
実力者じゃなければ、単なる引き伸ばしになってしまうが、やっぱり“その後の話”というのは盛り上がる。 どの登場人物も味があって良いが、特に日照と二子山のキャラクターが最高で、この二人と死体拾いに出掛けるくだりの完成度の高さは白眉だ。ここでもう完全に持っていかれた。このかつて(ないけど)あったかもしれない出来事のような日常感が素晴らしい。なんでこんな事を書けるのかと不思議にさえ思う。自然の描写も申し分なし。論理的なストーリーとはある意味こういうことだと思う。
ストーリーは様々な意味で陰湿で主人公ペアは全くカッコよくない しかしミステリ小説を除外してみれば、中心の決定論的なアイデアは面白く、その本質はデスゲームであり、活かし方次第で不朽のエンタメ傑作になっていた可能性はある 他にも様々な論点が見付かり、本作品は倫理学や哲学などのテキストにも十分耐えられるようなポテンシャルを持っていると気付く この作品の致命的な欠点は本格?ミステリーであることだ 探偵が活躍する推理小説であるというコンセプト自体が障害物だが、特に無駄なことを考えたがる人には一読する価値はある
小説全体が導く結論としては、予言や予言者がどれほど有害で悪質なものかを物語っている 必ず当たるからといっても、その預言者の責任や社会的悪影響は消えたりしない この作品はその論点を無視している 結局人は(病気などの問題を除けば)自分の未来など知らされたくなく、無闇に口にするのも、それを信じることも迷惑でしかない 予言という言葉やその概念があること自体が公害めいている だから研究など最初から無駄であり、凍結も当然だ けっきょく起きうるかもしれない未来への判断だけが残るのではないか
意外な解説の担当者(そして文才もある)と基本的にほぼ同意見だし、あれでも良いのだが そのうえで、まだ納得することが出来無い 結末の語る仏教・儒教的な信念に基づく行動は、古の侍・忍者の秘伝書的でよく飲み込めないものの 突き詰めると西洋的な思想(反権威主義)と日本的思想(権威主義)が戦争をしていて 結局本作の矛盾を許容するのは、二重思考になるのではないのかという疑惑がある これらの特徴をまとめて作品を紹介するなら「支離滅裂で曖昧な日本人の性質を表現した真の和風ハードミステリーの代表作」 になるだろう
途中の展開はあのプロットがあるだけで駄作扱いする、というより絶対に読まないタイプの展開で失望した こんなことを仕掛けてくるとは思わなかったし、以前から伏線めいた描写がいくつもあったので普通に信じてしまった レッドカードで前半で退場したのに、後半も出場しているみたいな感覚に その後物語への興味が一度失せてしまったのは主にあれのせいだ あと、著者のエッセイ(忘れたがツのやつ)は実は分かり易い言葉で、著作の説明をしているのでおすすめだ 読書メーター的にも非常に重要な指摘があるので、もう全員読んだ方が良いと思う
ラストシーンは無茶苦茶、トリックはかなり無理矢理だ もう少し主人公に見せ場を作っても良かったと思う しかし全て回収できるのかと疑った不可解な謎をたぶん残らず解決させているのは称讃に値するし 本作品の価値は、作中の犯人たちのようなバカげた妄想を消滅させることにあるだろう そういう視点から本作品のレベルは高く誠実さがある 余計な盛り付けをするわけではなく、作者の自意識は低く抑えられている 狙い通りコンセプトが結実していて、売れ線狙いで現実の事件を消費しているだけの陳腐な作品ではないのは確かだ ※audible
結局期待していた御手洗は登場しなかったが、今頃ノコノコ来たら幻滅していたので良かった。この作品にスーパー探偵は似合わない ヒントすらも不要だったかも
痛い読者
鬱陶しい長文:
https://booklog.jp/users/dunlopsystem138
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます