日本側としては、やはり移民政策・外国人労働政策については、キチンと議論して改めていく必要があるなあ。単に「かわいそうだ」というだけでなく、このままだと日本には外国人労働者さえ足りなくなってしまうだろうし、来てくれる外国人の質も悪くなるし。
大変面白く読んだが、個人的にはやはり安彦さんは「歴史」的思考を重視し過ぎるな、という印象。タイトルの『革命とサブカル』とは、安彦さんの理解では新左翼・学生運動に含まれていたサブカル的な側面が、政治面を脱色されてオタクになった、という感じであり、一理はあると思うが、自分としてはそこに歴史的展開を見いだすより、単に普遍的な社会心理学的事実を見いだしたくなるのだが(勿論、社会心理学系への疑いはあるが)、安彦さんはそちらには向かわない。まあこの辺はマルクス主義的「科学」観の影響なきもする。
しかも安彦さんの「歴史」は、科学的・実証的な、現代的な意味での「歴史学」ではなく、吉本隆明とかみたいな、一昔前の「評論家的歴史観」なのよね。この辺は本書でも安彦さんが「嫌いだ、嫌いだ」と繰り返す大塚英志とかと同じだよなあ、と(苦笑)
2作よりは内容は一般向けではない。本文の約1/5は引用文献・論文リストというガチっぷりだ。その点でちょっと中高生には難しいかもだが、逆に心理学に限らず、理系研究者を目指す高校生なんかはぜひ読んでおくと良いかも。なお、DEEPLやChatGPTなどの極めて賞味期限の短そうな話題も敢えて取り上げてあるとのことなので、読むなら今だ。
筆者は40歳くらいの中堅心理学者だが、「遊撃」と称するとおり、様々なトピックに凄まじいバイタリティで首を突っ込みまくっている方(悪い意味でなく)らしい。
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そしてまた言わずもがなだが、最後の2行のプッツリ感。いやらしいまでに巧みだ。