『解体諸因』から趣が変わり解体に至る合理的な説明のために動機の特殊さをもってアクロバティックな結論に導かれる。「死は天秤にかけられて」ボアン先輩のセリフが本シリーズを象徴している。女子高教諭の話を前振りに女の集団心理における実利と自尊心の狭間の葛藤、それでいてただでは転ばない狡猾さが強調されている。全体としてパズラーとしての論理の軽やかさや鮮やかさはそのままに、人間心理が生み出す動機の度し難さが重みを生み出している。
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