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2025年11月の読書メーターまとめ

東森久利斗
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感想・レビュー
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2025年11月に読んだ本
20

2025年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

東森久利斗
読み応え満点、短編とは思えないクオリティ。手に汗握る切迫した状況、刻々と迫りくるタイムリミットへと向かい、追い詰められていく過程の心理描写、倒叙的な心象風景の描写がまさに巧みの技、感情移入必須、第三者としては理解できない状況にもかかわらず、手を握りたくなってしまう。田中裕子の妖艶な演技と美しさにノックダウン、日本映画のベスト「天城越え」の原作もまた、映画に劣らず情緒豊かな。「遭難」、「寒流」、「坂道の家」のジリジリとしたサスペンス感がたまらない。「遭難」は清張作品のなかでもベスト。
が「ナイス!」と言っています。

2025年11月の感想・レビュー一覧
18

東森久利斗
自分だけの宝物を時間をかけて探す楽しみ。博物館の収蔵庫の片隅に眠る、埃の積もった展示物、マグネシウムの閃光電球と立ち上る煙、創造力を試される超現実な空想の世界を、現実のように形のあるモノとして成形し届けてくれる、ゆったりと流れる時間、暖かな温もり、幸福感のアンテナを少しだけくすぐるようなサービス精神。夢の共演、コラボレーションによる化学反応。取り上げた本、注文の品、納品物の写真、すべてのセンスがクール、洗練された味わいがアートな気分にさせてくれる。バナナフィッシュを注文したい。
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東森久利斗
新しい時代の幕開けと同じくして世に現れ、速くて効率的で経済的な移動手段、鉄道や自動車、自転車への移行によって姿を消した俥(人力車)の隆盛期、まさに日本文化の象徴、日本生まれらしい、職人気質で活気にあふれ、繊細でホスピタリティの高い俥の世界、急速に変わりつつある明治の世相と俥文化の内情がよくわかる。サスペンス的要素については疑問、得意の市井の人々の人情ものテイストの書き込みが甘くなり、味わいが薄れているような気がする。観光地の人力車への距離感が縮まった。
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東森久利斗
”人は誰かの影に過ぎない”という一言が脳裏から離れない、脳は夢と現実の区別がつかないそうだ・・・、もしも、壁と影によって明確に区別することができたら。そんな妄想の象徴としての街と影、虚構と現実、夢と現実、夢と記憶、実態と影、不確かな世界を地図のように視覚化する。時間の概念のない自由で安寧な世界、時がたつのも忘れ、書物に囲まれ、一番好きな人とともに林檎の古木を燃やす薪ストーブの前で好きな本を読む、好きなことに没頭できる夢のような世界。1980年執筆の中編小説「街と、その不確かな壁」を読んでみたい。
が「ナイス!」と言っています。
東森久利斗
”人は誰かの影に過ぎない”という一言が脳裏から離れない、脳は夢と現実の区別がつかないそうだ・・・、もしも、壁と影によって明確に区別することができたら。そんな妄想の象徴としての街と影、虚構と現実、夢と現実、夢と記憶、実態と影、不確かな世界を地図のように視覚化する。時間の概念のない自由で安寧な世界、時がたつのも忘れ、書物に囲まれ、一番好きな人とともに林檎の古木を燃やす薪ストーブの前で好きな本を読む、好きなことに没頭できる夢のような世界。1980年執筆の中編小説「街と、その不確かな壁」を読んでみたい。
が「ナイス!」と言っています。
東森久利斗
読み応え満点、短編とは思えないクオリティ。手に汗握る切迫した状況、刻々と迫りくるタイムリミットへと向かい、追い詰められていく過程の心理描写、倒叙的な心象風景の描写がまさに巧みの技、感情移入必須、第三者としては理解できない状況にもかかわらず、手を握りたくなってしまう。田中裕子の妖艶な演技と美しさにノックダウン、日本映画のベスト「天城越え」の原作もまた、映画に劣らず情緒豊かな。「遭難」、「寒流」、「坂道の家」のジリジリとしたサスペンス感がたまらない。「遭難」は清張作品のなかでもベスト。
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東森久利斗
