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2024年5月の読書メーターまとめ

ゴリラ爺さん
読んだ本
10
読んだページ
2652ページ
感想・レビュー
9
ナイス
16ナイス

2024年5月に読んだ本
10

2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ゴリラ爺さん
幽が地球を目指すストーリーと戦闘要素に有機的な繋がりが無いせいで、作者が描きたいものを描いただけという印象が強かった。ラストは嫌いじゃないが、若干ヘミングウェイの「キリマンジャロの雪」を思い起こさせる。幽は地球に着いた後ちゃんと陸に上がれたのだろうか。ところで秋山作品に登場する幼女は拷問の末に惨殺されるか、それでなくとも拳でぶん殴られるという定式が存在するように思う。これはもう秋山の性癖みたいなものだろうか。今回で既刊ラノベを無事にコンプしたが、やはり最高傑作はイリヤかEGだと結論付けた。

2024年5月の感想・レビュー一覧
9

ゴリラ爺さん
幽が地球を目指すストーリーと戦闘要素に有機的な繋がりが無いせいで、作者が描きたいものを描いただけという印象が強かった。ラストは嫌いじゃないが、若干ヘミングウェイの「キリマンジャロの雪」を思い起こさせる。幽は地球に着いた後ちゃんと陸に上がれたのだろうか。ところで秋山作品に登場する幼女は拷問の末に惨殺されるか、それでなくとも拳でぶん殴られるという定式が存在するように思う。これはもう秋山の性癖みたいなものだろうか。今回で既刊ラノベを無事にコンプしたが、やはり最高傑作はイリヤかEGだと結論付けた。
ゴリラ爺さん
約20年ぶりの再読。猫たちが独自の文明を築く人工衛星トルク内で生きたまま地球への帰還を目指す異端者の幽と決闘競技に命を賭けている焔のSF長編。猫は電波ヒゲで会話し、人間の残したロボットにコマンドを送って雑役や戦闘をさせる。作者あとがきにあるように中世の地動説を巡る異端審問のあれこれをベースに書かれているが、舞台設定の説明と戦闘描写と台詞の掛け合いで成立しているような巻で、物語が前に進んでいく面白さはあまり感じなかった。1巻にまとめられたのでは? リーダブルなのは相変わらずだが、昔はもっと面白く感じられた。
ゴリラ爺さん
『三田文學』連載の「ラカンと女たち」を纏めた2020年の精神分析学書。「巨人軍は永久に不滅です」を思わせる『女は不死である』というタイトルの文句がアビサのテレサ論における女性の享楽=全ならずの論理から来る「上乗せ」の論理をもとに導出されている通り、徹頭徹尾、女性の享楽と性別化の図式をテーマに語られている本書だが、立木康介は外連味たっぷりの晦渋な文章を書くので無駄に読みづらい。各論は別にしても総論は松本卓也氏の『享楽社会論』を読んだ方が整理して理解できるように思うので、あまりオススメできる本ではない。
ゴリラ爺さん
19世紀前半のラファーター観相学の流行から20世紀前半の映画におけるクロースアップの出現までを〈顔の世紀〉とした上で〈顔〉に関わる諸領域の言説と人々がそこに見出すものについてドストエフスキー『白痴』を参照しながら考察した本。文学系の専門書でここまで表象文化論らしいものを読んだことがなかったので興味深かったが、同時に不満も残った。もちろんこの本は〈顔の世紀〉と銘打っているので必ずしも〈顔〉とドストエフスキーの結びつきを語るものではないのだが、プロソポンに関する記述が欠落しているのは逃げのような気もする。
ゴリラ爺さん
音読にて再読。私にとっては太宰・芥川・森の諸作と並ぶ教科書文学の筆頭として国民の文学観を規定する足枷と見做せる本作だが、何度読み返してもまあ暗い暗い、肉親を差し置いても私淑する先生の元に駆けつける「私」の思わせぶりな語りといい、先生の勿体ぶった孤立の身振りと後ろめたさの「匂わせ」を読むにつけ、深刻な内面を秘めて秘めて秘めまくることが近代文学の本懐よのう、と思わなくもない。最後に語りが「私」に戻らず手紙のまま終わっていくところの爽やかさすら感じられる余韻がどこか『彼岸過迄』に似て好きなのである。
ゴリラ爺さん
2024/05/12 22:03

