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2024年4月の読書メーターまとめ

きじょん
読んだ本
8
読んだページ
2312ページ
感想・レビュー
6
ナイス
111ナイス

2024年4月に読んだ本
8

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

きじょん
高校生のとき以来、四半世紀ぶりの中島敦。漢学の深い教養に裏打ちされた、美しくて格調が高くリズミカルな文章は記憶していたとおり。 オッサンとなって読むに、匈奴と戦い俘虜となった漢の将軍を描いた「李陵」が激しく刺さる。囚われても自らの節を貫く李陵ではあるが、祖国では家族が悉く処刑されたことを知り失望。匈奴側と折り合いを付け始めるものの、匈奴に一切の妥協をしない蘇武と邂逅を果たすや、再会の喜びは、羨望、苛立ち、気後れ、劣等感へと変じていく。心理描写がキレキレでこの作品を30代前半で書いたとは、中島敦、恐るべし。
が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
6

きじょん
高校生のとき以来、四半世紀ぶりの中島敦。漢学の深い教養に裏打ちされた、美しくて格調が高くリズミカルな文章は記憶していたとおり。 オッサンとなって読むに、匈奴と戦い俘虜となった漢の将軍を描いた「李陵」が激しく刺さる。囚われても自らの節を貫く李陵ではあるが、祖国では家族が悉く処刑されたことを知り失望。匈奴側と折り合いを付け始めるものの、匈奴に一切の妥協をしない蘇武と邂逅を果たすや、再会の喜びは、羨望、苛立ち、気後れ、劣等感へと変じていく。心理描写がキレキレでこの作品を30代前半で書いたとは、中島敦、恐るべし。
が「ナイス!」と言っています。
きじょん
近代ヤクザとは何者なのか。宮崎学は「近代社会が形成される中で疎外された下層労働者たちが、生き抜くために団結した組」であり「憩いの揺籃、逃避の場」「哀愁の共同体」でもあると主張する。 本書は、山口組の歴史を縦糸としつつ、日本の社会、政治、経済におけるヤクザの位置付け、ヤクザと被差別部出身者、在日コリアンの関係を語っていて、奥行きが深い。 幼い頃、私の周辺には共産主義者もヤクザも大勢いた。「下層の者が生き抜こうとしたとき、ヤクザという選択肢をとるしかないことに文句は付けられない」との訴えに共感を覚える。
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きじょん
パルチザンだった父が死んだ。”アカの家族”として韓国社会で受難した娘は父を許せずにいたが、弔問に訪れた多くの人と接する中で、父に対する認識を変え、父を思い出し、父を受け入れる。 反共の砦とされた韓国において、左翼やその家族が負った苦悩はいかほどであったか。重すぎるテーマだが、笑いとユーモアがちりばめられ、一気に読んだ。左翼である兄を生涯許さなかった弟は、遺骨を手に号泣。父を慕っていた若いベトナム人女性(日本のヤンキーっぽい)。父が求めた社会は実現しなかったが、父が実践した公平さは普遍的。おいおい泣いた。
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きじょん
アウトローの歴史的評価は簡単ではないが、本書は、文献史学の立場から幕末維新期のアウトローに迫ろうとする。清水次郎長のライバル格だった黒駒勝三は、表舞台からいったん消えた後、新政府側の赤報隊の隊長の一人として現れる。北越戊辰戦争では、義侠心から会津側についた博徒もいたし、アウトローの戦闘力や動員力は大いに利用されたのだろう。ただ、勝三はその後に斬首。詳しい理由は不明ながら、権力側にとって都合が悪くなると抹消されるのがアウトローの悲しいところ。歴史の正当な光を彼らに当てようとする著者の取り組みには頭が下がる。
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きじょん
「突破者」をヒットさせた宮崎学の次作品が本作「不逞者」。二匹目のドジョウを意識かと思いきや、取り上げる人物が愚連隊の神様・万年東一と朝鮮人コミュニストで非転向政治犯の金天海とは、渋すぎる。ド右翼とド左翼が主人公ってなんでやねん!と突っ込みながら読んだが、両人とも「権力や良識に盲従することを良しとしない『不逞者』」で「正史では切り捨てられた、昭和史の影の主役だった」と宮崎は訴える。戦後の徒花ではあったが筋を通し抜いた万年の生き方には憧れを抱くし、命を張って民衆の声に耳を傾けた金天海の筋金ぶりには恐れ入る。
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きじょん
ヤクザによるスト破りには憤慨を覚えるが、彼らを忌避しひたすら排除するのも違うのではないか。かと言って、週刊大衆的な興味もなんだかなー…と考えていたところ、宮崎学によれば、近代のヤクザとは「下層社会において非熟練型同職集団を束ねる権力集団」であり、国家権力は未熟なうちは大いにヤクザを利用する。ただ、ヤクザが下層社会に根ざす以上、下層社会が国家に激しく対抗する局面においては反権力に振れるケースも。米騒動や初期の社会主義運動では役割を担ったヤクザも多かったという。左翼とヤクザは相性が悪そうだが、勉強してみよう。
きじょん
2024/05/05 01:42

宮崎氏は、本書に加えて「近代ヤクザ肯定論」をセットで読んで欲しいと述べていて、「近代ヤクザ肯定論」の方が歴史を詳述しているかと思います。

ジャケット君
2024/05/10 12:21

ありがとうございますm(_ _)m参考にします

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2020/05/24(1449日経過)
記録初日
2020/01/10(1584日経過)
読んだ本
427冊(1日平均0.27冊)
読んだページ
126036ページ(1日平均79ページ)
感想・レビュー
334件(投稿率78.2%)
本棚
13棚
性別
職業
事務系
現住所
東京都
自己紹介

アラフィフとなり、忙しく駆けずり回る現場から離れたのを機に、本を読む時間が出来ました。自分が読むのは歴史ジャンルに偏っていますが、色々な読書家の方の感想が楽しみです。自分の世界が広がるようで、とても勉強になっています。

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