
く跳ね上がり、前例のない景色を目の当たりにする。すべてが作者の思惑通りに進んでいるみたいだ。でも、なんでだろう。作り物めいた不自然さは感じない。この物語は、作者の研ぎ澄まされたバランス感覚が先に立ち、そこに最小限の調整が加えられたんだ。ここでようやく気づいた。作者の平衡感覚を具現化したような存在、それが忍者なんだと。まきびしを置く手さばきのような精巧なリズムが積み重ねられ、まだ誰も成立させていなかった奇妙な旋律が生まれた。異類婚姻譚だ。
心理や体の中の揺らぎなども網羅的にまとめてあり嬉しい。ゆらぎに信仰心が芽生えた。よく習慣は大事だと言うけれど、それは、完全に同じことをし続けるよりも、幅を決め、その間におさまるように、ある揺らぎをコントロールするのがいいと感覚的に思った。造形物にも揺らぎの側面がある。一般的な階段はカクカクして直線だけで作られている。人はゆらぎを抱える生物がゆえに、完全に一定な直線への憧れを美と捉えることもあるんじゃないか。逆に曲線からゆらぎを見出し、そこへの同化を美と捉える人もいるだろう。
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