ヴィクトリア朝京都を舞台に名探偵ホームズとワトソンが活躍…なんて話にはならないのが森見節。彼岸と此岸が入交り、ホームズは鬱々と、ワトソンはイライラと、メアリーは男どもの尻を叩くのにもうんざりしてアイリーンとタッグを組む。アイリーン×メアリーって個人的にはすごいアリなバディで、この二人の物語も読んで見たかったな。この世界のストランドマガジンには連載されてるみたいだし。ホームズものの知識があったほうが絶対楽しい作品。登場人物がちょい役からメインまで山盛りでストーリーもこう使うか！と面白かった

作中の言葉を借りるなら、魂＜マブイ＞が踊る一冊。面白すぎる。何回もぐっとのめりこむ展開があって、私は四色牌のシーンで虜になりました。多分あえてなんだろうけど、主人公の外見容貌への言及が少ないんだよね。草薙素子みたいな動く軍事機密な身体なんだろうから、外見に意味はないんだろうけど…国も信条も違うバラバラすぎる4人がまるで兄弟のようにパーティを組むのもいい。楊さん好きだぜ。ダウン図中佐の外見が中佐の主義からすると似合わない気がするんだが、元があんなんだったんだろうか。作者の次作も最高に楽しみ。

吸血鬼ものでわりと正面きって書かれることが少ない「吸血鬼の生きにくさ」が全面に出てきた感じ。しかもアルは半分なわけで、いいとこどりっていうより不便なとこどりの印象。ゴールデンカムイばりの全裸バトル不可避だし…不器用な暁の優しさがそっち方面で発揮されると思ってなかったので、展開にちょっとびっくり。次の巻が気になりすぎる

ホーソーン＆ホロヴィッツシリーズ第四弾。金田一少年の事件簿で言うなら金田一少年の殺人な一冊。ホーソーンのプライベートがほんの少し明らかになるんだけど、まだまだ謎ばかりの男であることは確か。事件関係者がすごく少ないので、犯人当てだけならいけるかもしれない（動機の解明ができるかはおいておくとして）

スコットランドっぽい場所が舞台でケルト的な色彩が絡むんだけど、邪神のモデルはアーカムに親しみ感じる読者ならぴんとくるはず。いあいあ。割としっかりエログロ描写もあるし、幽界の皆様も妖精もいるんだよな世界観に、普通に？密室や首のない死体が絡むのが面白い。解決法はオーソドックスで後味がなぜか爽やか。大穴の奥って結局どうなってるんだか気になる。この世界観だと観光名所になってるのかな。

ヴィクトリア朝京都を舞台に名探偵ホームズとワトソンが活躍…なんて話にはならないのが森見節。彼岸と此岸が入交り、ホームズは鬱々と、ワトソンはイライラと、メアリーは男どもの尻を叩くのにもうんざりしてアイリーンとタッグを組む。アイリーン×メアリーって個人的にはすごいアリなバディで、この二人の物語も読んで見たかったな。この世界のストランドマガジンには連載されてるみたいだし。ホームズものの知識があったほうが絶対楽しい作品。登場人物がちょい役からメインまで山盛りでストーリーもこう使うか！と面白かった

孤島ミステリ×恋愛リアリティショーってどんな結末になるんだと思ったら、犯人、動機、謎全部に絡んでいて、うまい！となった。タイトルでちょっと損してる気がする。これだと恋愛がらみの事件ぽいし、そういうミスリードさせる意味も得もない本編。このタイトルと表紙のおかげで、書評見るまでスルーしていた

愉快なガールズ＆ボーイズ（元）の誘拐あり恋あり野望ありそして謎も勿論あり。シリーズ3作目なので、キャラクターも自由に動いている。ジョイス、いいキャラだなあ。現役時代どんな看護師だったのか気になる。そしてエリザベスの愛する夫スティーブンの認知症が少しずつ進んでいく描写に、スーパー介護士（穴掘りも得意）ボグダンと一緒にうっときてしまった。シリーズが進むともっときつくなっていくよね…元KGB幹部もメンバーに参戦ぽくてますます目が離せないシリーズです。次の巻の翻訳が楽しみ！

三部作って、三部作である意味があまりないようなシリーズもあるけど、これは三部作である意味ががっつりある。主人公が下した結論（ページ半分もいかないでこれに至ってしまうので、残り半分を読むのが怖かった）は、今まで過去あまたの探偵たちが逡巡しては選ばなかった結論だよね。もちろん選んだ探偵もそこそこいる。ピップって根っこがまっとうでいい子だから、これを抱えてこの先生きていけるのか、将来どういう人生を歩むのか、やっぱり気になるし、心配。ラヴィは兄のことがあっても彼女の選択を支持するのかな…同じだよね？

一応特殊設定ミステリになるんだけど、動機が最後まで明かされてもしっくり来ず。特殊設定のルールも、どうしてもこの設定でないといけない、という必要性が感じられなかった

中編3編、真ん中に入っている「ぼくとう奇譚」が一番好み。訪れる度に崩壊して廃墟のようになっていく遊郭、その一室だけ揃い踏み花魁もきらびやかなお座敷、そして最後胎内に潜るような浴室行き。四万温泉の積善館を思い出してしまった。それぞれの花魁のビジュアルも、最後まで読んで、「実物」を見てから想像するとまたいいよね