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2024年4月の読書メーターまとめ

腰越ヒロシ
読んだ本
11
読んだページ
3558ページ
感想・レビュー
11
ナイス
113ナイス

2024年4月に読んだ本
11

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

腰越ヒロシ
表題作が素敵です。自殺する場所を探す男にタクシー運転手が勧めた「月に一番近い場所」とは?そしてその裏に秘められた意図は?収められたいずれの物語も人生にやや行き詰まりを覚えつつある主人公たちが未知の科学観に触れて、思いがけず生を前向きに受け入れるきっかけを得る点で共通していますが、描かれるところの科学を体現する人たちが揃って押しつけがましくなく、やや変わり者ながらふわりと温かく他者を包容する様が実に読んで心地よいです。いい本に出会えました。
が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
11

腰越ヒロシ
八ヶ岳山麓で園芸店を営む一家、その主は25年前に若いイタリア人女性と暮らすために家族を捨てた。女性が帰国してしまい家族のもとに突然戻ってきた主に対する家族それぞれの視点から描かれる複雑に絡んだ思いが交錯する。視点の転換は荒野さんお得意の手法とも言えますしそもそも帰ってきたダメ父と平然と受け止めるかのような母の姿は荒野さんの生い立ちに根ざすものにも受け止められますね。誰もが諦念をにじませるぎこちなあ日々の中、父その人の内面だけは最後まで描かれず、車で逃げていく父、追う母のラストシーンが絶妙でした。
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腰越ヒロシ
弟夫婦が相次いで入院生活を余儀なくされることから生後間もない娘なずなの育児を引き受けることになった未婚中年新聞記者の主人公が周囲の温かなサポートに支えられながら日々成長していくなずなの姿に未知の喜びを見出していく物語。育児経験者なら誰でもはっとするような細かな日常のデティールがぎっしり詰まっています。文章としては理屈っぽく回りくどく、センテンスが長くて読み進め易いとは言い難いのですがすべてが希望に満ちていて冗長とは感じられず、読了まで目が離せませんでした。全ての人々に幸あれ、と強く感じました。
が「ナイス!」と言っています。
腰越ヒロシ
表題作が素敵です。自殺する場所を探す男にタクシー運転手が勧めた「月に一番近い場所」とは?そしてその裏に秘められた意図は?収められたいずれの物語も人生にやや行き詰まりを覚えつつある主人公たちが未知の科学観に触れて、思いがけず生を前向きに受け入れるきっかけを得る点で共通していますが、描かれるところの科学を体現する人たちが揃って押しつけがましくなく、やや変わり者ながらふわりと温かく他者を包容する様が実に読んで心地よいです。いい本に出会えました。
が「ナイス!」と言っています。
腰越ヒロシ
墨田区向島に長く住んでいましたのでお隣葛飾の四ツ木立石あたりもよく歩きました。その立石に肩を寄せ合い立つ三軒長屋隣組の住人たちとその縁者たちで毎年賑やかに行ってきた法事の様子を戦争のさなか昭和18年から平成2年まで、次第に世代交代もあり場所も変わりなどあっても下町でともに苦しい時を過ごした結びつきは変わらず続いていく姿と重ねて描いた物語。半村良さんも今や懐かしい名前になりましたが葛飾のお生まれだったのですね。端正でかつ軽やかな文体で人情の織りなす機微が心に沁みました。
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腰越ヒロシ
芥川賞受賞作家さんの本ですが受賞作品も読んでおらずで全くの初読みです。一話目に、作家さんご本人の投影らしき小説家がシルエットのみですが描かれていますね。私より一回り近く年上の先生です。漢字にはそこそこ強いつもりなんですが、読みをぱっと思いつかない活字が何か所かあり勉強させていただきました。人間の、個として生きるにあたって避けて通れない重い、隠微な部分をえぐるように書き出した連作と言えましょうか。面白かったんですが、他の結末はなかったのかな?というのが正直な読後感です。
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腰越ヒロシ
バーナード・リーチ先生のお名前は民藝という言葉とともに聞いたことはある、という程度で、業績や人となりといったことには全く予備知識がありませんでした。マハさんが描き出してみせるその人間像は、例によっていかにも事実っぽく脚色されたフィクションだとはわかっていても完全に史実として頭に浸透してくるストーリーにより魅力も3倍増し。亀ちゃんとの出会い、切磋琢磨、師弟のようで親友のようでもある交情がまたいいんだな。ずっしり厚い本ですが一息に読めちゃいました。
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腰越ヒロシ
多分、初読みの作家さんです。けど、文章のテンポ、言葉選びが心地よく、重たいテーマの物語なのに柔らかく心に込んできました。双子のようによく似ていて同級生からは双子と思われてきた遼賀と恭平は実は兄弟ですらない。ただ幼い頃から兄弟として育ち冬山で共に死の淵から生還した過去からも二人の結びつきは固く、しかし遼賀にある日ガンの告知がされ・・・という筋立てですが登場人物たちが実に健気で真っすぐで、爽やかな読後感の物語でした。
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腰越ヒロシ
雛人形の制作に携わる頭部、髪、手、着物、道具などの専門に分かれた職人さんたちについてはテレビの番組でも見たことがありましたが、山本幸久さんの文章で描かれると一層躍動感を持って眼前に迫って来ます。埼玉県の岩槻市がモデルでしようか、長い歴史を持つ人形作りの町で伝統を守りながら新たな発展を目指して奮闘する8代目と周辺の人々が誰も実に魅力的な個性に彩られていて、この手の作品を手がけると比類のない山本さんの安定感ある筆致を堪能しました。
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腰越ヒロシ
どうしようもなく寂しさに包まれてしまう小説です。道東で理髪店を営んでいた夫婦と父の跡を追い美容師になった長女、父に反発し家を離れてきた次女、それぞれの配偶者とその縁者・・・等々の必死に己が生き方を全うしようとする姿が描かれますが、母の認知症が進むほどに誰もがぎりぎりの決断を迫られるところまで自分を追い込んでしまい重苦しい展開が続きます。母自身は過去の良かった思い出といま目の前で自分を気遣ってくれる人たちに安らいでいるのが救い。
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腰越ヒロシ
すごく一生懸命なんですけれど、すごく世間からワンテンポずれているようでそばにいるとハラハラさせられそうな、けれど寄りそっていきたくなる瀬尾さんお得意のほんわかな人々を描いた短編集です。瀬尾さんの読者にはおなじみの緩やかで暖かなタッチで描かれた風景が心地よいです。亡くなったお兄さんそっくりの男性に急接近したり公園のホームレスのおじさんを拾ってきたり、瀬尾さんのヒロインたちの行動は常に予測不能で心躍らされます。
が「ナイス!」と言っています。
腰越ヒロシ
ゆきずりのように関係を持った女性が産んだ我が子に会うこともせず20年間養育費だけ払い、その都度送られてきた「10万円受け取りました」というメモと子どもの写真。成長した息子が突然現れ同居をはじめ戸惑うばかりの引きこもり作家が20年で241枚になる写真の裏に秘められていた母子の想いに気づくまでの物語。人の陰鬱な内面ばかり描いていた世間知らずで自己中の作家が少しずつ変わっていく様子がいい。瀬尾さんらしい、心やさしい素敵な人ばかりで繰り広げられる心温まるお話でした。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2021/03/10(1162日経過)
記録初日
2020/10/22(1301日経過)
読んだ本
330冊(1日平均0.25冊)
読んだページ
103676ページ(1日平均79ページ)
感想・レビュー
326件(投稿率98.8%)
本棚
0棚
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