”ここにはこの上なく強烈で悲しくおもしろく、とても 美しい物語がおさめられています。ここには 本物の物語がおさめられています。” ル・グィンによる巻頭の序文が全てを語る。奇才と鬼才にしか到達できない領域、理解できない世界。思想や主義、性、テクノロジーへの外野の批評や発言など意にしない、アリス・ブラッドリー本人が書くことを楽しみ、創造したファンタジックな物語、理想とした純粋な物語。意味深なタイトル、シュールな装丁画は、ハヤカワ文庫SF随一。「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」がベスト。
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東森久利斗
人の心を蝕むほどの寒々とした荒涼感が、切なく、いたたまれない。コロナ禍がまだ弱火だったころ、レンタカーで東北海道を知床半島から釧路まで縦断したのを思い出す。街灯の消えた暗いメインストリート、湿原、炉端焼き、市場、印象に残っった情景が鮮明に浮かび上がってくる。犯人捜しの過程で描かれる人と人との切りたくても切れない非情な絆。被害者の身元から一つ一つ浮き彫りになってくる人間を構成する様々な要素や人生、点と点が繋がってほしくないという思いを裏切るように、触れられたくない過去、鮮明になってくる哀しき人間の業。
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東森久利斗
東野圭吾が関西人であったという驚き、関西弁の会話に違和感を感じつつも、巨匠ライクな主義主張のないリラックスムードのエッセイとして楽しく完読。アホな時代のアホな諸行、罰ゲームのような子供騙しのルールに縛られながらも、寛容で自由な生きやすいレトロな昭和な時代、人間が社会の主役であった時代、スラップスティックな人間賛歌。給食のコッペパン、脱脂粉乳、ウルトラセブン、インベーダーゲーム、不良、共通一次、新歓コンパ、夏合宿、合コン、・・・、ほぼ絶滅、文化遺産な死語となり果てた単語のオンパレードに胸が熱くなる。
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東森久利斗
中国残留孤児、在日朝鮮人、戦争孤児、戦災の嵐に巻き込まれ、歴史に翻弄された少女達のその後の過酷な人生をとおして、国家と人種の意味を考えさせられる、自分の生き方を自分で切り開き自由に選べる世の中になったことを有難く思う。壮絶な状況での苦渋の選択、その日その日を生きるため、食べるためだけに、生きる道と生きる場所を強いられる、過酷な運命をものともせず、ひたむきに生き抜く精神力と逞しさに心を打たれる。空襲と満州引き揚げへの克明で目を覆うばかりの描写には声もでない。
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東森久利斗
ウルトラQのようなベタでショッキングな内容紹介へのワクワク感、タイトルへのドキドキ感、期待を前にマイナス40℃のコミュニストな鉄の壁が立ちはだかる、瞬間冷凍されてしまう。揚げ物後の鼻に突く油臭さ、スチームパンクなレトロでダークな雰囲気、キリル文字のような硬質な肌触りが、何とも言えない複雑な感覚。発禁処分も納得、前評判を裏切ることなく、資本主義と民主主義に染まった凡人にも分かるほどの体制へのストレートな批判が、オーウエルの「1984年」を彷彿させる。デルトロが映画化したら面白い作品ができあがりそう。
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東森久利斗
物語を面白くするための悪役として必要なキャラクター設定として、吉良上野介同様、おおいなる歴史誤認である田沼意次感に疑問を投げかけ、意次擁護の雰囲気が伺いしれるのが、田沼意次押しには溜飲が下がる思い。改革とは名ばかりの野党の反対尋問のような無為無策、実態は無能、陰湿な腹黒さが垣間見えるのも、松平定信嫌いにはうれしい限り。試練の賜物、弟子達の剣術家とし成長した姿に目を奪われる。ゴールのテープが、かすかに見えてくる。次巻への期待感が湧いてこないのが寂しい。
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東森久利斗
人類の歴史にまといつき逃れることのできない、神に強いられた呪い、国家と民族の呪縛。人間ひとりひとりの血の中に通う尊厳、魂の叫びを葬り去る刃。国家と国民/臣民という意識への盲信と洗脳。農耕文化と資本主義により、持つ者と持たざる者とに分断され、持つ者の自己保全と統治のために、国家と法律が必要となり、権力と富をめぐり、武力と闘争、貧富と差別が生まれる。呪いに捕らわれないアイヌのスピリチュアルな生き方が羨ましい。
