖が詰め込まれていて良きです(小声) 夢野氏の物語ではお酒が苦手な人に無理やり飲酒させると、高確率で惨劇が起こってしまうのでお気をつけください笑。

テレビに、ネットに、街中に流れる歌が、幸せの対価だ。スポットライトを浴び燦然と光を放つアイドル達の恋。マイクを握るその手に爪が食い込む。刻んだ裂傷さえも、愛。生を燃やし尽くさんばかりの、呪いのような愛が煮詰められた短編集。斜線堂有紀さんの描く緩やかな地獄… 控えめに言って好きです。

いま目の前にいる少年は親友にそっくりなレプリカで、彼と同じまっすぐな瞳でぼくに問いかける。本物か偽物か、確かなことなんて何もないのかもしれない。でもぼくの隣には君がいてほしい。レプリカという存在に揺らぐ、少年たちの繊細な心理を描いたSFファンタジー。主人公の出した等身大の答えにほっこりしていたら、最後はちょっとぞわわっとしました。油断しました笑。大好きな世界観。少し『テレヴィジョン・シティ』を彷彿とさせる要素も感じられ、尚更です。SFと長野まゆみさんの組み合わせなんてなんぼあってもいいですからね…🫶🏻

それは遠い未来の誰かの寂しさや孤独。取り零されたその断片をそっとかき集めて、やさしく包んでくれるような、どこか切なく心温まるSF短篇集。たしかにわたしたちは光の速さでは進めないけれど、言葉は光よりも早く胸の奥を照らす。またとても好きな作家さんに出会えてしまって、すごく幸せ。どのお話ももはや好き、、としか言えないのですが、『共生仮説』は一番印象深く…。目にしたはずのないものや景色に感じる懐かしさと恋しさ、私自身抱いたことのある感情のような気がして。キム・チョヨプさん、他の作品も読んでいきたいです…！♡

ピントのあっていない白黒写真のように、あらゆる輪郭がぼやけて夜に滲む。名前も顔も性別も、ぜんぶ溶けて、何者でもなくなった「あなた」の幻想的な夜行列車の旅。明けない夜はないけれど、この本を開いている間ずっと夜の中に閉じ込められているようでした。