『かけら』父と大学生の娘二人で、日帰りのさくらんぼ狩りツアーに行く。『欅の部屋』四年前に別れた恋人と、まだ同じマンションの上下に住んでいる。『山猫』都内に住んでいる新婚の家に西表島からいとこの女子高校生が来る。「うちではスリッパを履くのがルールなの！」と強く言った。知っている、今見ていること、見方が違えば以外な気づきがある。≪しかし考えるべきは今日のことだ≫そうしてあの日のことを思い出す。

日岡秀一は、交番、機動隊勤務から捜査二課・暴力団係に配属された。昭和63年、広島、抗争事件が頻発する管内。 凄腕のマル暴刑事・大上が直属の上司だ。大上は暴力団絡みの事件数多く解決するが、暴力団との癒着も噂される。新興組織・金融社員失踪事件を追う、日岡と大上。大上と16年前の事故、「小料理や　志乃」の晶子との関係。ラストは驚き。日岡は大上とどんな気持ちで一緒に仕事をしていたのだろうか。≪本物の警察官の心得は、大上さんからみっちり仕込まれましたけ≫

≪夏の体温≫ぼくは、入院から一か月以上になり夏休みに入った。夏休みは低身長の検査入院で2泊の子どもたちが多く入院する。すぐに退院する子たちに苛立ち、病状の重い子に苦しい思いをし、学校に行くクラスメートを羨んだり、自分が幸せか不幸なのか複雑。そこに同じ三年生の子が来た。≪魅惑の極悪人ファイル≫女子大生の小説家、いい人ばかりの小説からリアリティのある"悪人"を書いてみようと、性格の悪い腹黒な人を観察する。自分と他の人を比べたり、自分がどう思われているか気にしたりするけれど、新しい出会いが思いを変化させる。

『ばにらさま』 僕の恋人は、ﾊﾞﾆﾗｱｲｽのように白い。『わたしは大丈夫』 私は夫と２歳の娘と暮らす。専業主婦で節約生活をしている。自分のお小遣いはナシ少しでもお金を貯めたい。結婚する気はなく、人を当てにしたくない。≪私は一人で大丈夫だったし、これからも大丈夫≫そう思っていた。なぜ？結婚したのか、倹約家なのか。≪理由のわからない親切≫善意には裏があると。何て苦しいのだろう。この私は自分を苦しめる。『菓子苑』 舞子は、胡桃の願いを断ることができない。『バヨリン心中』『20×20』『子供おばさん』６編。