楽しく読めました。時代小説は中々読みませんが、越後屋と悪代官、分かりやすい勧善懲悪とエンタメに振り切っていてとても良いです。時代物苦手でも読みやすく、難しく考えなくても良くて、スッキリした物語でした。

３つほどのテーマを持っています。病院内での権力闘争をコミカルに、病院長の謎の死の真相、医者の本音部分で、ここが一番印象残りました。医者も医学も万能だと思う節が誰にもありますが、医者だって人間、医学だってケースによるというのは皆分かっています。難病や老化の場合、最終的には個人の生命力とか運とかいうと身も蓋もないので、作中の医者が愚痴のように現状を語っている場面を、著者が一番書きたかったことではなかろうかと思いました。

ちょっと困った人たちが出てくる4編ですが、人間味のある日常に近い物語でした。誰かをジャッジしたい人たちが多いですが、しようとする側も見直せよ、なんて思いました。読みやすい文体で、タイトルの「嫌いなら呼ぶなよ」がキャッチーで良いです。