ネタバレ厚さにたじろいだが、展開が速くどんどん進む。巨大自動車メーカーで非正規雇用として働く若者四人を中心に、会社の上層部、管轄警察、公安、政治家までを巻き込む社会派サスペンス。冒頭で警察に追われる四人は一体何者？目的は？罪状は？物語が進むにつれて経緯がわかってくる。バブル後の現実、成功体験のない若い世代の絶望感がひしひし伝わる。この国は衰退途上、有望な若者は海外へ向かうと繰り返し書かれるのが重い。光が見える終わり方で、おもしろかったー！と読了。本の力も遺憾無く発揮。オススメです。

ネタバレまるで大河ドラマのスピンオフ。澤田瞳子さん作品の格調正しさはそのままに、スピード感のあるミステリ。謎解き要素満載で面白かった！藤原保昌・保輔兄弟と姉は実在だが主人公の小紅は架空の人物らしい。咎人の一家と責められる理不尽さに耐えつつ、盗賊となった保輔の想いを解き明かしていく。失礼かもしれないけど、文の才に優れた藤式部(紫式部)が、ヒチコックよろしく澤田瞳子さん自身に思える。倫子に「形見が近くになかろうとも」決して忘れない過去の恋があったように道長と藤式部も？そして和泉式部と保昌は史実では結婚する。深い〜！

ネタバレBook Walker無料。一気に読み、各章ごとに涙。病院で医師が立ち合う日常的な患者の苦痛。そして死。それは敗北なのか？地獄の苦しみに耐えてわずかな確率の奇跡に賭けるのが正しいのか？両極端な位置に立つ同期生のふたりの医師。闘病しないことも選択肢のひとつする医師は「死神」と呼ばれ疎外され、闘う医師は上昇志向を持つ。いつか必ず、誰にでも訪れる死。見送った両親はどんな想いだったか、そして自分はこれから…。考えさせられる良書。続編も行きます！

ネタバレ波乱の第8巻。ためらいながら只次郎の一途な想いに応える気持ちに気づくお妙。湯島・無縁坂から出た火事は町一帯を襲い、ぜんやは全焼。林家に一時避難の後、只次郎は菱屋に、お妙は升川屋の離れに落ち着く。お妙はショックで呆然自失、話どころか食事も摂れなくなる。只次郎が心を込めて作った卵がゆで、両親が殺害されたという失われていた記憶を思い出し号泣。時間をかけて回復し、おえんの待望の赤ちゃんに会いにゆく。ぜんやを続ける気力を失うお妙にお志乃は再開を強く勧める。気軽なご近所が戻り、また常連が集まる場所ができるか…次巻へ！

ネタバレ厚さにたじろいだが、展開が速くどんどん進む。巨大自動車メーカーで非正規雇用として働く若者四人を中心に、会社の上層部、管轄警察、公安、政治家までを巻き込む社会派サスペンス。冒頭で警察に追われる四人は一体何者？目的は？罪状は？物語が進むにつれて経緯がわかってくる。バブル後の現実、成功体験のない若い世代の絶望感がひしひし伝わる。この国は衰退途上、有望な若者は海外へ向かうと繰り返し書かれるのが重い。光が見える終わり方で、おもしろかったー！と読了。本の力も遺憾無く発揮。オススメです。

ネタバレ図書館で立ち読み。桐壺帝薨去、弘徽殿の妃が力を持ち、六の君(朧月夜)との関係を知られた光源氏は自ら官位を返上して須磨へ下向。明石の入道の娘と結ばれる。3年後、京へ呼び戻され、朱雀帝は退位、東宮(実は源氏の子)が冷泉帝として即位…というあたり。源氏の人生で1番アップダウンの激しい時期。やはり父の桐壺帝は藤壺の宮との不義を知っていたんだな〜。身分が低いことで卑下する明石の上と、源氏を愛しながら別れを告げ朱雀帝に従う朧月夜の君が対象的でおもしろかった。

ネタバレ歌舞伎の世界を丹念に描く力作。瀬川路京に拾われ弟子となった美しい少年は二代目を継いだが、最近は「落ち目」と言われ自分でも納得のいく芝居ができない。他の座との競争のため、先代が劇中で毒殺された演目『母子月』を演じることになる。師匠の思い、周囲の思いを知り、かつての自分のような内弟子の姿に力を受け、神の童は神になった。与一と円太郎の絆、大明神との呼ばれた名女形の存在など、泣けるポイント満載だが、悪役に徹してた直吉には痺れた。誰もが望みを叶えられることはないが、何かを守り続けることはできると知った。傑作です！

ネタバレ第6巻。ご隠居主催の炉開きの茶会の料理を頼まれるお妙。風雅な時間を楽しむのは俵屋、三河屋、三文字屋、そして林只次郎。戦国武将が茶室で戦の作戦を練るが如く近江屋と草間重蔵の周囲を調べた結果を話し合う。只次郎は父が兄にかとくをゆざるささしす善助を殺害した経緯が明かされる。只次郎は家を経済的な支えているにもかかわらず疎外されさせられそうになり家出、監視も兼ねて重蔵と同居。ついにお妙の夫・善蔵が近江屋に殺害されたことがわかる。隠れて聞いていた柳井殿によって捕縛？と思いきやお妙は意外な罰を。なんだかスッキリしない

ネタバレ村山由佳さんの新作『二人キリ』を共読みの読み友さんからの紹介。事件後服役して、釈放後の阿部定さんにはいろんな人が会いにきたが、阿部定さん自身はあまり興味がなかったらしい。あくまで個人的な、まさに「二人キリ」のことなのに、坂口安吾が強い興味をもっていろいろ尋ねるのが不思議だったんじゃないかと思う。しかし世間を騒がせた「阿部定」を先入観なく書く坂口安吾の立ち位置はおもしろい。難解だけど💦

ネタバレ1953年刊行。この本を読むのが遅すぎた。映画『野生の証明』(1978年)のCMで高倉健が言った「男はタフでなければ生きていけない。優しくなれなければ生きている資格がない」が、この本の主人公のフィリップ・マーロウのセリフだと知っていれば！森村誠一の原作は読んだのに、チャンドラーまで行かなかったのが悔やまれる。その頃読んでも成長途中の脳が理解できたか怪しいが、今は逆の意味でもう手が届かない。独特の言い回し、アメリカの慣習に苦しみながら、結末を知りたい一心で読了。ギムレットは…飲んでみたくなった。