ラブカとは一体なんだろうと思っていた。勝手な想像とは全く違った内容でいい意味で裏切られた感じ。この本の評判がいいのが読んでよくわかった。橘の過去、忌まわしい事件、嘘に嘘を重ねてのスパイ活動。音楽によって再生された橘が一歩を踏み出す勇気が清々しい。

ミスコンのファイナリスト7人がリゾートアイランドに集められる。クローズドサークルなのでお約束の事件は当然起きる。真相が明かされ動機や女性達の選別に驚かされたけれどちょっと無理があるような。美人も一皮剥けば本性が剥き出しになり強かな顔が表れるのが妙に納得。

お麓、お菅、お修の幼なじみ3人が個性的で終始かしましく、裏表のない言い合いがなんとも羨ましい。そこにお萩が加わり婆殿たちが張り切る姿がまたいい。お麓の策も見事だし痛快で爽快でとても面白く読了。

どの章も不穏な雰囲気が漂っていて先が読めない。仄暗い感情や悪意が見え隠れしていて女の心理を上手く表現している。このブラックな感じ大好物。

選挙の開票速報で投票が締め切られた20時に当確を打つゼロ打ち。選挙と並行して不審死を調べる新聞記者の片山。選挙の開票速報の裏側では一刻も早く当確を出そうとメディア同士が対立していたとは一般市民には知る由もない。政治とカネの問題はつくづく根深いと感じるし、片山のように臆することなく正義と真実を追い求める記者がいることを願うばかり。

突然補導委託を引き受けた孝雄とそれに反発する息子の悟。罪を犯した少年春斗が抱えるものとは。孝雄にも春斗の父親にもそれぞれの思いがあり辛く苦しい過去が。不器用な父と息子。子供の幸せを願うばかりに自分の考えを押し付けてしまう親。家族だから近過ぎる関係だからこそ理解し合えずすれ違ってしまう。春斗の一歩を踏み出す姿が眩しく、現実はこんなうまくはいかないかもしれないが、希望のあるラストが清々しい。

大人の恋について12人の女性のリアルな証言を唯川さんがストレートに物申す。その言葉がいちいち頼もしくそうそうと納得してしまうことばかり。不倫女や略奪女が登場するが女からの一方的な告白ばかりだからか後半は正直飽きてくる。恋か、恋ね、自分には遠い話になってしまったな。

フィクションだとわかっていても芸能界というところはきっとこんな感じなんだろうと想像できて興味深い。オチに驚かされた「終演」。幸子の存在が抜群で夫婦漫才みたいな会話が楽しい「相方」。仕事とはいえ、こういう特殊な世界で生きていくのは精神を削られそうだ。

覆面作家の御津島磨朱李が洋館の新居お披露目会を開き集められた7人のメンバー。あれやこれやと仕掛けは多々あって期待は膨らむが正直そこまでではなかった。伏線回収も特に驚きはなかったし。とにかく豪華な洋館内部の詳細な描写が多くてそればかりが頭に残ってしまった感じ。

ラブカとは一体なんだろうと思っていた。勝手な想像とは全く違った内容でいい意味で裏切られた感じ。この本の評判がいいのが読んでよくわかった。橘の過去、忌まわしい事件、嘘に嘘を重ねてのスパイ活動。音楽によって再生された橘が一歩を踏み出す勇気が清々しい。

表紙をめくっていきなり現れる不気味な絵に期待大。蝶の標本から人間の標本へというとんでもなく大胆な発想。真相は二転三転するが誰も彼も普通じゃなく狂気の世界。この不快感はさすがというべきか