また前回のあとがきにもあったように、徐々にネイトが主人公としてクルーエルさんのために、という形が深まって来た気がします。とはいえ、無自覚ショタも限度があるぞ。クルーエルさんからのデートのアレコレがあったにも関わらずトンチンカンな返しをしているんじゃあないよ。
あったのだけど、それをまさしく命をかけて飛び越えて愛を叫んだ狼士くんのカッコよさよ! 宿敵だったけど、宿敵だからこそ、好きになった関係性にある想いの爆発! もう最高! 本当にこういうの大好き! それにあの告白はマジで強い。異能力者の少女の心にいちばん刺さるんだよああいうのは。律花の心の奥にある氷をちゃんと壊して掴み取った狼士くん大勝利だよ、本当にカッコよかったよ。
その他にも、律花のちょっとした仕草に狼士の友達の影響を受けている部分があったりするちょっとしたエピソードは可愛かったし。過去編をやって、それを全部今はいい思い出になってるよねって振り返る断章が差し込まれるのも二人の仲睦まじさを引き立てる味になってるし。シスコンおにぎりのイビリの度合いも初期と現在ではたしかに変わってるなって感じられて、でも本質的にただただ妹が大切だから狼士にこういうイビリをするんだろうなと分かる塩梅も素晴らしかった。 とにもかくにも、全編通して満足感しかない2巻でした!
なのであのお嬢様、歳を重ねてもその精神性がまるで成長していないのが問題なんだなと。そう思えば、案外このお嬢様を許して……、はやれないですね。二ノ宮くんは真由を救えばそれでいいと思うのですが、まぁ二ノ宮くんの心情的には無理そうだし……。
人格否定じみた暴言を吐けるのは、人としての在り方を逆に尋ねてみたいよ。あなたが好きな人に覚えてもらえていない辛さだとか立場の重責があるのはよく分かるけど。そんなのは何の言い訳にもならない。何の事情も知らないくせに、って相手も同じこと思ってるから。何自分だけ特別辛い立場にいると思ってるんだ。 とりあえず素直に告白とかしたらどうですか? あなたの場合もはや「言えない」じゃなくて、自分から「言わない」だけでしょ。それで周囲に当たり散らして、喚きまくって……、マジで見てて無理だよ。
もはやこんなクソ女を相手にもしっかり悩める二ノ宮くんや、まともに恋敵として相手にしようとする真由が聖人か神様に見えてきますね。……いや、二ノ宮くんに関してはこのお嬢様の真由に対する暴言罵声を聞いてないから……、まだ普通に見えてるだけか。あれ、そうなるとこのお嬢様、好きな人の前ではうるさく喚き散らすことで真由との交流を邪魔して、好きな人がいなくなると途端に真由の人格否定をして排除しようとしていることになりますか? ……いや、もう本当に無理だよ。こんなヒロインどうやっても好きになれない。
ただ、あれですね。好きになれる要素が一切ないどころか完全に悪役お邪魔キャラでしかない高飛車お嬢様とか、悪ノリというか主人公への仕打ちのヤバすぎるクラスメイトとかが、すっごい時代を感じさせる。
そしてそんなアホの子ストーカーヒロインに対する主人公の塩対応と徐々に絆される進展の塩梅も見事で、駄目な女の子に攻略されるのはやっぱりちょっとズレた男の子という、割れ鍋綴じ蓋のようなお似合いな雰囲気も良かったと思います。
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