考える人間がいても、それ以上に考えない人間が多ければ物事は進まない。それは民主主義という名の多数決システムでは顕著だが、封建領主であろうとも「衆寡敵せず」の事情は同じ。このかじ取りは難しい。主人公たち前途多難。ファンタジー小説だが、「神」の造形が秀逸。人に好意はあり、興味も抱いているが根本のところでどうしても理解できないものを持つ絶対的存在。これが描けるラノベ作家は少ない。

待ってました。今回は長めの3篇。宮部版『千と千尋』の第一話は結局「苛政は虎よりも猛し」で終わる。神すらも殺す人の「正義」。人を救うのも殺すのも結局人って事か。それにしても燕の神の可憐さよ。二話は異類婚。当人同士がいいならいいんでない？とびさんの元亭主よりよっぽどまし。三話目に至ってはなんとゾンビ！中の村の衆、どなたもかっこいい！だけど甚平じいさんの言葉が一番グッとくる。苦難に襲われているものは、失った物に気を取られて助けてくれる方の状況に思い至らないが、そこを見通す目がさすが年の功。

青森旅行のお土産本の一つだが、実話会談ながら遭遇した人の反応が妙に落ち着いていて、「そんなこともあるさ」的冷静さがちょっと面白い。

事件と処刑そのものは割と淡々としている。それまではゲイリーの無軌道ぶりとそれを引き起こす両親の破綻ぶりがこれでもかと描写される。正直「幽霊」なんてどうでもいいと思うくらいだ。ただ、私には「愛を求める作業と暴力の発露が同じ根を持つ行為」コインの表裏というのがどうしても理解できない。ストーカー殺人や子供を巻き込む無理心中でも思うが、この場合の「愛」は本当に愛なのか？単なる独占欲とは違うのか？明らかに自分に被害をもたらす人間を家族だという理由で仕方なくでなく「愛してる」と言えるものなのか？わからない・・。

「楽園」の後書きで興味を持ち読んでみた。しかし陰鬱な話だ。それでもここまで書くことができるのはアメリカならではなのだろうな。日本では加害者の家族なんて隠れることしか許されない。だけど、「どこがら歪んできたのか」とか「どこでだったら修正できたのか」とか考えるのは重要なことに思われるのに。まあ、その最大の原因である加害者の親がそんなこと考えられるなら、そもそも事件自体起こってないんだけど。作者がこれができたのは、曲がりなりにも生活が安定した後に生まれた年の離れた兄弟だったからだよな。

考える人間がいても、それ以上に考えない人間が多ければ物事は進まない。それは民主主義という名の多数決システムでは顕著だが、封建領主であろうとも「衆寡敵せず」の事情は同じ。このかじ取りは難しい。主人公たち前途多難。ファンタジー小説だが、「神」の造形が秀逸。人に好意はあり、興味も抱いているが根本のところでどうしても理解できないものを持つ絶対的存在。これが描けるラノベ作家は少ない。

徹底して本人（神）一人称しかないのでちょっと情景が見えにくいけど、それなりに面白い。こんな神様ばっかりだったら宗教戦争なんか怒らないのにねぇ・・・。

「選択できるならお断りします」・・これ、現役時代にいってみたかったせりふだなあ。相変わらずの剛力無双ぶりです。

北に旅行したのでそのついでに現地の本屋で購入。実話系だから「え？これで終わり？」的なものも多いが地域性があって面白い。

本棚の隅に転がっていた物の再読。まあしかし、たとえ百物語をやっても見えん人には見えんし、聞こえん人には聞こえん。怪異はそれぞれの中にしかないのか・・。

参加者が小学生だとビブリオバトルもわかりやすくていいですね。何冊か読みたくなりました。