初めから先生の死は既定事項なので、終盤は彼に自決させるための動機を複合的に束ねて畳み掛けてくるが、漱石は恋を描くときですらロジックに縛られる人間なので、どこか理屈っぽさを逃れられないのが妙に不器用だ。理由を付けずにはいられないということ、そこはある意味、下手かもしれない。

ゴリラ爺さん
ざっと読み。初読で全てを頭に入れるのは困難なので、食材や栄養素が気になったら都度開いて覚えていくのがよいと思う。一旦は自分の献立に隙がないことを確認できたので良しとす。主には、鶏レバー、鶏むね肉、豚ロース、鮭、ぶり、かつお、イワシ、キャベツ、にんじん、ほうれん草、たまねぎ、にら、ごぼう、ひじき、梅、卵、納豆、枝豆、そば、アーモンド、バナナなどを食べんとぞ思ふ。ミネラルはサプリにも頼る。イミダゾールジペプチドとアスタキサンチンうめえ。
ゴリラ爺さん
著者は精神分析学者だが、母娘関係の困難を読み取れる映画や小説等のあらすじ紹介と、それらに現れる母親像の分類に終始していて、母娘関係の問題を一般化して分析・解説しようという意思を欠いている。そのためブックガイドのような趣になっているのが残念だ。それにしても、女性が自分らしく生きられない原因は、男性による抑圧よりも母親による抑圧=娘をコントロールして自分の生をやり直したいという呪縛の方が大きいのではないか。母娘の権力ゲームの巧緻には毎度驚かれる。
ゴリラ爺さん
仏文学に登場する代表的な悪女を一章につき一人挙げながら、ファム・ファタルの類型を解説した本。マノン・レスコー、カルメン、フレデリックとベルヌレット、従妹ベット、椿姫、サランボー、彼方、ナナ、スワンの恋、ナジャ、マダム・エドワルダが取り上げられている。11章あって女性作家が一人もいないのだが、ファム・ファタルは男にしか書けないのだろうか。女性の書くものも知りたい。ところで執筆年が2005年と比較的古いのもあるが、女性に男を誘惑する術を手解きするという体で書かれているので、若干、引いてしまう箇所があった。
ゴリラ爺さん
2024/05/02 20:30

「セックス・ワーカーというのは、例外なく愛情乞食ですから」なんて文句も出てくる。後書きで提唱される「ゴレンジャー・ガール」という類型が興味深い。曰く、幼少期に男友達のごっこ遊びに混じって、戦隊物の紅一点を演じ、男の子たちに気にいられていたものの、思春期になって彼らが色ボケしてコケティッシュな女に走りはじめると、途端に取り残されてしまう女の子のことらしい。

ゴリラ爺さん
清水亮といえば最近はAIおじさんという印象が強いが、私にとっては栄光の76世代でありながら実業の才覚を伸ばすことに興味がなかったためプログラマーに留まり、今はゴールデン街で日夜、飲み歩いてへべれけになっているという、漫画に出てきそうな酔狂な人のイメージだった。が、天才と持て囃された20代までの破竹の勢いとニューヨークに幻滅した後の紆余曲折の落差を知ると、飄々と見えて苦労した御仁なのだな、と素朴に思った。いかんせんロマンティストなのだ。中本伸一の「馬鹿野郎。ITバブルに踊らされた間抜けが」が重く響く。
ゴリラ爺さん
2024/05/01 16:03

50頁と80頁の展開が熱い。この人の思想の核心にはたぶんDIY至上主義があって、どんな人間でもプログラミング技術があればなんでも自力でやれる、と信じているところがある。アラン・ケイが良いことを言っていた。「多くの製品が、人をダメにしている。助けるというよりも堕落させているのだ。そしてそういう製品は、たいていよかれと思って売られている」。至言だと思う。いま製作側の人間で誤魔化さずにこれを言えるひとがどれだけいるだろうか。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2021/07/01(1070日経過)
記録初日
2020/04/12(1515日経過)
読んだ本
533冊(1日平均0.35冊)
読んだページ
150903ページ(1日平均99ページ)
感想・レビュー
236件(投稿率44.3%)
本棚
3棚
年齢
44歳
血液型
B型
職業
無職
自己紹介

ヒガシローランドゴリラの末裔として国立遺伝学研究所から血統を保証されています。
※本研究は基盤研究Bです

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