可愛らしい表紙やタイトルからライトノベルだと侮るなかれ。読まず嫌いしては人生半分損する超ド級の特殊設定ミステリー。探偵のAIである相以とその助手の輔はフルダイブ型のVRゲームに挑戦するが参加者の中には殺人鬼が紛れており…。とあらすじを振り返ってもめちゃくちゃに思えるがそこは早坂吝のすごいところ。特殊設定ものを読んだときに思う「さいですか…」という感想を湧き上がらせない仕掛けと伏線の説得力。ミステリー要素を抜きにしてもユーモラスな展開や言葉選びに魅了される。昨今のVRを超えた没入感を読者にもたらす名作。

恒川光太郎作品全てに共通するが、読み始めたら物語が終わるまで読むことを辞められない魅力がある。特に好きなのは死神と旅する女。何かのアンソロジーで読んだことがあり、結末も強く印象に残っていた状態で読んだわけだが、初読時と変わらぬ読後の満足感があった。解説にもある通り、奇をてらっていない常に平明かつ明晰な文章が、読者の脳裏に直接映像を映し出すような没入感を生み出している。一冊で六通りの人生を追体験できる傑作。

可愛らしい表紙やタイトルからライトノベルだと侮るなかれ。読まず嫌いしては人生半分損する超ド級の特殊設定ミステリー。探偵のAIである相以とその助手の輔はフルダイブ型のVRゲームに挑戦するが参加者の中には殺人鬼が紛れており…。とあらすじを振り返ってもめちゃくちゃに思えるがそこは早坂吝のすごいところ。特殊設定ものを読んだときに思う「さいですか…」という感想を湧き上がらせない仕掛けと伏線の説得力。ミステリー要素を抜きにしてもユーモラスな展開や言葉選びに魅了される。昨今のVRを超えた没入感を読者にもたらす名作。