ネタバレホテルが好きだ。会ったこともない、なんなら私が生まれる前には死んでいるような人たちが同じ空間で様々な体験や感情を持っていたところに自分もいると思うととてもときめく。だから個人的にホラーと言えどもときめきの多い作品だった。特に『湯煙事変』がよかった。死んだ人との思い出を留めておけない生きている自分を悲しく思うところに共感した。どうか流れていかないでくれとどんなに願っても日々の記憶に埋もれてしまう。留められない悲しさ。「私はさびしくないから、だから、私のことを忘れてしまっても、いいんだよ。」

ネタバレ『宿で死ぬ』に収録されていた話がよかったので手に取ったがなんだか懐かしくてあとがきで発覚したが乙一さんの別名なのですね。どれもうっすら憂鬱でつらいことがあってでもそれだけではなくて最後には少し救われるような優しさを含んでいるからとても好き。事件が起きてもシュールで淡々としていてくすりと笑ってしまう要素が多い。風子が自分のなかに生まれた感情だけは誰にも奪えないと言うシーンやマキヲが生きるために頭を探して彷徨うシーンが印象的。

ネタバレホテルが好きだ。会ったこともない、なんなら私が生まれる前には死んでいるような人たちが同じ空間で様々な体験や感情を持っていたところに自分もいると思うととてもときめく。だから個人的にホラーと言えどもときめきの多い作品だった。特に『湯煙事変』がよかった。死んだ人との思い出を留めておけない生きている自分を悲しく思うところに共感した。どうか流れていかないでくれとどんなに願っても日々の記憶に埋もれてしまう。留められない悲しさ。「私はさびしくないから、だから、私のことを忘れてしまっても、いいんだよ。」

ネタバレ「パラダイスはペルシャ語で閉ざされた庭、ちいさくて何もなくてでもあらゆる雑音から隔絶されてる。俺だけの。他の人にとっては汚くてくだらないけど、すごく居心地のいい場所」「百年の孤独というと百年寂しいみたいになるけど、ロンリーではなくてソロみたいな一人で凛として立っていて、誰にも依存しない、誰にも支えられたり、誰かを支えたりもしていない、だいいちそんな隙もない。一人でいても平気で、己の欲望と感情だけを大切にする。愛し得ない人間なのかな。」会話の中で言葉を題材にした表現が多くて面白かった。

ネタバレ『私たちは、大事なものを喪失するたびに、壊れた世界を自分の足で歩きまわって、それぞれの新しい地図を作らなくてはいけない。雄々しく歩く開拓者たちの心の中には、古い地図もひっそりと保管されているのだ、と。いつか必ず、その永遠の王国に再び足を踏み入れることができる、それが死であってくれ、と。わたくしは祈っています。』大切な誰かと共に作る秘密の世界地図。大切な人を失ったとしても自分の人生は続いていく。その人が大切であればあるほどそれは残酷なこと。