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東森久利斗
西欧列強、豊臣政権、国益と国家の威信をかけた壮大な叙事詩。壬辰倭乱、唐入り/朝鮮征伐、イスパニア/フランシスコ会、ポルトガル/イエズス会、植民地化と侵略への迫真のルポルタージュのような生々しい筆致、学術書のような品格、丁寧に刻み続けた英知の結晶。私利私欲を越えた命懸けの信仰と弱き者への義侠心、己の信ずるもの、譲れないもの、変わることのない本質的なもの、正義のために戦い続けた雄姿が感動的。物語の感動のラストシーンが心に残る。圧倒的な情報量と活字の嵐に翻弄されながらも無事航行、お腹いっぱい大満足。
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東森久利斗
西欧列強、豊臣政権、国益と国家の威信をかけた壮大な叙事詩。壬辰倭乱、唐入り/朝鮮征伐、イスパニア/フランシスコ会、ポルトガル/イエズス会、植民地化と侵略への迫真のルポルタージュのような生々しい筆致、学術書のような品格、丁寧に刻み続けた英知の結晶。私利私欲を越えた命懸けの信仰と弱き者への義侠心、己の信ずるもの、譲れないもの、変わることのない本質的なもの、正義のために戦い続けた雄姿が感動的。物語の感動のラストシーンが心に残る。圧倒的な情報量と活字の嵐に翻弄されながらも無事航行、お腹いっぱい大満足。
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東森久利斗
自虐的私小説、SNSでの赤裸々な告白のような、見られ、ディスられ、炎上することへのマゾヒズム的な快感。井上荒野「あちらにいる鬼」の続編を読んでいるよう、主人公と関係を結ぶ男、その妻、登場人物のキャラクター、舞台や情景の設定が同じ。緩やかな緊張感により均衡をたもっている理解しがたい男女の関係、同じ人間のなかに巣くう相反する制御しがたい本能的な衝動、ウェットな背徳の世界を乾いた第三者的な視点で、感情の機微、人間関係の繊細な動きを、巧みに描写。映画も観てみたい。
が「ナイス!」と言っています。
東森久利斗
異なる空間と異なる時間、異質なものに相対したときの、どうしようもない損失感、ズレから生まれる孤立感、いたたまれないような居心地の悪さ、物悲しい雰囲気に包まれたノイズキャンセリングな静寂、後味がほろ苦い、ブラックやシュールなテイストとは異なる、笑えない救いのないバッドエンドな昔話のような物語。ちょっとだけ大人のジュブナイル。表題作の「通りすぎた奴」がベスト。
が「ナイス!」と言っています。
東森久利斗
見栄と虚飾、自尊心と優越感に生きるハイソな乗客、閉ざされた空間、自然災害、クラシックな謎、物語を構成する素材は古典ミステリーへのオマージュを思わせる。複雑な人間模様を意識させない、本格なテイストのなかにも著者らしい洗練された会話と展開が、古き良き時代の終焉を予感させるノスタルジックな雰囲気。「思考機械」のジャック・フットレルが、タイタニック号の遭難事故により亡くなっていたとは知らなかった。「思考機械」未発表原稿が海の底に沈んだらしい、というエピソードをもとにした、夢のあるプロット。
が「ナイス!」と言っています。
東森久利斗
思うがままに全国の色町を放浪し、歴史と地図、内容を紹介したメモ書きと写真、ラーメン好きのSNSに投稿されたラーメン食べ歩きのブログのような、プロフェッショナル感なしの記録。消えた赤線感、色町の今を伝えるような、赤線の匂い、色町の臭い、色町の裏路地にしみこんだ風俗産業の体臭、本能の赴くまま虫が集まる妖しいネオンの輝き、お店の個性や違い、それぞれの街が持っている体温や息吹、文化と社会性、著者なりの考察、そういうものを期待していたので残念。写真のセンス、構図や対象も今一つ。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/07/18(5262日経過)
記録初日
2011/01/03(5458日経過)
読んだ本
4005冊(1日平均0.73冊)
読んだページ
1517381ページ(1日平均278ページ)
感想・レビュー
3998件(投稿率99.8%)
本棚
31棚
性別
血液型
A型
職業
IT関係
現住所
東京都
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