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2024年9月の読書メーターまとめ

letteraria
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1724ページ
感想・レビュー
6
ナイス
26ナイス

2024年9月に読んだ本
6

2024年9月のお気に入られ登録
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2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

letteraria
須賀敦子さんの文章は心にすっと沁み込んできて読みやすいのだけど、どれも切なく哀しい。本書も例外でなく、息苦しくなるような感覚を覚えることもある。深い思索の中で他者の人生を見つめると、個人が背負っているものや、時流に翻弄される姿が浮かび上がり、無意識のうちに読者もそれらと向き合っているのかもしれない。イタリアといえば太陽が眩しいイメージだが、須賀さんのイタリアには雨の夕暮れ時が合っている気がして、雨音を聴きながら静かに読了した(巻末の解説でも雨に言及されていて、驚くとともに少し嬉しく感じた)。
が「ナイス!」と言っています。

2024年9月の感想・レビュー一覧
6

letteraria
イタリア在住の著者が自ら暮らした土地とそこで出会った老若男女の人生を描いた、短篇小説のようなエッセイ集。南北格差をはじめとしたイタリア社会に巣食う問題からも目を背けず、全体としてほろ苦い後味となっている。イタリアに纏わるエッセイと言えば須賀敦子さんと著者をまず思い浮かべるが、須賀さんがかつて現地で過ごした日々を文学的な文章に昇華しているのに対して、著者はジャーナリスト魂で現地の多様な人々の暮らしに肉薄し、今そこにあるイタリアを鋭く切り取っているように感じた。
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ゴーギャンをモチーフにした作品。主人公は徹底したエゴイストで、芸術への情熱を追求するためには自分だけでなく他人をも犠牲にして憚らない不愉快な人物として描かれている一方で、ストイックに美を究める面も強調されている。絵画の価値と画家の人物面は切り離して考えなければと思うものの、もしゴーギャンがモームの描いたような人物なのだとすると、彼の作品を観るのは正直もう気が進まないなという気分になった。モームはそれほどまでに鋭い観察眼とシニカルな筆致で矛盾に満ちた登場人物を描き切っており、卓越した人物描写に舌を巻いた。
が「ナイス!」と言っています。
letteraria
須賀敦子さんの文章は心にすっと沁み込んできて読みやすいのだけど、どれも切なく哀しい。本書も例外でなく、息苦しくなるような感覚を覚えることもある。深い思索の中で他者の人生を見つめると、個人が背負っているものや、時流に翻弄される姿が浮かび上がり、無意識のうちに読者もそれらと向き合っているのかもしれない。イタリアといえば太陽が眩しいイメージだが、須賀さんのイタリアには雨の夕暮れ時が合っている気がして、雨音を聴きながら静かに読了した(巻末の解説でも雨に言及されていて、驚くとともに少し嬉しく感じた)。
が「ナイス!」と言っています。
letteraria
道長には傲慢な権力者の顔だけでなく、怨霊に怯え、病に苦しみ、身内の不幸に涙する一面もあった。本書は「幸ひ」をキーワードとして、道長の心に迫っている。この言葉は紫式部日記や栄花物語の中で道長の描写に使われているが、世俗的な成功や外見の幸運を意味しており、個人が内心で実感する「幸せ」では無い。道長は他者の不幸により幸運を掴んでおり、疑心暗鬼が生んだ怨霊に苦しみ続けた。大河ドラマと並行して少しずつ読み進めて、最終回を待たずに読了。史実と照合しつつ、道長の心の内を思い浮かべながら残りの回も視聴したい。
が「ナイス!」と言っています。
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読んでいてとても不思議な感覚を覚える作品だった。主人公は「こうしたかったのだが、なぜかしなかった」、「どうしてそんなことをしたのか、記憶にない、わからない」と繰り返し語る。彼の語る思考・意思と行動は、不自然なまでに乖離している。それは果たして本心なのか、それとも、後付けの言い訳なのか。読者はわからないまま、ふわふわと漂い続けなければならない。終盤に主人公の「主導的エゴ」が覚醒し、息をつかせぬ展開となる。状況が朧げにしかわからない中でもページを捲る手は不思議と止まらず、タブッキという作家の筆力に圧倒された。
letteraria
ライトな海外短期滞在エッセイかと思いきや、旅の目的について逡巡する中で人生で大事なものに気づき、自分が何者なのかに向き合う、なかなか深いお話。完全にアウェイな状況でも、自分なりに感じよく振る舞って場のリズムと調和することで、居場所ができていくこと。たとえ言葉は通じなくても、「行動」することで感謝と尊敬の気持ちは相手に伝わること。自分が生活で必要としているものがわかっていれば、世界はどこでもご近所になる。最終日にはお世話になった人に感謝を伝えて、人生最後の日もそうありたいと筆者は願う。爽やかな読後感だった。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2021/01/12(1359日経過)
記録初日
2021/01/03(1368日経過)
読んだ本
50冊(1日平均0.04冊)
読んだページ
15364ページ(1日平均11ページ)
感想・レビュー
39件(投稿率78.0%)
本棚
0棚
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